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本編
三話 カイル
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カイル・リリエンハイトはΩだ。
それは生まれて直ぐに行われた検査で分かった事であり、同時にリリエンハイト家でのカイルの扱いが決定した瞬間でもあった。
そのはずだったのだ。
α、β、Ωの三つが存在する第二性、その中でもΩは基本的にいい感情を向かられないのが常だ。
事実、生まれたばかりだからカイルは知らないが、父は赤子だったカイルに淫売を見る目を向けたし、母はそのまま絞め殺しそうな形相で睨んだ。
そんなのは珍しくもない世の中だし、貴族の家に生まれてきた分、扱いとしてはまだましだっただろう。
血に価値を見出し、跡継ぎの子供に優秀なαを求める貴族としては、αの子供を産む確率の高いΩには相応の商品価値があったので。
そう、本来カイルは今のように育つことは有り得なかったのだ。
ではなぜ、破壊も暴力も戸惑わない暴君のような人間に育ったのか。
ソレについてはもう、本人の生まれ持った資質と言うほかにない。
カイルの一番古い記憶は、上の兄に劣等種だなんだと言われたところから始まる。
カイルは幼かったので劣等種の意味など知らなかったし、兄も気っと知らなかった、ただ父が言っていたので真似しただけだったのだろう、実に子供らしい行動だ。
けれど、カイルは意味は理解できなかったが自分に対する罵倒の類だと察して、むっとした。
なので、観察して階段を降りようとしたところで、勢いよく兄にぶつかって階段から突き落とした。
当時のカイルは三歳だった。
そんな幼い子供が、ちょっと罵倒されたくらいで相手を計画的に階段から突き落とす。
そんな事をするのは、資質以外に言いようがないだろう。
そもそも、カイルは言葉による反抗、というものには最初から期待していなかった。
対話っていうのは、する気がある者同士の間でしか成立しないのだ、そしてカイルの言葉を真面に聞く気の有る人間だっていないので。
それは兄を階段から落としたときに、勝手に落ちたっていうカイルの言い分を聞かず、意識の戻らない兄を落としたと決めつけた所からも分かる。
実際にカイルが階段から突き落としたが、でも一切の迷いなく三歳のガキが突き落としたと決めつけ話を聞かないということは、もし突き落としてなくても落としたことにされてたんだろうな。
その後、罰とか言って物置きに一日ほど閉じ込められた、食事どころか水すら出されなかったので流石にカイルはちょっと自分の行動を振り返った。
流石に暗い部屋に一日はちょっと大変だったので、次からは閉じ込められてもいいように、水とか非常食とか照明とかを隠しておくようになった。
そう、兄を階段から突き落としたことを、カイルは全く反省していなかったし、悪いとも思っていなかった。
思ったことはただ一つ、次はもっとうまくやる、という決意だけだった。
確かに、今回はカイルが落としたというのが正解だったけど、普通に迷わず階段から突き落としたけど、その事実に関しては弁明できない事実だけど。
それでも、話を聞かないというのはよく理解できた。
因みに、兄は暫くして目が覚めて直ぐカイルを一発ぶん殴った、当時兄は七歳だったので四歳下の弟を全力でぶん殴った。
カイルは殴られたはずみで倒れ、壁に頭をぶつけて気絶した。
廊下で目覚めたカイルは、舌打ちしてから兄の頭に植木鉢を落とすのにいい場所について考えた。何度でも言うが、当時のカイルは三歳だった。
カイルと兄は間違いなく血のつながった兄弟っていうのが、良く分かるエピソードである。
カイルの本質はどこまでも支配者側だったし、幼少期からの差別にも屈さない程の不屈さがあった。
故に、魔法を身に着けようと思ったのも当然だったのだろう。
反抗の手段として暴力はいいが、けれど幼いカイルにはいささか難しいものがあった。
体格も小さいし、力もないし、父どころか兄にも簡単に負けてしまう、成長しても体質的に筋肉が付き辛いのかパワーは上がらなかった。
