あたし、スライム。初めての恋をしました

真弓りの

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俺が、鍛える。

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気合充分、漲る闘志をこの豊満なぷるぷるボディから醸し出していたわけだけど……悲しいかな、なにせ言葉が通じないわけで。


「どう思う?」

「いかに悔しかったかを表してる」


アルマさん、残念。
あたしは平べったくなって、「違う」の意を表した。


「違うのか」

「んじゃあ、やつあたりじゃねーのか?俺なんか水かけられたし」


そんな事しないよー!剣士のバカ……!
ぐっと平べったくなって「全然違う!」を表現する。


「うーん、じゃあ意表をついて単に体を動かしたかっただけとか。ずっとアルマの服の中にいたわけじゃない?」


リーナさんも全然違う……。しゅんとしながら、あたしはさらに平べったくなった。

ああ、やっぱり意思疎通って簡単なようで難しいのね。質問に答えるだけならまだしも、あたしから話しかけるのはなかなか至難の業なんだと痛感する。


「やる気を、表してる?」


ふと思いついたように、武闘家が呟いた。

正解ではないけど、今までの中では一番近い!あたしは、軽くジャンプした。


「おお!なんか当たってるっぽいぞ、やったな、ジョット」


剣士がそう言ってバンバン背中を叩くと武闘家さんは珍しく微かに笑う。そしてちょっと考える素振りをした。


「見たことない動きも、あった」

「あー、あのキモいの!」


ちょ……剣士、キモいとか酷い。あたしのパンチはそんなにキモいのか……若干傷つくんだけど。

あれかな、スピードが足りないせいなのかな。

ちょっと落ち込んでたら、武闘家が「もう一回」と小さく呟いた。


「へ? あのキモいの? もう一回って、なんで?」

「気になる」


さすがにこれだけ剣士にキモいキモいと言われると、やりたくないんですが。

しばらくモジモジしていたら、武闘家がさっと剣士の目を押さえてから、あたしに「お願い」と言って来た。


「うわっ!?なんで!?」


という、剣士の慌てふためいた声を聞きつつ、キモいらしいパンチを繰り出すあたし。

ひとしきり終わったのを見届けて、武闘家は「パンチ?」と呟いた。


そう!
そうなの!

あたしは、高く高くジャンプした!

アルマさんやリーナさんの表情を見るに、どうやらあたしのパンチはかなりパンチに見えないっぽいけど、それでもあたしの攻撃手段のひとつなのは間違いない。

まあ、まだ使った事ないけど。


「うーん、パンチだとすると、かなり威力がない感じだね」

「……パンチは、俺が訓練する」


苦笑するアルマさんに、武闘家は意外な事を言いだした。


「スラ、やる気あるって言ったから。パンチは俺が教える」

「ジョット」

「スラは人間と違って手数が多く出せる。伸縮性も高い、鍛えたら強くなるかも」


ぶ、武闘家……いや、ジョットさん……!
いいヤツだとは思ってたけど、まさかそんな、あたしに期待してくれるなんて思ってもみなかったよ。

あまりの嬉しさに、あたしは思わずジョットさんの脚にスリスリと体を寄せた。
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