異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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竜騎士になったよ

演習開始

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とうとう、合同演習の日になった。

国王陛下、大貴族、招待された幸運な国民が満員で見に来ている大きな演習場に、壮麗な制服に身を包んだ騎士が千人、汎用竜と呼ばれる、一般の騎士用の茶色いドラゴンが数百匹ほどいる。騎士団の居並ぶ迫力は品があるながら猛々しいものがある。

騎士団は千人はいる大所帯だ。機動力があり、実力もある選ばれたエリート集団だという。それを統べるのはあのアンディ。紺色の騎士団の制服の中、一人だけ銀色の軍服のような衣装に身を包み、茶色い長髪を風になびかせ、一番前に立っている。ドがつく美形だけに、かなりカッコいい。

俺たちは群衆の見えないところで待機していた。

まてよ、その騎士団をたった5人で凌ぐ竜騎士って…一人あたり250人分以上?
当然俺は半人前の働きとしての計算…。いや、マイナスでもいいか。

そう思うと俺はエリアス達みんなの力が怖くなった。俺なんかが一緒にいるのは場違いじゃないのかな…。何も考えずに竜騎士になりに来たけれど、無知って怖いね!

騎士団が一斉に並んでるところに、このあと竜騎士が入場する。演習場はピリッとした空気が流れ、とうとう俺たち5人が入場するのだ。めちゃくちゃ緊張してしまって俺はガチガチだった。俺たちはまだ群衆の見えない幕の中で待機をしている。

エリアスは仕切るのに忙しそうだ、トゥルキもハムザも剣や武具のチェックをしている。何をしていいかわからない俺は挙動不審。

喉が乾いたけれど、 水を飲んで演習中にトイレに行きたくなったらどうしようとか、ラースとヘラクレス号が失敗したらどうしようとか…。しまいにはカタカタ手が震えだす。

でも、一口くらいは水を…とミネラルウォーターの入った瓶に手を伸ばすとうまく掴めずに倒しそうになった。

「あっ!」

しまった、と思った俺の手が瓶を掴むと同時にフィリックスの手も重ねられた。俺の手を掴んだまま、フィリックスは手の甲を自分の唇に当てる。柔らかな唇の感触が全身にぞくぞくしてしまう。

うおおおお、何これ!何?この王子様のようなフィリックスは…。

「震えてるじゃないか…」

フィリックスは俺を抱き寄せて、抱っこしたまま俺ごとすぐそばの椅子に腰かけた。そして俺の手をさすってくれる。ハムザがニコニコしながら俺とフィリックスを見ている。

「俺もさすってくれないか、トゥルキ。俺も震えてるから」

ハムザがトゥルキに手を差し出した。

「は?ハムザが震えてるならそれはただの飲み過ぎ」

トゥルキの言葉に、書類に集中していたはずのエリアスが吹き出し、肩が揺れている。

「昨日も演習の前夜祭だとか言って散々大暴れしたもんなぁ、ハムザ…」
「あとで大変だったんですよ。エリアス、ハムザと昨夜一緒にいたのなら飲むの止めてくださいね」
「無理だ、俺もハムザ怖いもん」

エリアスはそう言って笑い、フィリックスもくっくっと笑っていた。そんなに癖悪いのかハムザ…。

「トゥルキ、今夜はお前と後夜祭だ。今夜は離さないぞ」
「嫌だ!」

トゥルキの即答に一同笑ってしまった。

あれ?緊張がどこかに行ってしまったかな。フィリックスを見上げてから、自分の手を見るともう震えていない。

そんな俺を竜騎士のみんなは微笑んで見ていた。

…みんなで俺のために、俺の緊張をほぐすためにわざとふざけてくれたのかな?こんな真剣な仕事の前だというのに。

ありがとう…。

「それでだな、今夜の後夜祭なんだがな…」

ハムザがトゥルキに話し始める。
あっ…俺の中でいい話で締められる予定が。これ本気だったのか…。

「竜騎士、そろそろ入場です」

若い騎士が呼びに現れすぐに戻っていった。フィリックスは俺の頬にキスをする。

「緊張して当たり前だからな。でも、俺たちがついてる、大丈夫。ラースもヘラクレス号も、みんないるから」

俺はフィリックスの言葉に驚いた。誰しも初めての時があったとか、お前だけが緊張してるんじゃないとか、よくある言葉は言わなかった。

ただ、寄り添って安心感させてくれる。心の中のもやもやした不安がなくなっていくような気がした。

「シン?」

俺はフィリックスの胸に顔を埋めた。驚いたようにフィリックスが俺の顔を覗いた。トゥルキとハムザ、エリアスが幕から出ていこうとする。俺も顔を上げてそれを見て立ち上がろうとした、その時。

フィリックスが自身の肩に俺の頭を押し付けてキスをした。フィリックスの唇に俺の口がこじ開けられ、舌がするんと入る。
誰もいない幕の中。俺の舌をフィリックスのが絡めとっていく。

誰も知らない、ほんの数秒のことだけど、俺には何分も長く感じた。

フィリックスの秀麗な顔と、高い鼻が俺のゼロ距離にある!めっちゃカッコいい…ヤバイ…。大舞台前なのにドキドキが止まらない。

「んっ…!」

唇を離したフィリックスに、俺は俯くと、意を決したように顔を上げて言った。

「フィリックスが…フィリックスがこんなすごいキスするからぁ…」
「え?」

俺は目を丸くするフィリックスに手を差し出した。

「また震えが止まらなくなったじゃん!!」

そんな俺を見て、フィリックスは爆笑し、肩を組んで二人で幕を出た。


































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