その所為で、下の兄には魔法の的にされたり、上の兄に木刀で叩かれそうになったり、弟に池に落とされたり。
弟に関してはカイルの不注意だったが、池の近くに居たのに周囲を警戒してなかったのだ。
勿論直ぐに浮かんで弟を引きずり込んで池の底に沈めたけど。
そんな感じで、結構色々あったが、だからこそ反抗心が沸き上がった。
そこで魔法に目を付け、素質があったのか才能が開花した。
公爵家はΩに魔法というか、高度な教育を受けさせる気のなかったので当然教師なんてのは与えられなかったが、それでも独学で魔法を学んで実用足りえるまでもっていった。
才能と執念がなせる業である。
抵抗する手段を手に入れ、早速行動を起こしたカイル。
まず十歳で下の兄を魔法の的にし始めた、やっぱり実戦で魔法を使うのが一番習得が速いし。
いい声で悲鳴を上げたので、途中でちょっと楽しくなっちゃったりもした。
カイルは勿論殺すつもりはなかったので怪我は治していたが、三年位で反抗心がそがれたのかカイルを見るたび怯えるようになった、骨のない奴め。
次に十二歳で上の兄を一日空中に逆さ吊りにして、木刀の的にしたり、弓の的にした、勿論死なれたら困るので怪我は治したが。
この兄はカイルに似て心が強かったので、カイルが魔法で制圧しても、今なお睨みつけてくる。
とても楽しいのでぜひそのままでいて欲しい、何時か心を叩き折るので。
十四歳からは誰もカイルに反抗できなくなり、等々屋敷を掌握できるようになったカイル。
その後、扱いきれなくなった実家が、魔法学園入学させたので、カイルの天下は十五歳までだった。
カイルは、被害者よりも加害者になりたいし、割と生来から他者に見下されたりするのが我慢できない質だ。
支配者気質で本質的に傲慢、相手が見下ろしてくるのなら更に上から見下ろしてやりたい。
それは生来の資質だし、変えようのない本質だ。
けれど、他者を殴っても殺しても何も思わないような、相手を自分と同じ人間だと思わなくなったのは、そんな幼少期の経験が原因だった。
それは生まれて直ぐに行われた検査で分かった事であり、同時にリリエンハイト家でのカイルの扱いが決定した瞬間でもあった。
そのはずだったのだ。
α、β、Ωの三つが存在する第二性、その中でもΩは基本的にいい感情を向かられないのが常だ。
事実、生まれたばかりだからカイルは知らないが、父は赤子だったカイルに淫売を見る目を向けたし、母はそのまま絞め殺しそうな形相で睨んだ。
そんなのは珍しくもない世の中だし、貴族の家に生まれてきた分、扱いとしてはまだましだっただろう。
血に価値を見出し、跡継ぎの子供に優秀なαを求める貴族としては、αの子供を産む確率の高いΩには相応の商品価値があったので。
そう、本来カイルは今のように育つことは有り得なかったのだ。
ではなぜ、破壊も暴力も戸惑わない暴君のような人間に育ったのか。
ソレについてはもう、本人の生まれ持った資質と言うほかにない。
カイルの一番古い記憶は、上の兄に劣等種だなんだと言われたところから始まる。
カイルは幼かったので劣等種の意味など知らなかったし、兄も気っと知らなかった、ただ父が言っていたので真似しただけだったのだろう、実に子供らしい行動だ。
けれど、カイルは意味は理解できなかったが自分に対する罵倒の類だと察して、むっとした。
なので、観察して階段を降りようとしたところで、勢いよく兄にぶつかって階段から突き落とした。
当時のカイルは三歳だった。
そんな幼い子供が、ちょっと罵倒されたくらいで相手を計画的に階段から突き落とす。
そんな事をするのは、資質以外に言いようがないだろう。
そもそも、カイルは言葉による反抗、というものには最初から期待していなかった。
対話っていうのは、する気がある者同士の間でしか成立しないのだ、そしてカイルの言葉を真面に聞く気の有る人間だっていないので。
それは兄を階段から落としたときに、勝手に落ちたっていうカイルの言い分を聞かず、意識の戻らない兄を落としたと決めつけた所からも分かる。
