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5 甘い
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たどたどしく絡まってくる律の舌は不慣れではあるが、必死に蓮を受け入れようとしていた。照明が消えた室内。くぐもって響く雨音に、混じる唾液の混ざる音。蓮の胸にしがみつく、湿った両手が震えている。
律の、片手で締め上げられそうな細い首筋を吸う。
シャワーを浴びた彼女の肌は、ミルクに似た柔らかな味がした。
蓮のペニスは素直に硬さを増していた。
その変化を感じると、律は困ったような表情で、しかし慈愛に満ちたマリアのように蓮の後頭部を撫でた。
律の繊細な表情の動きを、都合よく『了承』と取った蓮は、律のショーツに手を入れて、湿った窪みを時間をかけて解した。
柔らかではあるが、きつく窄まっているそこを、優しく時間をかけて撫でてていく。徐々に広がっていくにつれ、体を強張らせる律にキスをして、口を開かせても、彼女は声を上げなかった。――否、彼女は上げられない。
律が、苦しそうに呼吸を乱して身をよじる。目尻の涙を舌で拭ってやると、蓮の肩に、甘えるように額を摺り寄せた。
蓮ははち切れそうな己の一物を晒すと、ズボンのポケットに入れていた財布からコンドームを取り出し、慣れた手つきでそれに被せた。
いつの間にか雨はやんでいた。
律が目を丸くしているのが、暗闇に慣れた視線の先にあった。
「そんなに珍しいもんじゃねえだろ」
小さく笑うと、今度は不思議そうに瞬きをした。
「痛かったら言えよ?」
掠れた連の声に頷いた律は、安堵と恐れが混ざったような頬笑みを浮かべ、優しく髪を撫でる彼を信頼して体を預けた。
激しい雨が甘やかな戯言を掻き消してゆく。
連はぎょっとした。
ペニスを抜くと、コンドームが鮮血でまみれていた。
声も出せず律を見る。
彼女は肩を曝したまま、毛布の中で健やかな寝息を立てていた。
蓮は最小音量で呻き、後悔の念に苛まれたままコンドームを外した。
ずしんと重い物が双肩を潰した。
翌朝、何事もなかったかのように卵のサンドイッチを用意した律と食事をし、シャワーを借りてから部屋を後にした。
シャワー上がりに律は、男の上半身を見るのが珍しかった――前夜は暗くて細部までは確認できなかったのだろう――のか、あるいは蓮の上腕に入った丸いすじぼりに興味をもったのか、剥き出しの体を熱心に観察していた。
移動するたびに付いてくる視線に呆れ、仕返しとばかりに彼女の両目を塞いで軽いキスをしてやれば、律は顔を朱に染めて恥ずかしそうに視線を逸らした。
外は、昨晩の大雨が嘘のような秋晴れだった。
濡れた緑が陽の光を浴びてキラキラと光っている。
足早にアパートを遠ざかってから、携帯が新たに記憶した、律のメッセージアプリのアカウントを視認した。これでいつでも連絡を取り合えると思うと胸が弾んだ。
裏社会に生きる自分が関わっていい女ではないとわかっているのに、育ってしまった気持ちを抑えることができなかった。
律の優しい笑顔が忘れられない。
もう二度と、離すことなんてできないと思った。
律の、片手で締め上げられそうな細い首筋を吸う。
シャワーを浴びた彼女の肌は、ミルクに似た柔らかな味がした。
蓮のペニスは素直に硬さを増していた。
その変化を感じると、律は困ったような表情で、しかし慈愛に満ちたマリアのように蓮の後頭部を撫でた。
律の繊細な表情の動きを、都合よく『了承』と取った蓮は、律のショーツに手を入れて、湿った窪みを時間をかけて解した。
柔らかではあるが、きつく窄まっているそこを、優しく時間をかけて撫でてていく。徐々に広がっていくにつれ、体を強張らせる律にキスをして、口を開かせても、彼女は声を上げなかった。――否、彼女は上げられない。
律が、苦しそうに呼吸を乱して身をよじる。目尻の涙を舌で拭ってやると、蓮の肩に、甘えるように額を摺り寄せた。
蓮ははち切れそうな己の一物を晒すと、ズボンのポケットに入れていた財布からコンドームを取り出し、慣れた手つきでそれに被せた。
いつの間にか雨はやんでいた。
律が目を丸くしているのが、暗闇に慣れた視線の先にあった。
「そんなに珍しいもんじゃねえだろ」
小さく笑うと、今度は不思議そうに瞬きをした。
「痛かったら言えよ?」
掠れた連の声に頷いた律は、安堵と恐れが混ざったような頬笑みを浮かべ、優しく髪を撫でる彼を信頼して体を預けた。
激しい雨が甘やかな戯言を掻き消してゆく。
連はぎょっとした。
ペニスを抜くと、コンドームが鮮血でまみれていた。
声も出せず律を見る。
彼女は肩を曝したまま、毛布の中で健やかな寝息を立てていた。
蓮は最小音量で呻き、後悔の念に苛まれたままコンドームを外した。
ずしんと重い物が双肩を潰した。
翌朝、何事もなかったかのように卵のサンドイッチを用意した律と食事をし、シャワーを借りてから部屋を後にした。
シャワー上がりに律は、男の上半身を見るのが珍しかった――前夜は暗くて細部までは確認できなかったのだろう――のか、あるいは蓮の上腕に入った丸いすじぼりに興味をもったのか、剥き出しの体を熱心に観察していた。
移動するたびに付いてくる視線に呆れ、仕返しとばかりに彼女の両目を塞いで軽いキスをしてやれば、律は顔を朱に染めて恥ずかしそうに視線を逸らした。
外は、昨晩の大雨が嘘のような秋晴れだった。
濡れた緑が陽の光を浴びてキラキラと光っている。
足早にアパートを遠ざかってから、携帯が新たに記憶した、律のメッセージアプリのアカウントを視認した。これでいつでも連絡を取り合えると思うと胸が弾んだ。
裏社会に生きる自分が関わっていい女ではないとわかっているのに、育ってしまった気持ちを抑えることができなかった。
律の優しい笑顔が忘れられない。
もう二度と、離すことなんてできないと思った。
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