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第三章 農民が動かす物語
油の商売
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「え、ええ!?え、でも払う必要って無いんじゃ……」
あまりにも予想外なその内容に僕は慌てる。
「そんな遠慮せんでいい!俺らはお前が一割でいいという優しさに感動して決めたことなんだ!」
「え、でもそれは……」
単なるドジで出来たから申し訳ない気持ちがあったから何だけど。
「それに君も知っているだろう、油の不法投棄で滅んだ国の事を」
それは聞いたことがある。
というより大陸中で油の不法投棄を決して行わないよう戒めとして広まっているものなので、僕もソフィも学校で習った事である。
それは今から300年程前の話
今は人国のエイメ帝国とセイクルーネ王国という2国に取り込まれた国、クリート王国で起きた事件だ。
油は人国に限らずどの国でも適切な処理をしてから廃棄しなければならないとなっている。
主に使用済み油を回収して廃棄するのは商人の仕事であり、また適切な処理をするのは魔法協会の人である。
それはクリート王国の都市で起った。
大きくまた水捌けの悪いクリート王国の都市の地下には、都市全体に張り巡らされた地下水道があった。
クリート王国では揚げ物が人気であり、どの家でも週に一度は揚げ物をする程であった。
そんな国の油を処理する商会は1つで、競争相手が居なかった。
そのため商会は国から定められた油処理の料金を吊り上げて儲けようと企んだ。
結果、揚げ物を止められない都市の人達は処理料金が高くなった油を地下に不法投棄するようになった。
これだけならただ水が汚れてしまうだけで済むのだが、ここは魔力のある世界。
不法投棄された油は周囲にある魔力を取り込んで『ジェル』と呼ばれる魔物になる。
有名なのは雨水に魔力が取り込まれて出来る『アクアジェル』という魔物で、その討伐難易度はかなり低い。
油が魔力を取り込んで出来る魔物は『油ジェル』と呼ばれ、通常討伐難易度が低い魔物である。
しかし、油ジェルは場所と量によっては討伐難易度がB又はAランクにまで跳ね上がる危険な魔物である。
危険とされているのは湿気の無い森、深い洞窟、そして人の密集した都市である。
通常油ジェルは火をつければ燃えて消えてしまう魔物であるので平原などであればただ燃やしてしまえばいい。
しかし乾燥した森に大繁殖していれば大火災になりかねず、また洞窟で燃えれば息苦しくなって死んでしまうのだ。
過去に洞窟の奥深くで山ほどの油を不法投棄した商会があり、それがジェル化したものを迂闊に燃やしてしまった際にその洞窟に居た他の魔物や冒険者が窒息死してしまうという悲惨な事件が起きたこともある。
しかし、この国で起った事件はそんなものでは無かった。
ある日その都市では珍しく三日三晩も大雨が降り続いた。
水捌けの悪いその都市では雨水は地下水道を通って近くの川へと排水する。
その為大雨が降った翌日に川へ流れ込む水量はとても多くなる。
しかし、大雨が止んだ翌日に川へと流れ込む水量は晴れた日の水量と変わらなかったのだ。
その為地下水道に繋がる点検口から調査隊がゴミが詰まっているのかと中に入ろうとしたのだ。
そうして地下水道への蓋を開けた時、それは始まったのだ。
都市中央付近の点検口を開けた時、そこから夥しい量の薄黄色の液体が天高く吹き上がる。
それと同時に都市中の点検口等の穴という穴からそれは吹き出した。
それは瞬く間に都市全体を覆い尽くして吹き上がるのが止むと、そこには巨大な油ジェルが存在していたという。
そしてその巨大な油ジェルは突然発火し、都市が全て燃え尽きてしまうまで延々と燃え続けた炎は都市を崩壊させ、政治を行う国王やその他お偉いさんに国民のほぼ全員が炎に飲まれ、また煙で息ができずに死んでしまったのだ。
後に『キング油ジェル』と呼ばれることになるその魔物は、その場に居たAランク冒険者に核を貫かれて死んだという。
そんなことを習ったなと思い出す。
「だからな、油関連でこれだけの利益が出せるのがそもそも誰も考えて無かったんだ」
「そうでしたね」
確かにその事件以降、揚げ物で商売する店は殆ど無くなったのだ。
「この国でも同じ悲劇が起きぬよう、レシピの配布と共に油の処理に関しては厳重注意をしておる所だ。コロンよ、油用鍋の販売の際にはその注意喚起をするよう全店舗に伝えておいては貰えないか?」
メルクさんもその事はちゃんと考えていたようだ。
「はい。商人達にも注意喚起をするよう伝えておきます」
