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第7話 居る理由と居ない理由 俯瞰視点
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「…………よし、と。心配かけないように、急いで買って帰ろう」
今から数時間前のこと。ジェルヴェは店をマルスリーヌとランベールに任せ、器具を求めて街を歩いていました。
「申し訳ございません。こちらの道にお進みください」
「あ、はい。こっちですね」
普段使用している道は何かしらの工事をしているらしく、道程の中間で左折。警備している者の誘導に従い、小道へと入っていきます。
「そうそう、お土産も忘れちゃいけないな。何にしようかな?」
人気(ひとけ)のない道をトコトコと歩きながら、呟く。そうしている時、でした。
「簡単な仕事だな」
「え――」
背後に突然見知らぬ男こと、警備員に変装していた拷問好きの元傭兵が現れて――
「そう思うのかい? 過去一で厄介な仕事だと思うよ?」
意識を刈り取るべく伸びてきていた痺れ薬つきのナイフを、人差し指と中指で挟んで止めました。
「ば……かな……。とめ、た……? きっ、貴様なにものだ……!?」
「パン屋『デリシャ』のオーナー、ジェルヴェ・ルズロート。君もよく知っているはずだよ?」
「パン屋のオーナーが俺の攻撃を止められるはずがない!! なんなんだ貴様は!?」
「さあ、なんなんだろうね? なんだと思う?」
「ふっ、ふざけるな!! くっ、こうなったら――」
「お喋りを止めるんだね? じゃあ、もう終わりにしようか」
一旦後ずさり、距離と時間を稼いで対策を練る。そうするべくナイフを手放して後ろに飛び退ろうとしていたら、いつの間にかジェルヴェが懐に入り込んでいました。
「!? くそがっ! おおおおおおおおお!!」
「そんなパンチ、当たらないよ。せっかくだし、このナイフを使わせてもらおっかな」
目にもとまらぬ速さで、一閃。慌てて繰り出された右フックが届く前にロードの胸部を切り裂き、
「こ、んな……。こと…………が、ぁ…………」
巨体はどさりと、地面に崩れ落ちたのでした。
「まずは一匹で、このタイミングなら間に合わないこともないね。……マルスリーヌとランベールに近づくアレは、特に許せなかった。僕がやろう」
気を失ったロードを懐に忍ばせていた大きな袋に詰め込んだあと、軽々と抱えて馬車に戻り――
○○
(待機ご苦労。あとは僕がやる)
(承知いたしました)
パン屋『デリシャ』の勝手口を目指していた大男の肩をポンと叩いたジェルヴェは、足音を殺して移動。反対方向から勝手口へと近づいていた殺し屋ニザールが着く前に物陰に潜み、
((楽な、いや、つまらない仕事だな。つまらなすぎて欠伸がで))「むぐ!?」
(子どもに物音を悟られるようじゃ、まだまだだね。君の行き先はこっちじゃなくて、あっちだよ)
背後から近づいて口を塞ぎ、首を叩いて意識を刈り取る。ぐったりとしたニザールを肩に担いで走り去り、勝手口周辺には誰もいなくなったのでした。
○○
「ママ~。どう~?」
「なにも、居ないわね。いなくなったみたい」
「そっか~。じゃー戻ってるね~っ」
今から数時間前のこと。ジェルヴェは店をマルスリーヌとランベールに任せ、器具を求めて街を歩いていました。
「申し訳ございません。こちらの道にお進みください」
「あ、はい。こっちですね」
普段使用している道は何かしらの工事をしているらしく、道程の中間で左折。警備している者の誘導に従い、小道へと入っていきます。
「そうそう、お土産も忘れちゃいけないな。何にしようかな?」
人気(ひとけ)のない道をトコトコと歩きながら、呟く。そうしている時、でした。
「簡単な仕事だな」
「え――」
背後に突然見知らぬ男こと、警備員に変装していた拷問好きの元傭兵が現れて――
「そう思うのかい? 過去一で厄介な仕事だと思うよ?」
意識を刈り取るべく伸びてきていた痺れ薬つきのナイフを、人差し指と中指で挟んで止めました。
「ば……かな……。とめ、た……? きっ、貴様なにものだ……!?」
「パン屋『デリシャ』のオーナー、ジェルヴェ・ルズロート。君もよく知っているはずだよ?」
「パン屋のオーナーが俺の攻撃を止められるはずがない!! なんなんだ貴様は!?」
「さあ、なんなんだろうね? なんだと思う?」
「ふっ、ふざけるな!! くっ、こうなったら――」
「お喋りを止めるんだね? じゃあ、もう終わりにしようか」
一旦後ずさり、距離と時間を稼いで対策を練る。そうするべくナイフを手放して後ろに飛び退ろうとしていたら、いつの間にかジェルヴェが懐に入り込んでいました。
「!? くそがっ! おおおおおおおおお!!」
「そんなパンチ、当たらないよ。せっかくだし、このナイフを使わせてもらおっかな」
目にもとまらぬ速さで、一閃。慌てて繰り出された右フックが届く前にロードの胸部を切り裂き、
「こ、んな……。こと…………が、ぁ…………」
巨体はどさりと、地面に崩れ落ちたのでした。
「まずは一匹で、このタイミングなら間に合わないこともないね。……マルスリーヌとランベールに近づくアレは、特に許せなかった。僕がやろう」
気を失ったロードを懐に忍ばせていた大きな袋に詰め込んだあと、軽々と抱えて馬車に戻り――
○○
(待機ご苦労。あとは僕がやる)
(承知いたしました)
パン屋『デリシャ』の勝手口を目指していた大男の肩をポンと叩いたジェルヴェは、足音を殺して移動。反対方向から勝手口へと近づいていた殺し屋ニザールが着く前に物陰に潜み、
((楽な、いや、つまらない仕事だな。つまらなすぎて欠伸がで))「むぐ!?」
(子どもに物音を悟られるようじゃ、まだまだだね。君の行き先はこっちじゃなくて、あっちだよ)
背後から近づいて口を塞ぎ、首を叩いて意識を刈り取る。ぐったりとしたニザールを肩に担いで走り去り、勝手口周辺には誰もいなくなったのでした。
○○
「ママ~。どう~?」
「なにも、居ないわね。いなくなったみたい」
「そっか~。じゃー戻ってるね~っ」
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