30 / 41
第16話 アントナン達は ~奇跡が起きる時~ 俯瞰視点(4)
しおりを挟む
「「「「「……………………。え? え……?」」」」」
5時間以上満面の笑みを浮かべていた5人は、揃って呆然となりました。
なぜならばさっきまで食堂にいたはずなのに、いつの間にかテーブルで突っ伏していた――作戦会議場にしていた場所に、いたからです。
「食堂じゃ、ない……? あんなに飲み食いしたのに…………腹が、減っている……?」
「あ、アントナン、わたしもだ。あれほどワインを飲んだというのに…………酔いも、まったくない……」
「ね、ねえ、あなた……。服も、違っているわ……。ドレスに着替えたはずなのに……作戦会議をしている時に、戻っている……」
「入浴して汗を流したはずなのに……。汗臭いまま……。整えたはずの髪も、汗や脂でべたべたになっています……」
「ボク……興奮しちゃって、食事中にベロを噛んだのに……。どこにも、その傷がないんだ……」
「どうなっているんだ!? なにがおき――トーマス居たのか!? おっ、おい! 何が起きた!? 何か知らないか!?」
狼狽しながら椅子から立ち上がり、アントナンは――5人全員で、いつの間にか入室していた宰相に詰め寄ります。
そうすると――
「引継ぎ作業についてお話がありノックをしたのですが反応がなく、急ぎのため扉を開けますと全員が眠っておられました。ですのでわたくしめは、間近でお声がけを行ったのですよ」
――トーマスの口からは、信じられない言葉が飛び出しました。
「「「「「……眠って、いた……?」」」」」
「はい、眠っておられました」
「「「「「……食堂で、パーティーをしていた、のに……?」」」」
「パーティー……? そういったものは開かれておりませんよ?」
「「「「「……………………」」」」」
それらの返事を聞いて、5人の頭に共通の『最悪の予想』が過ぎりました。
聞きたくない。でも、聞くしかない。
そんな思いで、5人はごくりと唾を呑み込みながら――
「「「「「もしかして……。退位命令を撤回するという書類は、届いて、ない……?」」」」」
「届いておりません。撤回なんて、有り得ないことですよ。……結局なにも意見できなかったわたくしめも含め、関係者は全員が相当の責任を取らなければなりません」
――確認を行い、その結果、ようやく理解をしました。
すべて、夢だったのだと。
『……そう、だったのか……! 奇跡だ! お前達っ、奇跡が起きたぞ……!』
『ええ、父上……!! 奇跡が起きました!!』
『そうね! 奇跡が起きたわ……!』
『はい……!! 奇跡です……!!』
『やった……! やったよ……!! 奇跡が起きたぁ……!!』
確かに、あの時奇跡は行っていました。
ですが、その奇跡は――
5人全員で同じ夢を見る。
といったものだったのです。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
天国から地獄。
何時間も幸せを実感してしまったことによりそのショックは何倍にも膨れ上がり、更には72時間の不眠不休による心身の衰弱もありました。
あまりにも大きな衝撃が5人の精神を襲い、それによって――
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
――全員まったく同じタイミングで口から泡を吹き出し、そのまま真後ろに卒倒して――
5時間以上満面の笑みを浮かべていた5人は、揃って呆然となりました。
なぜならばさっきまで食堂にいたはずなのに、いつの間にかテーブルで突っ伏していた――作戦会議場にしていた場所に、いたからです。
「食堂じゃ、ない……? あんなに飲み食いしたのに…………腹が、減っている……?」
「あ、アントナン、わたしもだ。あれほどワインを飲んだというのに…………酔いも、まったくない……」
「ね、ねえ、あなた……。服も、違っているわ……。ドレスに着替えたはずなのに……作戦会議をしている時に、戻っている……」
「入浴して汗を流したはずなのに……。汗臭いまま……。整えたはずの髪も、汗や脂でべたべたになっています……」
「ボク……興奮しちゃって、食事中にベロを噛んだのに……。どこにも、その傷がないんだ……」
「どうなっているんだ!? なにがおき――トーマス居たのか!? おっ、おい! 何が起きた!? 何か知らないか!?」
狼狽しながら椅子から立ち上がり、アントナンは――5人全員で、いつの間にか入室していた宰相に詰め寄ります。
そうすると――
「引継ぎ作業についてお話がありノックをしたのですが反応がなく、急ぎのため扉を開けますと全員が眠っておられました。ですのでわたくしめは、間近でお声がけを行ったのですよ」
――トーマスの口からは、信じられない言葉が飛び出しました。
「「「「「……眠って、いた……?」」」」」
「はい、眠っておられました」
「「「「「……食堂で、パーティーをしていた、のに……?」」」」
「パーティー……? そういったものは開かれておりませんよ?」
「「「「「……………………」」」」」
それらの返事を聞いて、5人の頭に共通の『最悪の予想』が過ぎりました。
聞きたくない。でも、聞くしかない。
そんな思いで、5人はごくりと唾を呑み込みながら――
「「「「「もしかして……。退位命令を撤回するという書類は、届いて、ない……?」」」」」
「届いておりません。撤回なんて、有り得ないことですよ。……結局なにも意見できなかったわたくしめも含め、関係者は全員が相当の責任を取らなければなりません」
――確認を行い、その結果、ようやく理解をしました。
すべて、夢だったのだと。
『……そう、だったのか……! 奇跡だ! お前達っ、奇跡が起きたぞ……!』
『ええ、父上……!! 奇跡が起きました!!』
『そうね! 奇跡が起きたわ……!』
『はい……!! 奇跡です……!!』
『やった……! やったよ……!! 奇跡が起きたぁ……!!』
確かに、あの時奇跡は行っていました。
ですが、その奇跡は――
5人全員で同じ夢を見る。
といったものだったのです。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
天国から地獄。
何時間も幸せを実感してしまったことによりそのショックは何倍にも膨れ上がり、更には72時間の不眠不休による心身の衰弱もありました。
あまりにも大きな衝撃が5人の精神を襲い、それによって――
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
「……………………おぶ」
――全員まったく同じタイミングで口から泡を吹き出し、そのまま真後ろに卒倒して――
625
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる