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第10話 違和感の正体
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やっと、やっと気が付いた。朝食中の違和感は、これだったんだ。
未来からやって来てくれた人、フェリック。彼は私とアレクの子供のはずなのに、アレクの面影はどこにもない。
髪の色や毛先とか、私の要素はしっかりとある。なのに上から下まで、どこを探してもアレクの要素はなかった。
その代わりにあるのは、ダニエルの要素。
ちょっぴりツリ目気味の瞳。その中にある、綺麗なブルーの瞳。
一番見える場所に、別人の『色』があったんだ。
……こんなにハッキリとしたところに共通点があるのに、全然気付けなかった……。
フェリックが見せてくれた、エンゲージリング。
あれを目にしていたから、それ以外の部分も受け入れてしまっていた……。
お母さんはクララで、お父さんはアレク。
最初に聞いた説明を、信じ込んでしまっていた……。
「母さん、そんな顔をしないでください。僕は全部を理解していて、その上で動いていたのですから」
呆然と涙を零していると、親指の腹でその涙を拭われる。
今から、消滅してしまうのに……。フェリックは幸せそうにしていて、私に気を遣ってくれる……っ。
「僕の内側も『外側』と同じで、本当に幸せなのですよ。母さんが幸せな人生を送れるようになって、嬉しいです」
「フェリック……っ。フェリック……っっ」
「なのでこのまま消えても本望、なのですが……。ごめんなさい。一つだけ、息子の我が儘を聞いてくれませんか?」
「聞くっ! もちろん聞くよっ!!」
また溢れてきていた涙を袖で拭いて、右手を両手で握り締めて見上げる。
まだ、消えさせない。せめて我が儘を聞くまでは、ここにいてもらう……っ。
「こっちは大きなものをもらったんだから、そっちにもあげないと不公平っ。ううんっ! そんなの関係なくって、フェリックに何かをしてあげたいっ!」
だから、何でも、遠慮なく言って。我が儘は、なに?
未来からやって来てくれた人、フェリック。彼は私とアレクの子供のはずなのに、アレクの面影はどこにもない。
髪の色や毛先とか、私の要素はしっかりとある。なのに上から下まで、どこを探してもアレクの要素はなかった。
その代わりにあるのは、ダニエルの要素。
ちょっぴりツリ目気味の瞳。その中にある、綺麗なブルーの瞳。
一番見える場所に、別人の『色』があったんだ。
……こんなにハッキリとしたところに共通点があるのに、全然気付けなかった……。
フェリックが見せてくれた、エンゲージリング。
あれを目にしていたから、それ以外の部分も受け入れてしまっていた……。
お母さんはクララで、お父さんはアレク。
最初に聞いた説明を、信じ込んでしまっていた……。
「母さん、そんな顔をしないでください。僕は全部を理解していて、その上で動いていたのですから」
呆然と涙を零していると、親指の腹でその涙を拭われる。
今から、消滅してしまうのに……。フェリックは幸せそうにしていて、私に気を遣ってくれる……っ。
「僕の内側も『外側』と同じで、本当に幸せなのですよ。母さんが幸せな人生を送れるようになって、嬉しいです」
「フェリック……っ。フェリック……っっ」
「なのでこのまま消えても本望、なのですが……。ごめんなさい。一つだけ、息子の我が儘を聞いてくれませんか?」
「聞くっ! もちろん聞くよっ!!」
また溢れてきていた涙を袖で拭いて、右手を両手で握り締めて見上げる。
まだ、消えさせない。せめて我が儘を聞くまでは、ここにいてもらう……っ。
「こっちは大きなものをもらったんだから、そっちにもあげないと不公平っ。ううんっ! そんなの関係なくって、フェリックに何かをしてあげたいっ!」
だから、何でも、遠慮なく言って。我が儘は、なに?
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