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13話 アレン視点3
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アシュリーの妹が毎日学園に来るようになった。
どうやらアシュリーは無視してるようだが、ジャネットは健気にもアシュリーが許してくれるのを待ってるようだ。
くぅ~~~! なんとかなんねぇのかよ、この状況!
「アレン、ジャネットの事なのだが……何とかアシュリーと会わせられないだろうか」
「ああ、俺もどうにかならないかと思ってる。でもなぁ、アシュリーの気持ちも分かるから、無理を言う訳にもいかねぇし……」
最近はアシュリーと話をしてない。
朝の挨拶だけして、後はバラバラだ。
なんだよ、このモヤモヤした感じは、アシュリーと話をしたいのに、話すと愚痴を言ってしまいそうで怖い。
アシュリーは何も悪くないのにな。
「んん? おい、また苦しそうに立ってるぞジャネット嬢」
「おおっと、いけねぇいけねぇ、また倒れたらいけないからな、行くとするか」
こんな感じでジャネットと毎日会ってる。
こんな健気で儚げな子なんだ、何とか協力してやりてぇ。
「あ、アレンさん、ローランさん、すみません、心配をかけてしまって」
「かまやしねぇよ。それにお前が倒れたらアシュリーも心配するだろうからな」
「……それはありませんわ」
「ジャネット? いくら何でもアシュリーを悪く言うのは感心しませんよ」
「そうですね、申し訳ありません。私が悪いのですから、エリックとの結婚を許さないのは当たり前ですよね」
「え? もう両家で話し合ったんじゃないのか?」
「はい。ですが姉は私とエリックの結婚を認めてくれず、姉が結婚するまで2人で会うのを禁止し、どうしても結婚したければ平民になれば許すと……ゴホッゴホッ!!! それに、ゴホッ!」
「落ち着いてジャネット嬢。アシュリーがそんな事を言ったのですか?」
「はい……召使いになって私に仕えろ、とも」
◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~
「話がそれてしまったな。とにかくだ、エリックと結婚したいのなら成果を出してもらおう。少なくとも学年で10位以内、理想は5位以内だ。バート様の様な人物はいないから、1位を狙ってもいいぞ。それまでは2人で会う事はまかりならん。ああ、エリックをマイヤー家から追い出した後ならば、平民として結婚する分には構わんぞ」
「ぱ、パパ~!」
「そ、そんな条件は無茶苦茶です! 成績が全てなんですか!? 他にも大切な物があるはずです!」
「その成績を出したうえで、人となりも必要に決まっておろう。アシュリー嬢はワシが求めるモノを一通り持っているのでな、なんならアシュリー嬢の召使いにでもなって、イチから学んではどうだ? ん?」
~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇
「そんなひでぇ話があるかよ! ジャネットはこんなに頑張ってるんだぜ!? アシュリーを見損なったぜ!」
「お、落ち着けアレン。アシュリーだぞ、あのアシュリーがそんな事を言うだろうか」
「ローランはなんでそんなに冷静なんだよ! ジャネットがイジメられてるんだぞ!?」
「だから、俺達が知っているアシュリーとは随分ーー「キャッ!」え?」
立ち上がろうとしたジャネットが、バランスを崩してローランにしがみ付いた。
いけねぇいけねぇ、病弱なジャネットのまえで、こんな事を言ってる場合じゃないな。
「喧嘩は、お、おやめくださいゴホッゴホッ! 私が、私がいけないのですから……」
今にも泣きそうな顔で俺達のケンカを止めに入ってくれた。
ああ、ジャネットはこうも献身的なのに、アシュリーよぅ、俺はお前を見誤っていたぜ。
「アレン、アシュリーの所に行こう」
「あん? どうしたいきなり」
「僕はアシュリーに一言言わないと気が済まないんだ!」
「おお、おおよ! 俺もだぜローラン! アシュリーにビシッと言ってやろうぜ!」
どうやらアシュリーは無視してるようだが、ジャネットは健気にもアシュリーが許してくれるのを待ってるようだ。
くぅ~~~! なんとかなんねぇのかよ、この状況!
「アレン、ジャネットの事なのだが……何とかアシュリーと会わせられないだろうか」
「ああ、俺もどうにかならないかと思ってる。でもなぁ、アシュリーの気持ちも分かるから、無理を言う訳にもいかねぇし……」
最近はアシュリーと話をしてない。
朝の挨拶だけして、後はバラバラだ。
なんだよ、このモヤモヤした感じは、アシュリーと話をしたいのに、話すと愚痴を言ってしまいそうで怖い。
アシュリーは何も悪くないのにな。
「んん? おい、また苦しそうに立ってるぞジャネット嬢」
「おおっと、いけねぇいけねぇ、また倒れたらいけないからな、行くとするか」
こんな感じでジャネットと毎日会ってる。
こんな健気で儚げな子なんだ、何とか協力してやりてぇ。
「あ、アレンさん、ローランさん、すみません、心配をかけてしまって」
「かまやしねぇよ。それにお前が倒れたらアシュリーも心配するだろうからな」
「……それはありませんわ」
「ジャネット? いくら何でもアシュリーを悪く言うのは感心しませんよ」
「そうですね、申し訳ありません。私が悪いのですから、エリックとの結婚を許さないのは当たり前ですよね」
「え? もう両家で話し合ったんじゃないのか?」
「はい。ですが姉は私とエリックの結婚を認めてくれず、姉が結婚するまで2人で会うのを禁止し、どうしても結婚したければ平民になれば許すと……ゴホッゴホッ!!! それに、ゴホッ!」
「落ち着いてジャネット嬢。アシュリーがそんな事を言ったのですか?」
「はい……召使いになって私に仕えろ、とも」
◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~
「話がそれてしまったな。とにかくだ、エリックと結婚したいのなら成果を出してもらおう。少なくとも学年で10位以内、理想は5位以内だ。バート様の様な人物はいないから、1位を狙ってもいいぞ。それまでは2人で会う事はまかりならん。ああ、エリックをマイヤー家から追い出した後ならば、平民として結婚する分には構わんぞ」
「ぱ、パパ~!」
「そ、そんな条件は無茶苦茶です! 成績が全てなんですか!? 他にも大切な物があるはずです!」
「その成績を出したうえで、人となりも必要に決まっておろう。アシュリー嬢はワシが求めるモノを一通り持っているのでな、なんならアシュリー嬢の召使いにでもなって、イチから学んではどうだ? ん?」
~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇
「そんなひでぇ話があるかよ! ジャネットはこんなに頑張ってるんだぜ!? アシュリーを見損なったぜ!」
「お、落ち着けアレン。アシュリーだぞ、あのアシュリーがそんな事を言うだろうか」
「ローランはなんでそんなに冷静なんだよ! ジャネットがイジメられてるんだぞ!?」
「だから、俺達が知っているアシュリーとは随分ーー「キャッ!」え?」
立ち上がろうとしたジャネットが、バランスを崩してローランにしがみ付いた。
いけねぇいけねぇ、病弱なジャネットのまえで、こんな事を言ってる場合じゃないな。
「喧嘩は、お、おやめくださいゴホッゴホッ! 私が、私がいけないのですから……」
今にも泣きそうな顔で俺達のケンカを止めに入ってくれた。
ああ、ジャネットはこうも献身的なのに、アシュリーよぅ、俺はお前を見誤っていたぜ。
「アレン、アシュリーの所に行こう」
「あん? どうしたいきなり」
「僕はアシュリーに一言言わないと気が済まないんだ!」
「おお、おおよ! 俺もだぜローラン! アシュリーにビシッと言ってやろうぜ!」
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