催眠探偵術師のミク

柚木ゆず

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3 はじめまして(5)

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 あのあと休み時間ごとに校内を歩き回り、ついに放課後になりました。わたし達は一時間目の休み時間にお喋りをした場所で、3人で会ってます。

「夢卯ちゃんと扇ちゃんが手伝ってくれたおかげで、準備はバッチリですっ。じゃー作戦を始める前に、ご説明をしておくね」
「何が放課後にとっても役立つのか、ずっと気になってたの。教えてもらえると助かるわ」
「私も、気になりますね~。どのような意図があるのでしょうか~?」

 こほん。ではではご説明させていただきましょーっ。

「あのね。お手紙の脅迫と捜査の噂が広まって、わたし達が実際にあちこち動いてる。そうしたら学校中のみんなが、必死になって犯人を捜し出そうとしてると思うよね?」
「ええ、そうね」「そうですね~」

 夢卯ちゃんと扇ちゃんは、コクッと頷く。
 大事な親戚が脅されて、毎時間動き回ってるんだもんね。全力でやっていると思わないはずがないよね。

「だとしたら――すぐに犯人を見つけちゃっても、おかしくないよね? つまり催眠術を使ってその日のうちに解決しても、怪しまれないってことなんだよー」

 必死に、校舎を歩き回っていたからねー。そうやってるうちに情報を手に入れたんだ、と感じちゃう。

「そっか! この状態なら違和感なく、ママがリストアップしてくれた犯人候補を調べられるのねっ」
「んっ。わたしが催眠術を使った記憶とかは犯人から消せちゃうけど、わたしがたった一日で解決しちゃったら『あれ?』ってなっちゃうもんね。偶然の発見があってもおかしくないよーに、一日中『本気の姿勢』をアピールしてたんだよ」

 佐々木家の鉄則で、催眠探偵術師を他の人にはお伝えできない。だからこのよーにしておいたのですっ。

「うふふ~。でしたらあとは、その七人さんを順に当たっていけば解決ですね~」
「催眠術でウソを吐けなくなるから、絶対に見つかるわっ。ミクちゃん、よろしくお願いしますっ」
「はいっ、任せてっ。じゃーまずは、2年生の草原樹梨(くさはらじゅり)ちゃんを調べしましょー」

 最初の子は、学園長先生が用意してくれたリストの中にいる……ボブヘアーの大人しそうな子に決定。樹梨ちゃんはバスケ部所属とあるので、わたし達は練習をしてる体育館を目指したのでした。




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