わたしはお払い箱なのですね? でしたら好きにさせていただきます

柚木ゆず

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第17話 身勝手な者の末路その1~アントナン達・5人の場合~ 俯瞰視点

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「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」

 王城で揃って泡を吹いた日から、半年後。アントナン達の姿は、ラクリナズ内に建つとある医療機関にありました。

「ザダル様、ヴァーレア様、アントナン様、ニック様、ライナー様。朝ご飯の時間ですよ」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」

 専属看護師を務める女性がベッドにいる5人の前に料理を出すと、アントナン達は無表情で淡々と食事を始めました。

 ――アントナンも父ザダルも母ヴァーレアも弟ニックとライナーも、あの頃からずっとこの調子――。

 あのショックで精神が崩壊してしまい、言われたことだけを無表情で行う人形となってしまっていたのです。

「お昼になったら、外をお散歩しましょうか」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」

「そろそろ就寝時間です。ベッドに入ってください」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」
「………………はい」

 朝も昼も夜も、ずっとこんな調子。
 何があっても喜ぶことも悲しむこともなく、あらゆることを『無』で行います。


『お願いだ!! 頼む!! 一度だけでいいからっ、大目にみ――…………。そう、だな……。チャンスなどもらえるワケがないよな……。分かった、潔く退こう。ただ、ひとつだけ頼みがある』

『俺が――俺達に、4日……いや、6は必要……。しかしそれは、聖女様を待たせすぎるな……。5…………5日間だけ猶予を欲しいんだ』


 あの時、あんなことを言い出さなければ――。


『じゃあ貴様らは唯々諾々と従うのか!? せっかくこの手にある幸せの全てが失われてしまうのだぞ!? それどころか苦労苦痛に満ちた第二の人生が始まってしまうんだぞっっ!? いいのかそれで!?』
『いやだ!』
『いやです!』
『嫌よ!』
「いいわけないだろう!!」


 あの時、あんなことを言い出さなければ――。

 こんな未来はありませんでした。
 日常を失ってはいたものの、それなりの人生を歩むことはできていました。
 ですが5人は一切省みず、それどころかシュザンヌを恨み、どうにかしてしがみ付こうとしてしまったことによって――

「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」

 地位権力名声だけではなく、あらゆるものを失う羽目になってしまったのでした――。


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