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第13話 目覚めたらそこは 俯瞰視点(3)

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「あの世!? 死んでいる!? 俺達が!?」「身体がちゃんとあるのに!? わたくし達が死んでいる!?」

 気絶前の出来事を思い出していて、どちらにも毒を飲んだという認識はありました。ですが以前と何一つ変わらない――本などで読んだ死後の状態とあまりにもかけ離れていたため、二人は何かしらの理由で生きていると確信していました。

「死後現世に死体が残るが、こちら側に移動した際に新たな肉体が創られるんだ。……こちらを訪れた事のない者が記した内容を信じるとは。死因も含め、本に哀れだな」
「し、死因……。そっ、そうだ! 死因だ!! どうなってるんだ!?」
「わたくし達は死なない毒を飲んだのに! なぜ死んでしまっていますの!?」
「理由? 実に単純でバカバカしいものだったぞ。お前達は、誤って猛毒を受け取っていたんだよ」

 毒を依頼した際に相手が間違ってしまい、危険なものを渡して飲んだ。あの『喜劇』の原因を楽し気に告げ終わると、二人はへたへなとその場にへたり込んでしまいました。

「そ、そんな……。そんなことがあるだなんて……。最悪だ……」
「そんなミスで、死ぬなんて……。ひどい……。最低…………ですわ……」
「最悪? 最低? 最高の間違いだろう。『二人で別の世界へ』、期せずしてその願いが叶ったんだからな」
「あっ、あれは嘘だ!! そこまで知ってるなら分かってるだろう!! 俺達にそんなつもりはなかったんだよ!!」
「わたくし達は今の地位などを保ったうえで! 一緒になりたかったんですわ!! こんな場所で一緒になっても嬉しくありませんわ!!」

 伯爵家が持つ権力や財やパイプ。それらの維持が大前提だったため、二人は乱暴に頭を掻きむしりました。

「くくく、そうだな。あれは悪質な法螺だったな。――故に神が特別な仕置きを用意したという事を、失念してしてしまっていた」
「…………とくべつな、しおき……」
「かみが、とくべつ……。なっ、なんなんですのそれは!?」
「『箱庭』。その単語を覚えているだろう?」

『オレはお前達が言うところの、『あの世』の管理者のひとり。神の命を受け、2人の死者を「箱庭」へと運んでいる最中だ』

 それはついさっき出た台詞の中に含まれていたため、二人は恐々頷きを返しました。

「は、箱庭……。それは、なん、なんだ……?」
「そいつは、お前達がよく知っている『箱庭』と同じ意味を持つもの。要するに、外界から実質隔離された場所だ」
「そんな場所にわたくし達を連れて行って……。なにをするつも――!」
「アヴリーヌは――イーサンも、やっと気が付いたようだな。ああそうだ、正解だ」

 心底楽しげに、喉を鳴らしたあと。仮面の男は追い打ちをかけるかの如く、わざわざ大きな声でこう紡いだのでした。

「二人で一緒に居たい、と言っていたからな。二人で一緒に居られるように、その新たな肉体が朽ちるまでソコに放り込んであげる・・・のさ」
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