婚約を解消してくれないと、毒を飲んで死ぬ？ どうぞご自由に

第15話 その後のソフィアとオリヴァーは 俯瞰視点（１）

「姉さん、すべての作業が終わりました。あの二人は引き続き自分達が死んでしまったと思い込み、ちゃんとルールを守って・・・・・・・・・・・『サレヴァー山』で自給自足の生活を行っていますよ」

　イーサンとアヴリーヌが失神し運ばれてから、およそ５日後。散らかっていた吐瀉物などがなくなり、すっかり綺麗になった応接室。
　そこへ密かな現場確認や後処理などを済ませたオリヴァーが入室し、待っていたソフィアに以降の説明を行いました。

「そう、ありがとうオリヴァー。……死を利用しようとして、死に囚われてしまう。仕方がないことよね」
「はい、自業自得な結末です。兄さんとアヴリーヌ姉さんは、それだけのことをしてしまったのですからね」

　毒の準備をしたり芝居をしたり、チャンスを棒に振ったり、更には形見を盾に服従させたり。二人が犯した罪を振り返り、それが済むと、オリヴァーは深々と腰を折り曲げました。

「ソフィア姉さん、改めて謝罪をさせていただきます。我が兄が、多大なるご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした」
「ううん。前にも言ったと思うけど、貴方のせいではないわ」

　ソフィアは、即答。すぐさま首を左右に振り、彼女もまた、オリヴァーと同じ動作を行いました。

「こちらこそ、改めてありがとう。そして、ごめんなさい。わたしが甘かったせいで、余計な手間を取らせてしまったわ」


『イーサンにも、アヴリーヌにも。良い点もあるのよね』

『……だから……。一度だけ、チャンスを用意しましょう』


　あの判断は優しさなどではなく、単なる甘さ。あそこでしっかり処していれば――。
　ソフィアの中にはそういった思いがあり、声と動作で心のうちを表しました。

「わたしもこの件で色々なことを考え、いくつものことを痛感して、多くのことを学んだわ。それでね、オリヴァー。これからは直面したことに対して、後回しにするのは止めると決めたの」

　〇〇だから、一回〇〇を。こんなことは、『逃げ』は、二度としない。
　ソフィアはそう誓い、だから――

「だからね、今この場で伝えるわ。…………オリヴァー。わたしは今、貴方に好意を抱いているわ。幼馴染としてだけではなく、異性としても」

　あの日から今日まで。六日の間に出していた『答え』を、はっきりと告げたのでした。