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第4話 一週間後 シブリアン視点(2)

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「…………なんで、クロエが――あっ、そうかっ。失礼した。なんでもない」

 クロエは俺との待ち合わせ場所で待っているんだ。ここにクロエがいるはずがない。
 目の前にいるのは、クロエによく似た別人だ。

「君によく似ている人を知っていて、その人と間違えたんだ。今のは忘れて欲し――」
「間違えてはいませんよ、シブリアン様。わたしはクロエ本人です」
「――なんだって……!?」

 本人!? 目の前にいるのは、クロエ!?
 そんなバカな――バカ、ではない……。本人がそう言っているんだから、クロエ以外ありえない……。

「約束をしたのに、違う場所にいる……!?」

 どうして、ここに来た……!?

「クロエが、ロバートが予約した店にいる……!?」

 クロエとロバートの接点はない。ロバートはクロエの居場所を知らないはずなのに、どうやって連絡を取ったんだ……!? クロエにとってロバートは他人――給仕をした時に居ただけの人間なのに、どうしてここに来ているんだ……!?
 分からない……。
 分からない……。
 分からないことが多すぎて、頭が壊れてしまいそうだ……。

「シブリアン様、ビックリされてしまいごめんなさい。これから事情、理由を説明させていただきますね」
「…………え? あ、ああ! してくれ!! 何が起きているんだ!?」
「円滑にお話を進めるには、まずアレを見てもらった方がいいですね。ロバート様、あちらは出来上がっていますか?」
「ああ、ちゃんと出来上がっているよ。シブリアン、こちらを見てくれ」

 おもわず前のめりになっているとクロエがロバートを呼び、そんなロバートは懐から1枚のやや小さな紙を――紙ではなく、写真を取り出した。

「君も貴族だ。写真は当然知っているだろ?」
「……もちろんだ。知っている」

 一昨年この国に入って来た、ボタン一つで景色を保存できる機械・カメラ。そのカメラで『撮影』した景色は『フィルム』というものに記録され、少々手間がかかるが『現像』をして写真という形で保存できるようになる。
 父上は骨董品や絵だけではなく最新の高級品にも目がなく、ウチにも去年からある代物だ。

「……それが、どうしたんだ……?」
「この写真には、とある光景が記録されているんだよ。よ~く見てごらん。何が写っているのかな?」
「……写真、には………………!! ぁ、ぁ、ぁぁ……」

 なぜ、だ? どうなっている……?
 どうして……。どうして――


 コイツが、俺とクロエがキスをしている写真を持っているんだ……!?

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