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ライオン傭兵団編
episode11
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トン、トン、トンッ、っと沈黙が軽やかにステップを踏むこの空気を、真っ先に破ったのはベルトルドだった。
「貴様っ! これだけの超級美少女だぞ何が不満なんだ!!」
「そんなこと言われなくても見れば判りますよ美少女なのは!」
「だったら偉そうに却下とか言っとらんでさっさと手続きを済ませんか戯け!!!」
「ウチにはメイドはイラナイと言っているんですよ!!」
グヌヌヌッと額を突き合わせて激しく言い合っていたが、ふとベルトルドは目をぱちくりさせた。
「ぬ? メイド?」
「ええ、そうです。どうせあなたの美少女趣味で選んできたメイドでしょうが、ウチはメイドは雇いません」
姿勢を正し、カーティスは疲れたように「ふうっ」と溜め息をついた。
「馬鹿者、誰がメイドの斡旋をしているんだ。彼女は傭兵だ、傭兵」
口をへの字に曲げると、ベルトルドはムッとカーティスを睨む。
「……傭兵?」
不思議そうに呟いて、カーティスはキュッリッキを見つめた。そしてすぐに「やれやれ…」と首を横に振る。
「ナイフすら持ったこともないような細腕に、まして魔力も感じられず、恐らくサイ《超能力》もないでしょう。こんなに華奢な少女の、どこが、傭兵なんですか?」
シンプルなワンピース姿は、キュッリッキの細っそりとした身体の線を、素直に浮き上がらせている。確かにこんな儚げな姿の少女を、傭兵と言われて信じるものはいないだろう。
そう言うと思った! といったふうに、ベルトルドは勝ち誇ったようにニヤリと笑う。
「フンッ! いいか、聞いて驚け。この子は召喚スキル〈才能〉を持っているのだ!」
「……え?」
今度はカーティスが驚いて、ベルトルドとキュッリッキの顔を交互に見る。
たっぷりと間を置いたあと、
「ご冗談を」
と言って薄く笑う。
「いちいち冗談を言いに来るほど、俺は暇ではないぞ、馬鹿もん!」
「本当…なんですか…」
「ああ、本当だ。そら、この子の瞳をよく見てみるがいい」
「ん?」
言われるがままカーティスは腰を屈めると、キュッリッキの顔を覗き込んだ。
「ああ……本当ですね」
先ほどのノリとは打って変わって、打ち震えるような声を出し、カーティスは暫くキュッリッキの瞳に魅入っていた。召喚スキル〈才能〉を持つ者の瞳には、虹色の光彩がまといついているという情報を、カーティスも知っている。キラキラと煌くこんな不思議な瞳を実際に見るのは、初めてのことだった。
ゆっくりと身体を起こすと、カーティスは腕を組んで、神妙な顔で黙り込んだ。
ベルトルドとカーティスのやりとりについて行けず、しかも入れるのか入れないのかはっきりしないこの状況に、キュッリッキは居たたまれなくなって俯いた。
(どっちなのかな…)
心の中でこっそり溜め息をついたとき、カーティスが沈黙を破った。
「彼女の入団には、条件があります」
「めんどくさい奴だな、なんだ、条件って」
ベルトルドがムッと答えると、カーティスはキュッリッキに視線を向ける。
「入団テストを受けてもらいます」
「貴様っ! これだけの超級美少女だぞ何が不満なんだ!!」
「そんなこと言われなくても見れば判りますよ美少女なのは!」
「だったら偉そうに却下とか言っとらんでさっさと手続きを済ませんか戯け!!!」
「ウチにはメイドはイラナイと言っているんですよ!!」
グヌヌヌッと額を突き合わせて激しく言い合っていたが、ふとベルトルドは目をぱちくりさせた。
「ぬ? メイド?」
「ええ、そうです。どうせあなたの美少女趣味で選んできたメイドでしょうが、ウチはメイドは雇いません」
姿勢を正し、カーティスは疲れたように「ふうっ」と溜め息をついた。
「馬鹿者、誰がメイドの斡旋をしているんだ。彼女は傭兵だ、傭兵」
口をへの字に曲げると、ベルトルドはムッとカーティスを睨む。
「……傭兵?」
不思議そうに呟いて、カーティスはキュッリッキを見つめた。そしてすぐに「やれやれ…」と首を横に振る。
「ナイフすら持ったこともないような細腕に、まして魔力も感じられず、恐らくサイ《超能力》もないでしょう。こんなに華奢な少女の、どこが、傭兵なんですか?」
シンプルなワンピース姿は、キュッリッキの細っそりとした身体の線を、素直に浮き上がらせている。確かにこんな儚げな姿の少女を、傭兵と言われて信じるものはいないだろう。
そう言うと思った! といったふうに、ベルトルドは勝ち誇ったようにニヤリと笑う。
「フンッ! いいか、聞いて驚け。この子は召喚スキル〈才能〉を持っているのだ!」
「……え?」
今度はカーティスが驚いて、ベルトルドとキュッリッキの顔を交互に見る。
たっぷりと間を置いたあと、
「ご冗談を」
と言って薄く笑う。
「いちいち冗談を言いに来るほど、俺は暇ではないぞ、馬鹿もん!」
「本当…なんですか…」
「ああ、本当だ。そら、この子の瞳をよく見てみるがいい」
「ん?」
言われるがままカーティスは腰を屈めると、キュッリッキの顔を覗き込んだ。
「ああ……本当ですね」
先ほどのノリとは打って変わって、打ち震えるような声を出し、カーティスは暫くキュッリッキの瞳に魅入っていた。召喚スキル〈才能〉を持つ者の瞳には、虹色の光彩がまといついているという情報を、カーティスも知っている。キラキラと煌くこんな不思議な瞳を実際に見るのは、初めてのことだった。
ゆっくりと身体を起こすと、カーティスは腕を組んで、神妙な顔で黙り込んだ。
ベルトルドとカーティスのやりとりについて行けず、しかも入れるのか入れないのかはっきりしないこの状況に、キュッリッキは居たたまれなくなって俯いた。
(どっちなのかな…)
心の中でこっそり溜め息をついたとき、カーティスが沈黙を破った。
「彼女の入団には、条件があります」
「めんどくさい奴だな、なんだ、条件って」
ベルトルドがムッと答えると、カーティスはキュッリッキに視線を向ける。
「入団テストを受けてもらいます」
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