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エピローグ 1年後
しおりを挟む「アシル、ソフィア君。おめでとう」
「アシル兄様。ソフィア様――ソフィア義姉様。おめでとうございます」
「アシル兄、ソフィア姉。おめでとっ!」
「アシル様、ソフィア様。本日はおめでとうございます」(殿下、おめでとうございます)
「アシル様、ソフィアお嬢様。御結婚、おめでとうございます」(ソフィア。おめでとう)
あれから、およそ1年後。わたし達はお城で、王族の皆さんやイーナル夫妻――ライアンとメリッサさんに祝福をされています。
今日はわたしの誕生日で、ついに結婚ができる年齢になりました。そこでアシルさんが『待ちきれないから』とこの日に設定をしてくれて、誕生日パーティーが終わったあと結婚式を行っています。
「やっと、もう一度夫婦になれる時が来たね。あの日から今までも沢山仲良くしてきたけど、やっぱり正式な家族じゃなかったから……。改めてスタートラインに立てた気がするよ」
「わたしも、同じ気持ちです。改めて始まり、ですね」
ルシアンとフィアナではできなかったことを、アシルとソフィアとして行う。希望に満ちた『続き』、の始まりです。
「僕の死後に君が前を向いてくれなければ、現世でも僕は死んでいた。この記憶は、決して蘇らなかった。遥か昔から想い続けてくれて、ありがとう」
「いいえ、お互い様ですよ。貴方が約束しようとしてくれなれば折れていたはずですし、想って独り悔やんでくれなければ蘇る事はなかったかもしれません。こちらこそ、ありがとうございます」
わたし達は互いにお辞儀をし合って、恐らくはタイミングを見計らってくださっていたのでしょう。式を取り仕切る陛下が後方にある金色(こんじき)の鐘――祝福する音を鳴らし、参加者全員の視線がわたし達に口に集まりました。
王家の式は、キスで終わるという仕来りがあります。ですので皆さん、大事な瞬間を逃さないようにしてくれているみたいです。
「大勢に見守られながらは、恥ずかしいけれど。やっぱり、嬉しさが上回っちゃうね」
「右に同じ、です。……ルシアンさん。アシルさん。今も昔も、愛してます」
「フィアナ。ソフィア。僕も、今も昔も愛しているよ。ここからは僕が約束を守る番で、誰よりも幸せにするからね」
目を瞑っていると唇に温かくて柔らかいものが当たり、わたしは優しく抱き締められながらキスを行いました。
そうして無事に、2回目の結婚式が終わり――。入れ替わりに、2度目の新婚生活が始まることになりました。
――人生というものは、分かりません。
――いつ何がどうなって、どんなことが起こってしまうか分かりません。
ですが、わたし達は大丈夫です。何がどうなっても、どんなことが起きてしまっても、大丈夫です。
だってここにいる2人は、長い時を経て再会し、大きな困難を乗り越えた2人なのですから――。
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