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第21話 回想・補完編その2~人としての好きが、異性としての好きになる~ レオナード視点(2)

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《第二王子の恋人》
《第二王子が調律師を務めるピアニスト》

 もしも、告白を受け入れていただけた時は――交際を始めた場合は、立場上どうしても公表しなければならない。
 その結果ステラ様は、色眼鏡で見られるようになってしまう。
 今後賞を獲得された際には『王族の息がかかっているから』や『第二王子のおかげ』と陰口を叩かれるようになってしまい、最悪それらによってピアニストを続けることができなくなってしまう危険性が――『世界一のピアニストになる』というステラ様の夢が、強制的に絶たれてしまう危険性があった。
 そういう噂は非常にタチが悪く、支障をきたしてしまうという嫌な確信があった。
 だから――

((ステラ様の実力が、世の中に認知されるまで待とう))

 活躍は自力によるもの。第二王子は一切関係ない。それを証明できる時が来たら正体を打ち明け、想いを告げようと決めた。
 そのため『好き』に一時的な蓋をして、公務を行いながら調律師として動き続けて――1年半が経った頃だった。2つ隣の国の第3王子のもとに嫁いだ、親友の姉――オーバンの姉の命が狙われるという計画が蠢き、それの処理を済ませて帰ってきた直後のこと。いつものように調律に訪れた僕を、予想外のニュースが待っていた。

『おおっ、ヴィクター殿っ。聞いてくだされっ。ステラが交際を始めたのですよっ!』

 僕が2週間ほど離れている間に悪評というトラブルが発生し、その解消が切っ掛けとなって恋人ができていたのだ。

 ――正直に言うと、とにかく悔しかった。何度も何度も後悔をした。己の判断を憎んだ――。

 だが、ステラ様が選んだ相手。ステラ様の窮地を救った人。
 そのため僕は一時的ではなく生涯『好き』に蓋をすると決め、ステラ様の幸せを見守ることにした。のだけれど――その十一か月後に婚約解消が発生し、それを切っ掛けとして状況が大きく変わることになったのだった。

 ――マーティンを、許せない――。

 ――二度とこんなことが起きないように、大切な人を傍で護り続けたい――。

 なので僕は捏造の証拠を集めて、ソレや鳥たちのおかげもあって、ステラ様の心を救うことができた。そしてその数日後ステラ様は時の人となり、彼ら親子を裁ける準備もちょうど整った。
 そこであの日僕は、月桂樹をあしらったリングを――王族が交際を申し込む時に用意するものを懐に忍ばせ、ステラ様のもとを訪れた。のだけれど……。
 またもマーティンによる問題が発生。そのため予定を変更し、この件が解決したら、想いを告げると決めたのだった――。

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