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第3話 意味のない緊急会議と、不思議な出来事 俯瞰視点(2)
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「!? なんてことを!! レネーっっ‼ 貴様何をやっているんだ!?」
突如室内に、グスターヴの怒声が響き渡りました。彼が突然目を吊り上げて怒り始めた理由、それは大事な大事なリングが――この国一の秘宝、聖女の力の根源となる『ギフト』が、床に転がったからです。
「きさっ、貴様‼ この国の宝を投げたな!? ひっ、拾え!! 早く拾えこのバカ女ぁあ!!」
「お前は何をしておるのだ!! かっ、可及的速やかに拾い上げろ! そしてただちにギフトに謝罪をするのだ!!」
「聖女レネー!! はやくなさい!!」
「まっ、待って! 待ちなさいって! 違う!! そうじゃない!!」
王太子と国王と王妃、それだけではなく第2第3王子や宰相たちも。鋭い視線と大声を一斉に浴びたレネーは、椅子から立ち上がって首と両手を大きく左右に振りました。
「わたしは投げてなんかいないのよ! 勝手にこうなったの!! 指から勝手にはずれてっ、勝手にポーンっとそこに飛んでったのよ!!」
「バカ言え!! そんなことがあるはずないだろう!! 下手な言い訳はよせ――…………。下手な言い訳、では……。ない、ようだな……」
全力で否定をするレネーの唇や肩は小刻みに震えていて、明らかに動揺していました。異様な経験をしてしまったと、瞭然でした。
そのためグスターヴのトーンはあっという間に下がり、彼は落ちているリングを恐る恐る見つめました。
「父上、母上……。本当に、ひとりでにこうなってしまっているようです……。ど、どうなっているのでしょうか……?」
「わ、わたしにも、分からん……。お、お前達っ! 文献には、このような記述はなかったよな……⁉」
「「「「「え、ええ……。ございませんでした……」」」」」
「「「「「勝手に動くという情報は、どこにも載っておりません……」
現存している資料全てに目を通した、宰相たち。彼らは震える声で、肯定を返しました。
「「「「「ひ、ひぃぃぃ……。ひぃぃぃぃぃ……!」」」」」
「なんてことだ……。まただ……。また、前代未聞が発生してしまったではないか……」
「ぁぁぁ……。いや…。もう、やめてちょうだい……」
「ただでさえ大変なのに、謎が増えるだなんて……! 最悪だ!! 最悪の状況じゃないかうああああああああああ!? うっ、ううううううう動いてる!! リングがまた動いているぞ!!」
グスターヴが突き出した人差し指の先では、リングが独りでに転がり床を進んでいました。そしてソレは全員が唖然となっている間に部屋の壁に到達し、
コンコン コンコン コンコン コンコン
今度は、何度も何度も壁に体当たりを始めました。
「これは……。これって……。この方向に、進みたがっているのかしら……?」
「そ、そうだと、思います。こ、この方向に……。なにがあるんだ……?」
母親に頷きを返したグスターヴは、その方角――南を見つめ、ごくりと唾を飲んで考え始めます。
「ギフトが動くということは、聖女絡みのはず……。この方向にある、聖女に関係することは…………」
「「「「「………………」」」」」
そうして彼だけではなく全員による思案が始まり、28人で唸り始めから4分後のことでした。俯きがちになっていたグスターヴの顔が、突然上がって――
突如室内に、グスターヴの怒声が響き渡りました。彼が突然目を吊り上げて怒り始めた理由、それは大事な大事なリングが――この国一の秘宝、聖女の力の根源となる『ギフト』が、床に転がったからです。
「きさっ、貴様‼ この国の宝を投げたな!? ひっ、拾え!! 早く拾えこのバカ女ぁあ!!」
「お前は何をしておるのだ!! かっ、可及的速やかに拾い上げろ! そしてただちにギフトに謝罪をするのだ!!」
「聖女レネー!! はやくなさい!!」
「まっ、待って! 待ちなさいって! 違う!! そうじゃない!!」
王太子と国王と王妃、それだけではなく第2第3王子や宰相たちも。鋭い視線と大声を一斉に浴びたレネーは、椅子から立ち上がって首と両手を大きく左右に振りました。
「わたしは投げてなんかいないのよ! 勝手にこうなったの!! 指から勝手にはずれてっ、勝手にポーンっとそこに飛んでったのよ!!」
「バカ言え!! そんなことがあるはずないだろう!! 下手な言い訳はよせ――…………。下手な言い訳、では……。ない、ようだな……」
全力で否定をするレネーの唇や肩は小刻みに震えていて、明らかに動揺していました。異様な経験をしてしまったと、瞭然でした。
そのためグスターヴのトーンはあっという間に下がり、彼は落ちているリングを恐る恐る見つめました。
「父上、母上……。本当に、ひとりでにこうなってしまっているようです……。ど、どうなっているのでしょうか……?」
「わ、わたしにも、分からん……。お、お前達っ! 文献には、このような記述はなかったよな……⁉」
「「「「「え、ええ……。ございませんでした……」」」」」
「「「「「勝手に動くという情報は、どこにも載っておりません……」
現存している資料全てに目を通した、宰相たち。彼らは震える声で、肯定を返しました。
「「「「「ひ、ひぃぃぃ……。ひぃぃぃぃぃ……!」」」」」
「なんてことだ……。まただ……。また、前代未聞が発生してしまったではないか……」
「ぁぁぁ……。いや…。もう、やめてちょうだい……」
「ただでさえ大変なのに、謎が増えるだなんて……! 最悪だ!! 最悪の状況じゃないかうああああああああああ!? うっ、ううううううう動いてる!! リングがまた動いているぞ!!」
グスターヴが突き出した人差し指の先では、リングが独りでに転がり床を進んでいました。そしてソレは全員が唖然となっている間に部屋の壁に到達し、
コンコン コンコン コンコン コンコン
今度は、何度も何度も壁に体当たりを始めました。
「これは……。これって……。この方向に、進みたがっているのかしら……?」
「そ、そうだと、思います。こ、この方向に……。なにがあるんだ……?」
母親に頷きを返したグスターヴは、その方角――南を見つめ、ごくりと唾を飲んで考え始めます。
「ギフトが動くということは、聖女絡みのはず……。この方向にある、聖女に関係することは…………」
「「「「「………………」」」」」
そうして彼だけではなく全員による思案が始まり、28人で唸り始めから4分後のことでした。俯きがちになっていたグスターヴの顔が、突然上がって――
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