【完結】私よりも妹が大事なんですか?~捨てる親あれば拾う王子あり~

如月ぐるぐる

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32話 ジャネット視点9

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 意識を失っていた私は、顔が冷たくて目が覚めた。
 
「ここは……どこ?」

 冷たいと思ったのは石の床に顔がついていたからだった。
 ああ、床に倒れていたのね。
 体を起こして周りを見渡すと、鉄格子が見える……!?

「ちょっと! ここって牢屋じゃないの! 出しなさい! 早く出しなさいよ!!!」

「静かにしろ! 騒ぐと鞭打ちにするぞ!」

 牢屋の番人らしき筋肉質な男が、私を睨みつける。
 ヒッ……な、なによ偉そうに! 伯爵令嬢にそんな口をきいて、後で見てなさいよ!

 だけど数日が過ぎても誰も助けに来なかった。
 2日目には大声でお父様とお母様を呼ぶように叫んだら、細い棒で顔をはたかれた。
 3日目には食事の量が減らされた。
 4日目にはバケツの水をかけられた。

 どうして……どうしてこんな事になったの?
 どうして私はいつも不幸な目に合わなくちゃいけないの?
 どうして誰も私を助けてくれないの?

「でろ!」

 何日目か知らないけど、やっと牢屋から出られた。
 お風呂も入ってないし、食事はパンとスープだけ、心身ともにボロボロだわ。
 私をこんな目に合わせた奴を、絶対に許さないわ!

 牢屋を出て連れてこられたのは小さな部屋。
 小さなテーブル1つと小さなイスが4つ置いてある。
 なに? 何この部屋は。

 私だけが押し込められて、仕方がないからイスに座っていよう。
 
 少ししたら扉が開いた。
 
「お父様! お母様!」

 やっと助けに来てくれたのね!
 これでやっと元の生活に戻れるわ!
 嬉しくて両親に抱き付いたけど……あら? 可愛い娘に会えたのに、どうして浮かない顔をしているの?

「お父様、お母様、早くお屋敷に戻りましょう! こんな所には居たくありません!」

「ジャネット……そうだな、家にいこう」

「ジャネット、ごめんなさいね、私達が愚かだったばっかりに……」

 ? どうしたのかしら。
 そういえばいつもの服装とは違って、随分と質素な物を着ているわね。
 まるで平民みたい。

 牢獄を出て、久しぶりに太陽の下に出た。
 ううっ! 早く着替えたい、こんな格好じゃ街に出られないわ。

「あら? 馬車はどこですか?」

「馬車はもう無いんだ。歩いて行こう」

 そう言って私を置いて2人は歩き始めた。
 え? 馬車が無いってどういう事かしら。
 歩いて行く? 私が?

「ま、まって!」

 こんな場所は来たことが無いから帰り道が分からない。
 慌てて後を追いかけて行った。




「お父様? どちらへ行かれるの? この道を曲がらないと屋敷につきませんわ?」

「ああ、こっちでいいんだよ。付いておいで」

 言われて後を付いて行くと、街の門を抜けて街道にでた。
 え? 屋敷に帰るんじゃないの? それとも別荘に行くのかしら。
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