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伝説のゆくえ

ダリウスの策略

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夜になってから、ダリウスとの約束した待ち合わせ場所に向かうことになった。オリオン号はラース達とはるか上空で待機することになる。町外れでドラゴンから降り、馬屋でハムザと合流し、馬で一気に王宮まで駆けていく。

俺はまたフィリックスに抱かれて馬に乗って爆走していく。揺れる馬のたてがみとフィリックスの真剣な表情。早くエリアスに会いたいな。

貴族院って…よく知らないけど、竜騎士を潰すと息巻いてるけれど、エリアスの力を知らないんだな…。フィリックスも。王宮で戦闘をしない彼らの実力を、使う方が知らないのって馬鹿げてる。

身分なんてその国の者の内にある価値観なだけで、一歩外に出れば全くその力は無いのに。あいつら、仕えるものがなくなりリミッターが外れた竜騎士を知ればいいんだ…。ドラゴンですら、貴族の地位にはひれ伏すものだと思ってるんじゃなかろうか。バカらしい。

不意に、ハムザの馬が俺たちを抜いた。

「キレてんなハムザ…。相当怒ってる」

フィリックスが笑いを含んだように言った。

「ああなると手がつけられん。知らんぞ…」

馬は一気に王宮の近く前で駆け抜けた。俺たちは粗末なローブを見に纏い、すっぽりとフードをかぶっている。

「!?」

フィリックスが王宮の近くであるものを見つけ、目を奪われていた。

王宮の外の空き地に控える兵団。何だろう?演習の準備をしているように見えたけれど、その、数千人は越えている。

「軍の演習の予定なんて聞いてないぞ…急にどこかの戦場に加勢に行くのか…?」

フィリックスが訝しがるけれど、先に行きたい俺たちは馬の足を止めなかった。

王宮の裏にある、資材の搬入口のまたそのむこうにある地下道。奴隷や最下層の使用人が行き交う粗末な門がある。

そこの守衛の目をかいくぐって入ろうとすると…守衛が倒れている。

「シールド開けておいたから入って大丈夫だぞ」
「シールドって…守衛やっつけることなのダリウス?」

守衛の部屋で足を組んでせせら笑う銀髪のダリウスがいた。俺を見ると立ち上がり、近づいてきてぎゅっと抱き締められた。エリアスとよくにた背格好の、同じくらいの胸。フィリックスがあわてて俺をもぎ取った。

「油断も隙もないですねダリウス…シンに手を出さないでくださいね」
「いいじゃん少しくらい…なあシン。…まあ、行くぞ、外はどうだったかハムザ?」

ダリウスが不意にハムザに振った。

「軍がいました…かなりの数ですね」
「やっぱり。面白くなってきたなぁ」

ダリウスがすごい笑顔になった。不思議そうに見ていると、フィリックスが呟く。

「ダリウスの考えがあるってのはそういうことですか…」
「うん。そう。エリアスの所へ急ごうか、トゥルキの方はハムザに任せる。奪回したらすぐにここをお前らだけで出ろ。ドラゴンと上空で待機だ」

きびきびとまるでリーダーのように指示するダリウスに、エリアスとやっぱり兄弟なんだなあと思ってしまった。

「わかった。もう足手まといにはならない。存分に暴れてくれ。救出次第、交信を入れてすぐに発つ」

ハムザはそう言ってすぐに気配を消し、その前に俺に衛兵を眠らせるためのエリアス救出用の毒薬をくれた。


「さてと、いきますか…そろそろかな…フィリックス、頼むぞ」
「はい…では」

フィリックスが手のひらに炎の玉を一つ用意した。

なにすんの?

そう思った瞬間、窓から少し離れた王宮の塔に向かってそれを投げ、塔が派手に爆発した。

「ええっ!」

俺は仰天して目を剥いて固まっている。ダリウスもフィリックスもにこにこと楽しそうに笑っているんだけれど。

そしてまるで、それは外からの攻撃のようにも見えた。

「さーて、はじまるぞ…めっちゃ面白くなってきた!」

ダリウスが子どものようにはしゃいでいる。

「な、何が?何で?」

全くわからない俺の背中のほうにある窓の外から大きなドラゴンの羽音がいくつもして、あわてて振り返って見ると、騎士団の汎用竜が群れをなして出撃していくのが見えた。

「わからないか?…シン」

ダリウスが俺の肩をポンポンと叩く。さっから笑ってツボっているダリウスに俺は困惑していた。

王宮のあちこちで爆発音がする。火の手が上がり、俺たちのすぐ近くの廊下がドカンと破裂するように砕ける。

「危ないシーン!」

ダリウスが俺にわざとらしく抱きついて転がった。フィリックスがまた剥がすように俺を取り返す。

違う意味であっぶねえ…!

「始まったな…クーデター」

フィリックスが俺をぎゅうぎゅうと抱き締めて額にキスしながら呟いた。

は?



クーデター?






















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