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第9話 作戦の実行と、大きな大きな予想外 ザラ視点(3)

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「この俺は、内外共に完璧な名門侯爵家の嫡男様。深く知ればすぐさま俺を愛するようになるから、そうするために動いていた途中で――ザラ? 顔が真っ青だぞ? 急にどうしたんだ……?」
「………………………………………………お、オーガスティン様……。で、ですが……。レナエ――お姉様は……。貴方様を、すでに深く愛されていましたよ……?」

 ガーデンテーブルでうたた寝をしていて、その際に『オーガスティン様、好き、大好き……』などと寝言が出ていたこと。それらを、声と身体を震わせながらお伝えした。

「なんだって……? いや、それはお前の聞き間違えだな。アイツはその前の夜会で俺の言葉を受け入れず、以降はその時まで一度も会っていないんだ。あんなにも見る目がない女が、何もせずに俺の魅力に気付くはずはないのだからな」
「い、いえ……。いえ…………。お姉様は確かに、そう呟いていました……。間違いございません……」

 一昨日確かに聞いていますし、そのあとっ! 問い詰めたら白状して、レナエル自身がソレを認めたんですものっ。
 確実に言っていて、好意を抱いていましたわ!!

「きっと勘違いをされているのは、オーガスティン様ですわっ! わたくしは真実を口にしておりまして――」
「ならばあの日忌々しくも拒否しはしないし、何よりだ。俺はそんな間抜けな間違いを犯すような男じゃない。したがって間違っているのは、ザラ、お前だ」

 そうではないのにっ! オーガスティン様は断言をされて、何を言っても信じてくださらないっ!
 何度繰り返しても即否定をされて、この話題はお仕舞にされてしまった……。
 し、かも…………。

「だからお前は、なにも心配をする必要はない。安心しろ、ザラ。ちょうど昨夜、父上からの許しも出たからな。お前は何も気にせず、結婚できるタイミングになったら――学院を卒業したら、この俺の妻となれるんだ」
「……………………」
「そうそう。俺達の式の日はすでに決めていて、すでに父上に動いてもらっている。日時は当然お前の卒業式の日で、終了後に挙式をあげるぞ。ちゃんとその日に備えておけよ、ザラ」

 ぁぁぁぁぁぁぁ……!!
 知らない間に、スケジュールまで決まっていて……。ますます、マリー様の怒りを買う状況になってしまっていたんですの……!!

「ぁ、お、オーガスティン様……。でも……。けど……。ですが――」
「今日はそれを伝えるために、わざわざ学院に来たんだ」
「――え……? そのため、に……?」
「次期当主として、急遽動かなければならない用事が出来たんだ。お前とのランチを楽しみにしていたが、こればっかりは仕方がないからな。ザラ、また明日だ」

 そうしてオーガスティン様は、学院を去られてしまって……。わたくし達渾身の作戦は、大失敗に終わってしまったのでした…………。



 ど、どうしましょう……。
 お昼休み……。マリー様に、どうお伝えしたらいいんですの……!?

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