実際にカイルが階段から突き落としたが、でも一切の迷いなく三歳のガキが突き落としたと決めつけ話を聞かないということは、もし突き落としてなくても落としたことにされてたんだろうな。
その後、罰とか言って物置きに一日ほど閉じ込められた、食事どころか水すら出されなかったので流石にカイルはちょっと自分の行動を振り返った。
流石に暗い部屋に一日はちょっと大変だったので、次からは閉じ込められてもいいように、水とか非常食とか照明とかを隠しておくようになった。
そう、兄を階段から突き落としたことを、カイルは全く反省していなかったし、悪いとも思っていなかった。
思ったことはただ一つ、次はもっとうまくやる、という決意だけだった。
確かに、今回はカイルが落としたというのが正解だったけど、普通に迷わず階段から突き落としたけど、その事実に関しては弁明できない事実だけど。
それでも、話を聞かないというのはよく理解できた。
因みに、兄は暫くして目が覚めて直ぐカイルを一発ぶん殴った、当時兄は七歳だったので四歳下の弟を全力でぶん殴った。
カイルは殴られたはずみで倒れ、壁に頭をぶつけて気絶した。
廊下で目覚めたカイルは、舌打ちしてから兄の頭に植木鉢を落とすのにいい場所について考えた。何度でも言うが、当時のカイルは三歳だった。
カイルと兄は間違いなく血のつながった兄弟っていうのが、良く分かるエピソードである。
カイルの本質はどこまでも支配者側だったし、幼少期からの差別にも屈さない程の不屈さがあった。
故に、魔法を身に着けようと思ったのも当然だったのだろう。
反抗の手段として暴力はいいが、けれど幼いカイルにはいささか難しいものがあった。
体格も小さいし、力もないし、父どころか兄にも簡単に負けてしまう、成長しても体質的に筋肉が付き辛いのかパワーは上がらなかった。
その所為で、下の兄には魔法の的にされたり、上の兄に木刀で叩かれそうになったり、弟に池に落とされたり。
弟に関してはカイルの不注意だったが、池の近くに居たのに周囲を警戒してなかったのだ。
勿論直ぐに浮かんで弟を引きずり込んで池の底に沈めたけど。
そんな感じで、結構色々あったが、だからこそ反抗心が沸き上がった。
そこで魔法に目を付け、素質があったのか才能が開花した。
公爵家はΩに魔法というか、高度な教育を受けさせる気のなかったので当然教師なんてのは与えられなかったが、それでも独学で魔法を学んで実用足りえるまでもっていった。
才能と執念がなせる業である。
抵抗する手段を手に入れ、早速行動を起こしたカイル。
まず十歳で下の兄を魔法の的にし始めた、やっぱり実戦で魔法を使うのが一番習得が速いし。
いい声で悲鳴を上げたので、途中でちょっと楽しくなっちゃったりもした。
カイルは勿論殺すつもりはなかったので怪我は治していたが、三年位で反抗心がそがれたのかカイルを見るたび怯えるようになった、骨のない奴め。
次に十二歳で上の兄を一日空中に逆さ吊りにして、木刀の的にしたり、弓の的にした、勿論死なれたら困るので怪我は治したが。
この兄はカイルに似て心が強かったので、カイルが魔法で制圧しても、今なお睨みつけてくる。
とても楽しいのでぜひそのままでいて欲しい、何時か心を叩き折るので。
十四歳からは誰もカイルに反抗できなくなり、等々屋敷を掌握できるようになったカイル。
その後、扱いきれなくなった実家が、魔法学園入学させたので、カイルの天下は十五歳までだった。
カイルは、被害者よりも加害者になりたいし、割と生来から他者に見下されたりするのが我慢できない質だ。
支配者気質で本質的に傲慢、相手が見下ろしてくるのなら更に上から見下ろしてやりたい。
それは生来の資質だし、変えようのない本質だ。
けれど、他者を殴っても殺しても何も思わないような、相手を自分と同じ人間だと思わなくなったのは、そんな幼少期の経験が原因だった。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
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