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第13話 目覚めたらそこは 俯瞰視点(2)
しおりを挟む「おいっ、ここはどこなんだ!? なんのもくて――………………」「ここはどこなんですの!? なんのためにわたくしたち――…………」
扉が動き出したと同時に騒がしく喋り始めていた二人の口は、突然ピクリとも動かなくなってしまいました。
静かになり、おまけに仲良く後ずさってしまった理由。それは――
現れたのは、異様な格好をした男だったから。
真っ白なローブのようなものを纏い、真っ白な仮面をつけた男。そんな者がやって来たので、揃ってこのような反応となっていたのです。
「なっ、なあ!? おまっ、お前はっ! お前は何者だ!?」
「だっ、誰ですの!? 何なんですの!?」
「ΘΔΒΠ※◇□●。☆§±ΞΤΦΠ」
「「…………。え…………?」」
二人の問いかけに返ってきたのは、一言も理解できない言葉。まったく意味が分からない返事をされてしまい、イーサンとアヴリーヌは戸惑いながらポカンと口を開けました。
「……な、なんだって……?」
「……なんて、言いましたの……?」
「☆〇αΣΩ■★◆◎▽▲。◇÷ΖηΠΘ※」
「え……? え……っ?」
「え……? ぇ……?」
「□◎★※Θβ●▲Ξ――そうか、この言語は通じなかったんだな。どうだ? これなら通じるか?」
「…………あ、ああ。分かる」「…………え、ええ。分かりますわ」
男が軽く咳払いをしたあとから、言葉を理解できるようになりました。そのため二人は頷き、二つの口はすぐさま再び動き出します。
「なっ、なあっ! お前は何者なんだ!? どうして俺達を運んでいるんだ!?」
「さっきまでお屋敷の応接室にいたはずなのに! どうなってますの!? 貴方は何者なんですの!?」
「…………礼儀がなってない者に答えたくはないが、仕方がない。いいだろう、その問いに応じてやる」
謎の男は、大仰に嘆息。たっぷりと呆れの息を吐いた後――
「オレはお前達が言うところの、『あの世』の管理者のひとり。神の命を受け、2人の死者を『箱庭』へと運んでいる最中だ」
――先ほど以上に、イーサンとアヴリーヌが取り乱すことを告げたのでした。
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