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本編
四話 後宮
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後宮の自身の自分の離宮にて、カイルはそれなりに満足した生活を送っていた。
とはいえ、この満足っていうのを得られるまでに一週間ほどかかったし、いくらかの苦労があったが。
まず建物が気に入らなかったので、適当に捕まえた案内役の胸倉掴み上げ、道を間違えていることを優しく指摘してあげた。
カイルが態々隅の方まで素直についていってやったというのに、ボロ屋敷を住まわせようとしてきたので。
即位したばかりで他に人のいない現皇帝の後宮、その最初の住人なんだからあんなに奥まで歩く必要なかったという事実には、気付いてても言わないで上げたカイルの優しさを無下にするのだから仕方ない。
けれど、この国ではちょっとは大人しくしていると決めていたので、案内されたボロ屋敷を取り壊して更地にするくらいで許してやった。
ボロ屋敷は人間が住めるような環境には見えなかったので、いっそ取り潰して立て直した方がいいという配慮だ、ある意味では優しさだ、ストレス発散に何か壊したかったっていうのも大いにある。
ちょっと前まで戦争していた国から来た、しかもΩ相手にちょっといびってやろうと思っていた案内人も、これには大慌てで別の離宮に案内した。
純粋な恐怖故の行動だ。
カイルの綺麗な顔には素晴らしい笑みが浮かんでいたが、次はお前があの屋敷と同じ運命を辿らせるぞという意思を感じたので。
そして、その予感は正しい、カイルは実家の人間が同じことをやったら雲の上まで打ち上げて、そのまま地面に落としていたので。
一回目は脅すだけという優しさを見せたことにより、案内人は生き延びることが出来た。
脅すだけという手段を取るとは、やはり自分もちょっとは寛容さ、というものを身に着けたのかもしれない。
優雅に紅茶を飲みながらそう思ったカイルは、残念ながらその案内人に多大なトラウマを植え付け、心の中でこっそり悪魔と呼ばれていた。
心の中だけなのは、うっかり口に出そうものなら舌を引っこ抜かれるかもしれないと思ったからだ、勘のいい奴め、気っと長生きするだろう。
因みに、当たり前だが案内人の職は案内ではないし、名前もしっかり存在するが、カイルには関係ない事なので案内人と呼称する。
なおこいつはライナルトの事を陰で魔王と呼ぶ一派だったので、多分カイルがいなくともその内こっそり城から消えてた可能性がある。
後から聞いた話だと昔いじめられていた側妃が一人自殺したとかいう、曰くのある屋敷だったらしい。
それを聞いた時のカイルの感想としては、それ自殺って言ってるだけの暗殺なんじゃねぇのって感じだった、もし本当に自殺だったら馬鹿だし。
誰が馬鹿かってそりゃ、全員だよ、自殺した人間も、いじめた人間も。
カイルとしては、自殺よりも自分をいじめた人間を巻き込んで殺せばよかったのにと思うので、死ぬ気があるなら殺しはそこまで恐れる事でもないだろう。
皇族だろうが、殺した場合自分が死ぬことになる、後関りあった人間と一族郎党の首も並べられるが、その程度だ。
死ぬつもりがあるなら実質無傷、拷問とかが嫌なら殺してすぐ自殺すればいいだけだし。
そして、自殺するまで追い詰めた側は何故そこまでしかやってないのかとも思った、手負いの獣が一番危険だというのに、カイルだったら捨て身覚悟で襲い掛かられる未来を想像して、邪魔な相手は手っ取り早くこっそり殺すというのに。
つまり、人が死んだ建物に住まわせようとしたことに関しては、一切興味のない事だった。
だって人が生きているなら当然死ぬし、そんな事を一々気にしてられないので。
そこまでしてやっと住居の面では満足した一日目は、そのまま大人しくしていた。
部屋が狭いから隣の部屋との壁を破って広くしたり、庭の木が気に入らないから掘り返して燃やしたり、インテリアが気に入らないから木と一緒に燃やしたりしたが、カイル的には大人しくしていた。
そして二日目、誰かが無断で寝室に入ってきて、挙句カーテンを開け起きろと大声で言いやがった。
イラついたカイルは、その侍女の煩い口を黙らせる為に一発ひっ叩き、そのまま窓から落とした。
見た所生きていたので、受け身を取ったのかな、中々いい運動神経と反射神経だ。
そんな風に苛立ったけれど、同時にカイルはちょっと関心もしていた。
まさか入居早々にあんな大規模無理矢理リフォームをした人間相手に、ここまでなめたことが出来るガッツの有る奴がいるとは思わなかったので。
普通顔色窺ってくるだろうに、無遠慮に寝室に踏み込んでくるなんて、実家にはいなかったタイプの使用人だった。
実家の人間はもうカイルが何をしてもしなくても貝のように口を閉じ、ただ言われたことに従いそれ以上は一切干渉してこないので。
なので、ガッツの有る人間に手始めの挨拶として窓から落としたのだ。
けれど、そんなカイルの行動はちょっと生意気な敵国のΩに、ちょっかい出してやろうという感情だけで行動を起こした侍女には過激だったので、泣いて逃げ出していった。
