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ジュリアン
魔力の果てに
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凄まじい轟音がして山と山がぶつかり合うような光景。砂煙が爆発するようにあちこちで上がる。
俺から吹き出した恐ろしいまでの魔力は緑を再生し、土砂を止め、それさえも乗り越えて木々が飲み込んでいったのだ。
なにこれ怖い!魔力すごすきだろ!
シェンはあまりのことに蒼白になっている。
「っ…天使の力…!これほどとは…。」
シェンが思わずつぶやいた言葉。経験の高い彼はこの力を知っているようだった。
なんとかなりそうだ。静かになっていく山々を見て、俺は気が抜けた。
その瞬間、手のひらから爆発するように血飛沫が上がる。あまりの魔力に、俺の普通の人間の組織がついていけなくなったんだ。激痛に俺はうずくまった。
「ジュリアン!もういいです!貴方は充分過ぎるほどっ…!」
シェンがそう叫んでマントを脱いで俺をくるんでくれる。
布を取り出して2枚に裂くと、俺の手のひらを包んで止血をしてくれた。もう、組織がぐちゃぐちゃだ。
気持ち悪くなってきて、俺はその場にもどしてしまった。それはほとんど鮮血。魔力に耐えられず、体の中の組織もボロボロになったみたいだった。
「ジュリアン!ジュリアン…こんなにまでなって…くそ…!許さん…!」
シェンが逃げていった民衆とサボワのいる方向を睨んだ。
「だ、め…俺が好きでやったの…。シェンは誰も傷つけないで…。ね?」
「ジュリアン…!」
シェンが俺の額に自分の顔を擦り付けた。
遠くから馬の蹄の音がする。複数だ。
「ジュリアン!シェン!」
リアンの声だ。あれ?船に…?声の方向を見ると、馬にルークとリアンが乗っていた。その後ろには、最高軍事司令官、アイゼルの姿があった。その後ろには軍の兵が数百人はいる。
「魔法を使えるようになったとは聞いていたが、ここまでとは…ジュリアン。」
ルークが驚愕に満ちた目で俺を見る。下馬してリアンを馬から抱き下ろすと、リアンが猛ダッシュで走って俺にしがみつく。
「リアン…なんで…?」
「ごめん!だってルークと離れてるのが我慢できなくて!こっそり連れてきてもらっちゃった!」
「は?」
リアンらしいな…。俺は苦笑した。
「サボワはアイゼルが逮捕した。山火事のたれ込みはシェンの部下からあったんでこっちも水面下で調べを進めていたんだ。ご苦労だったなシェン。ありがとう。ジュリアンをこんなに守ってくれて」
ルークがシェンに礼をした。
「陛下、そのような…!私にそんな!頭をお上げください。私はジュリアンに一生を捧げる所存です。お側にいることをこれからも、お許しください。」
「当然だ。ジュリアンを守れるのはシェンしかいないと思っている。こんな無謀な息子…。シェンほどの男でないと絶対におさえられないからな。」
ルークがあきれたように笑った。
俺から吹き出した恐ろしいまでの魔力は緑を再生し、土砂を止め、それさえも乗り越えて木々が飲み込んでいったのだ。
なにこれ怖い!魔力すごすきだろ!
シェンはあまりのことに蒼白になっている。
「っ…天使の力…!これほどとは…。」
シェンが思わずつぶやいた言葉。経験の高い彼はこの力を知っているようだった。
なんとかなりそうだ。静かになっていく山々を見て、俺は気が抜けた。
その瞬間、手のひらから爆発するように血飛沫が上がる。あまりの魔力に、俺の普通の人間の組織がついていけなくなったんだ。激痛に俺はうずくまった。
「ジュリアン!もういいです!貴方は充分過ぎるほどっ…!」
シェンがそう叫んでマントを脱いで俺をくるんでくれる。
布を取り出して2枚に裂くと、俺の手のひらを包んで止血をしてくれた。もう、組織がぐちゃぐちゃだ。
気持ち悪くなってきて、俺はその場にもどしてしまった。それはほとんど鮮血。魔力に耐えられず、体の中の組織もボロボロになったみたいだった。
「ジュリアン!ジュリアン…こんなにまでなって…くそ…!許さん…!」
シェンが逃げていった民衆とサボワのいる方向を睨んだ。
「だ、め…俺が好きでやったの…。シェンは誰も傷つけないで…。ね?」
「ジュリアン…!」
シェンが俺の額に自分の顔を擦り付けた。
遠くから馬の蹄の音がする。複数だ。
「ジュリアン!シェン!」
リアンの声だ。あれ?船に…?声の方向を見ると、馬にルークとリアンが乗っていた。その後ろには、最高軍事司令官、アイゼルの姿があった。その後ろには軍の兵が数百人はいる。
「魔法を使えるようになったとは聞いていたが、ここまでとは…ジュリアン。」
ルークが驚愕に満ちた目で俺を見る。下馬してリアンを馬から抱き下ろすと、リアンが猛ダッシュで走って俺にしがみつく。
「リアン…なんで…?」
「ごめん!だってルークと離れてるのが我慢できなくて!こっそり連れてきてもらっちゃった!」
「は?」
リアンらしいな…。俺は苦笑した。
「サボワはアイゼルが逮捕した。山火事のたれ込みはシェンの部下からあったんでこっちも水面下で調べを進めていたんだ。ご苦労だったなシェン。ありがとう。ジュリアンをこんなに守ってくれて」
ルークがシェンに礼をした。
「陛下、そのような…!私にそんな!頭をお上げください。私はジュリアンに一生を捧げる所存です。お側にいることをこれからも、お許しください。」
「当然だ。ジュリアンを守れるのはシェンしかいないと思っている。こんな無謀な息子…。シェンほどの男でないと絶対におさえられないからな。」
ルークがあきれたように笑った。
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