農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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第一章 僕は普通の農民です

コンと竜

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「ご馳走様でした」
「うむ、大変美味しかったぞ」
 僕は慣れない人の姿で食べるのに苦戦していたコンの手助けをしながら食べた。
 どれも自分の村で食べられるような物ではなく大変美味しかった。

 そしてメイドさんがすぐに皿を下げ、その間コンが体に慣れる為と歩く練習をするのを手伝っていた。

「それでコンよ、一つ聞いても良いか?」
 少しの間で大体の感覚を掴んだらしく、ようやく一人でフラつきながらも歩けるようになったコンに国王様が言う。
「む、なんだ?」

「人の姿になったことに驚いていて気付かなかったが、コンはメスだったのか?」

 その国王様の質問に僕は一瞬何でだろうと思い、そして気が付く。
「コンって女の子だったの!?」
 大臣もそのことを聞いてから気付いたようで驚いている。
 人の姿になったことばかりに気を取られ過ぎていて気が付かなかった。

 そして、コンはその質問に対して何を今更という感じでこう言った。



「何を言っておるのだ?そもそも我に性別など存在しないぞ?」



 そして、予想外の答えが返って来た。
「……え?」
 性別がない?どういうこと?
 あまりの衝撃で混乱する僕に対し、コンは首を傾げる。

「何故我に性別があるなどと思ったのだ?」
「「「え、ええええーーー!!??」」」
 そしてつい大声で叫んでしまう。

「こ、国王様どうなさいました!?」
 と、廊下に立っていた兵士が駆け込んでくる。
「あ、ああすまない、何でも無いのだ気にしないでくれ」
「は、はぁ……」
 兵士は不審な物がないか部屋を見渡し、元の持ち場に戻る。
 ちなみに、コンは今幻術魔法で他の人からは小さくなった竜の姿に見えるようしているらしい。

「少し驚き過ぎではないか?」
「だってそんなの聞いてないよ!」
 何で驚いているのかわからないと首を傾げるコンに対し、僕はまだ混乱したまま言う。
 コンはやはり何で驚いているのかわからないようで不思議そうにしている。
「そもそも我は『繁殖』そのものを行うこともないのでな。性別など必要もない」

 その言葉に国王様が反応する。
「な、ならば竜種はどうやって生まれたのだ?繁殖機能が無いのであれば生まれることなどない筈であろう?」
 竜種と呼ばれる者は全て祖先を辿ると混沌竜に辿り着くとされており、その混沌竜に繁殖機能がないとあれば全て嘘だったことになる。
 そう思っていたらコンが「何故そうなるのだ」と言う。



「竜は我が魔法で『無から創り出した生命体』であり、特徴を我に似せているに過ぎない。だが魔法で作っただけであるのでちゃんと命ある者達だから、そこのところは勘違いしないで欲しい」



 今、何か物凄いことを聞いた気がする。
「それでは……!」
 そう国王様が何かを言いかけたのをコンが遮る。
「ふむ、このままでは切りがないな。一先ず皆落ち着くのだ」
 ちょっと椅子が今のコンの身長では高かったようで「よっこいしょ」といいながら座る。



 それから約3分程、静かにお皿の替わりに置かれていた紅茶を飲みつつ思考をまとめた。
「ねぇコン、何でその姿になったの?」
 まず聞くのはそこからだろうと質問する。
「ふむ、それは単に思いついたからだ。もしロイが不愉快であればすぐに元に戻るのだが」
「ううん、そのままでもいいけど……女の子の姿になったのも思いついたから?」
「ふむ、我がこの姿だと違和感があると……わかった」
「え、別にそのままでも……」

 するとコンはまた光出し、また姿を変えた。

「……僕?」
「うむ、ロイの姿を借りたぞ」

 そこには、今の僕と全く同じ姿のコンが居た。

 身長約168センチ、薄茶色のちょっとだけ癖がある髪、焦げ茶色の瞳に特に特徴もない顔。
 そしてその黄色おうしょくの肌は日々の畑仕事で薄く日焼けしていて、上は黒いTシャツを着て下にベージュのズボンを着たその姿は、今の僕そのままである。

「ロイの姿の方が動きやすいな。筋力の違いか?」
 そしてコンは体の動かし方を確認するためか手を開いたり閉じたりしている。
「自分がもう一人いるみたいで、何か変な感じ」
「ふむ、ならば……」
 と、もう一度姿を変えようとしたコンに大臣が言う。

「既に食べ終えたのだし、元の姿に戻ってはどうか?」
「む、そうだったな」
 今更ながら食事のために姿を変化させていたことを指摘されたコンは小さな竜の姿に変化し、僕の膝の上に座った。



「うむ、やはりこの姿のままがよいな」
「僕もコンはこのままの方が撫でやすくていいかな」
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