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舞踏会に連れてかれた

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殿下と婚約し、三ヶ月程が過ぎた。

今夜は殿下のパートナーとして舞踏会に参加だ。

このような華々しい場所にはとんと縁の無かった自分だ。
お門違いにも程がある。

だが、殿下の婚約者となってしまった以上、欠席する訳にはいかなかったのだ。

「アークス、緊張してるのかい?」

「はい。
初めての舞踏会ですから。」

一応、ダンスも習った。

昔覚えたダンスは男性パートだったので、殿下と踊る為に女性パートを覚え直したのだ。
踊らないで済むならば、それが一番良いが。


殿下が他の貴族たちと談笑する後ろに立ち、静かに見守る。
なるべく存在感をを消して、自分に注意が向かないように願っていた。

「殿下、婚約者殿を紹介してくださらないのですか。」

ニヤニヤと嫌味な感じに嗤う貴族がそう言った。
ああ、面倒だ。
だから、上級貴族は厄介なんだ。

「そうだね、紹介しようか。
婚約者のアークス・フレッドベリーだ。」

「平凡な方ですね。」

「ふふふ、可愛いだろう。」

はぁ、ウンザリする。
軽く会釈して、流れる楽曲に注意を向けた。

うん?
楽士のいる方がなんだかざわついている。
何かあったのだろうか?

「おや、どうかしたのかな?
あちらに行ってみようか。」

殿下が楽士の方に向かったので、自分も着いていく。

「どうかしたのかい?」

殿下に尋ねられた楽士が説明をした所では、どうやら楽器の不調のようだった。

音色を増幅する魔法機器が上手く働いていないようだった。

「困ったね。
今から代わりの機器を用意しても間に合わないだろうし。
不調な音色では舞踏会は失敗だろうね。
さて、どうしたものか。」

魔法機器のメンテナンスならば、自分の出番かも知れないな。

「殿下、自分がみても良いでしょうか?」

「アークスが?
そうだね、君の分野か。
頼む、何とかしてくれ。」

殿下の了解をもらい、不調の楽器を調べ始めた。
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