農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

文字の大きさ
32 / 125
第二章 混沌竜の契約者

従魔の居る生活

しおりを挟む
「ん、ふぁぁ」
 王都から帰って1週間も経った朝4時半、僕は欠伸をしながら起き上がる。
「おはよう」
「おはよう、コン」
 そして毎朝同じ時間に起きているコンに挨拶をして僕は寝間着から作業着に着替え、顔を洗うために台所に行く。

 そして台所に置いてある水瓶を見ると、中に水色の物体が浮かんでいるのを見つけた。
「おはよう、スイ。珍しく早いね」
 その水色の物体に挨拶をするとプクプクと泡が浮かぶ。

 この水色の物体の正体は水亀である。
 水亀は水の生成や貯蓄、浄化などが得意であり、また水中を好む為ずっと水瓶の底で過ごしている。
 この水瓶に住む水亀は母さんの従魔であり名前は『スイ』と言い、たまに水瓶に浮かぶ時もあるけど基本は水瓶の底でジッとしている。

「いつも綺麗な水をありがとう」
 そう言うとスイは少しだけこちらを見てから底に沈んでしまった。
 そのあと水瓶で顔を洗ってからコンと一緒に朝の作業に行く。
 ちなみに普通は水が汚れるので直接洗うのはダメなのだが、スイがすぐに浄化してくれるので家では顔を洗うくらいなら何の問題もないのだ。



 それから野菜の水やりをしていると、足元からポコッと茶色いのが顔を出した。
「あ、おはようネロ。今日は珍しいね」
 今地面から顔を出したのは父さんの従魔の『ネロ』という名前のモグラである。
 肥料を混ぜたりする際に手伝ってくれるのだが、普段は土の中でノビノビと過ごしている為滅多に見る事はない。
 なので朝早くからスイとネロを見る事が出来るのは大変珍しいのである。
「ん?父さんならまだ寝てるからもう少ししたら来ると思うよ」
 地面から前足を出してパタパタさせているのをみて、僕はそう言ってあげる。
 従魔は基本的に主から魔力を貰ってエネルギーとするため、お腹が空いていた所に僕が来たから出てきたのだろう。
 そうしている内に水やりを終わらせた僕は次の作業のために移動する。 
「それじゃあ僕は家畜小屋に行くから、また今度ね」
 そう言って家畜小屋へ行こうとすると、ネロが右前足を振ってくれた。



 それからいつもと同じで途中で父さんと一緒に作業をして、それから家に戻って母さんとミリィが作ったご飯を食べて、それからミリィは学校へ行く。



「何してようかなぁ」
 そして、僕は特にやることがなくなった。
 母さんは掃除や洗濯などをして、父さんは家の隣にある作業場で今はタンスを作っている。
 この国では成人も結婚も18歳であり、18になればなにか農業とは別の仕事が村長から割り振られることになっている。
 なので今の歳では特に仕事はないのだ。
 かと言って学校も無いために昼間はどうしても暇してしまうのだ。

「あ、久し振りにソフィとあそこに行こうかな」
 何となく庭先でボーッとコンを撫でながら過ごしていた僕はあることを思いつく。
「何処に行くのだ?」
 コンがそう聞いてくる。
「ちょっとね」



 そしてソフィの家に行くと、庭でただ虹亀を撫でていたソフィを見つけた。
「おはよう、ソフィ」
 そう声をかけたらソフィはちょっとビックリしたようで、虹亀を撫でていた手がビクッとしていた。
「おはようロイ君、どうしたの?」
 しかしすぐに僕とわかったからか笑顔になる。
 そして僕は目的を言う。

「久し振りにユンの所に行かない?」

「あ、行くよ」
 それを聞いたソフィはすぐに立ち上がる。
「ロイよ、そのユンとは何だ?そんな名の人は居なかったと思うが……」
 そう言って考え込むコンに対し、僕はニッコリと笑う。
「今から会いに行くから、それまでのお楽しみ」
「む、ロイよ珍しく意地が悪いな」
 ちょっとばかり不機嫌そうな声でそういうコンの頭を撫でる。
「ふふ、きっとコンも驚くと思うわよ」
 ソフィもそう言うと、虹亀のルーも首を捻って不思議そうにする。



 そして、僕とソフィと2匹は村の南へと向かう。
「ロイよ、教えてくれても良いではないか」
「まだ秘密!たまにはこういうのもいいでしょ?」
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...