根性のない事だ。
拍子抜けしたカイルは、二度寝の為に窓とカーテンを閉めて布団に潜り込んだ。
とはいえ、この満足っていうのを得られるまでに一週間ほどかかったし、いくらかの苦労があったが。
まず建物が気に入らなかったので、適当に捕まえた案内役の胸倉掴み上げ、道を間違えていることを優しく指摘してあげた。
カイルが態々隅の方まで素直についていってやったというのに、ボロ屋敷を住まわせようとしてきたので。
即位したばかりで他に人のいない現皇帝の後宮、その最初の住人なんだからあんなに奥まで歩く必要なかったという事実には、気付いてても言わないで上げたカイルの優しさを無下にするのだから仕方ない。
けれど、この国ではちょっとは大人しくしていると決めていたので、案内されたボロ屋敷を取り壊して更地にするくらいで許してやった。
ボロ屋敷は人間が住めるような環境には見えなかったので、いっそ取り潰して立て直した方がいいという配慮だ、ある意味では優しさだ、ストレス発散に何か壊したかったっていうのも大いにある。
ちょっと前まで戦争していた国から来た、しかもΩ相手にちょっといびってやろうと思っていた案内人も、これには大慌てで別の離宮に案内した。
純粋な恐怖故の行動だ。
カイルの綺麗な顔には素晴らしい笑みが浮かんでいたが、次はお前があの屋敷と同じ運命を辿らせるぞという意思を感じたので。
そして、その予感は正しい、カイルは実家の人間が同じことをやったら雲の上まで打ち上げて、そのまま地面に落としていたので。
一回目は脅すだけという優しさを見せたことにより、案内人は生き延びることが出来た。
脅すだけという手段を取るとは、やはり自分もちょっとは寛容さ、というものを身に着けたのかもしれない。
優雅に紅茶を飲みながらそう思ったカイルは、残念ながらその案内人に多大なトラウマを植え付け、心の中でこっそり悪魔と呼ばれていた。
心の中だけなのは、うっかり口に出そうものなら舌を引っこ抜かれるかもしれないと思ったからだ、勘のいい奴め、気っと長生きするだろう。
因みに、当たり前だが案内人の職は案内ではないし、名前もしっかり存在するが、カイルには関係ない事なので案内人と呼称する。
なおこいつはライナルトの事を陰で魔王と呼ぶ一派だったので、多分カイルがいなくともその内こっそり城から消えてた可能性がある。
後から聞いた話だと昔いじめられていた側妃が一人自殺したとかいう、曰くのある屋敷だったらしい。
それを聞いた時のカイルの感想としては、それ自殺って言ってるだけの暗殺なんじゃねぇのって感じだった、もし本当に自殺だったら馬鹿だし。
誰が馬鹿かってそりゃ、全員だよ、自殺した人間も、いじめた人間も。
カイルとしては、自殺よりも自分をいじめた人間を巻き込んで殺せばよかったのにと思うので、死ぬ気があるなら殺しはそこまで恐れる事でもないだろう。
皇族だろうが、殺した場合自分が死ぬことになる、後関りあった人間と一族郎党の首も並べられるが、その程度だ。
死ぬつもりがあるなら実質無傷、拷問とかが嫌なら殺してすぐ自殺すればいいだけだし。
そして、自殺するまで追い詰めた側は何故そこまでしかやってないのかとも思った、手負いの獣が一番危険だというのに、カイルだったら捨て身覚悟で襲い掛かられる未来を想像して、邪魔な相手は手っ取り早くこっそり殺すというのに。
つまり、人が死んだ建物に住まわせようとしたことに関しては、一切興味のない事だった。
だって人が生きているなら当然死ぬし、そんな事を一々気にしてられないので。
そこまでしてやっと住居の面では満足した一日目は、そのまま大人しくしていた。
部屋が狭いから隣の部屋との壁を破って広くしたり、庭の木が気に入らないから掘り返して燃やしたり、インテリアが気に入らないから木と一緒に燃やしたりしたが、カイル的には大人しくしていた。
そして二日目、誰かが無断で寝室に入ってきて、挙句カーテンを開け起きろと大声で言いやがった。
イラついたカイルは、その侍女の煩い口を黙らせる為に一発ひっ叩き、そのまま窓から落とした。
見た所生きていたので、受け身を取ったのかな、中々いい運動神経と反射神経だ。
そんな風に苛立ったけれど、同時にカイルはちょっと関心もしていた。
まさか入居早々にあんな大規模無理矢理リフォームをした人間相手に、ここまでなめたことが出来るガッツの有る奴がいるとは思わなかったので。
普通顔色窺ってくるだろうに、無遠慮に寝室に踏み込んでくるなんて、実家にはいなかったタイプの使用人だった。
実家の人間はもうカイルが何をしてもしなくても貝のように口を閉じ、ただ言われたことに従いそれ以上は一切干渉してこないので。
なので、ガッツの有る人間に手始めの挨拶として窓から落としたのだ。
けれど、そんなカイルの行動はちょっと生意気な敵国のΩに、ちょっかい出してやろうという感情だけで行動を起こした侍女には過激だったので、泣いて逃げ出していった。
根性のない事だ。
拍子抜けしたカイルは、二度寝の為に窓とカーテンを閉めて布団に潜り込んだ。
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