「うむ、頼んだぞ。それと今回のことで油の需要が増える筈だから、油の処理の値段を全体的に下げる検討をしているのだが、コロンは商人がどのような反応をするか予想でよいので教えてはくれぬか?」
「それは商人も国が滅んだら商売どころじゃ無いですから、全体的に下げる事をオススメすると。今は小タルで銅貨3枚の所を1枚に、中を5から3枚、大で10から5枚にするのが良いと」
「ふむ、ではこれからはその額で引き取りを行うよう伝えてくれ。他の村でも油の需要が増えた地域にはその額で引き取るよう配慮しよう」
メルクさんとコロンさんの間でトントンと話が進んでいく。
それから少ししてコロンさんは仕事の為にルルトへと帰ることになった。
「お前さんのおかげで久々に忙しいんだ、ありがとな」
「お仕事頑張ってください」
「勿論だ!もしルルトに来る事あれば俺の店に寄ってけよな、サービスしてやるぞ」
「行くことがあれば是非」
あまりにも予想外なその内容に僕は慌てる。
「そんな遠慮せんでいい!俺らはお前が一割でいいという優しさに感動して決めたことなんだ!」
「え、でもそれは……」
単なるドジで出来たから申し訳ない気持ちがあったから何だけど。
「それに君も知っているだろう、油の不法投棄で滅んだ国の事を」
それは聞いたことがある。
というより大陸中で油の不法投棄を決して行わないよう戒めとして広まっているものなので、僕もソフィも学校で習った事である。
それは今から300年程前の話
今は人国のエイメ帝国とセイクルーネ王国という2国に取り込まれた国、クリート王国で起きた事件だ。
油は人国に限らずどの国でも適切な処理をしてから廃棄しなければならないとなっている。
主に使用済み油を回収して廃棄するのは商人の仕事であり、また適切な処理をするのは魔法協会の人である。
それはクリート王国の都市で起った。
大きくまた水捌けの悪いクリート王国の都市の地下には、都市全体に張り巡らされた地下水道があった。
クリート王国では揚げ物が人気であり、どの家でも週に一度は揚げ物をする程であった。
そんな国の油を処理する商会は1つで、競争相手が居なかった。
そのため商会は国から定められた油処理の料金を吊り上げて儲けようと企んだ。
結果、揚げ物を止められない都市の人達は処理料金が高くなった油を地下に不法投棄するようになった。
これだけならただ水が汚れてしまうだけで済むのだが、ここは魔力のある世界。
不法投棄された油は周囲にある魔力を取り込んで『ジェル』と呼ばれる魔物になる。
有名なのは雨水に魔力が取り込まれて出来る『アクアジェル』という魔物で、その討伐難易度はかなり低い。
油が魔力を取り込んで出来る魔物は『油ジェル』と呼ばれ、通常討伐難易度が低い魔物である。
しかし、油ジェルは場所と量によっては討伐難易度がB又はAランクにまで跳ね上がる危険な魔物である。
危険とされているのは湿気の無い森、深い洞窟、そして人の密集した都市である。
通常油ジェルは火をつければ燃えて消えてしまう魔物であるので平原などであればただ燃やしてしまえばいい。
しかし乾燥した森に大繁殖していれば大火災になりかねず、また洞窟で燃えれば息苦しくなって死んでしまうのだ。
過去に洞窟の奥深くで山ほどの油を不法投棄した商会があり、それがジェル化したものを迂闊に燃やしてしまった際にその洞窟に居た他の魔物や冒険者が窒息死してしまうという悲惨な事件が起きたこともある。
しかし、この国で起った事件はそんなものでは無かった。
ある日その都市では珍しく三日三晩も大雨が降り続いた。
水捌けの悪いその都市では雨水は地下水道を通って近くの川へと排水する。
その為大雨が降った翌日に川へ流れ込む水量はとても多くなる。
しかし、大雨が止んだ翌日に川へと流れ込む水量は晴れた日の水量と変わらなかったのだ。
その為地下水道に繋がる点検口から調査隊がゴミが詰まっているのかと中に入ろうとしたのだ。
そうして地下水道への蓋を開けた時、それは始まったのだ。
都市中央付近の点検口を開けた時、そこから夥しい量の薄黄色の液体が天高く吹き上がる。
それと同時に都市中の点検口等の穴という穴からそれは吹き出した。
それは瞬く間に都市全体を覆い尽くして吹き上がるのが止むと、そこには巨大な油ジェルが存在していたという。
そしてその巨大な油ジェルは突然発火し、都市が全て燃え尽きてしまうまで延々と燃え続けた炎は都市を崩壊させ、政治を行う国王やその他お偉いさんに国民のほぼ全員が炎に飲まれ、また煙で息ができずに死んでしまったのだ。
後に『キング油ジェル』と呼ばれることになるその魔物は、その場に居たAランク冒険者に核を貫かれて死んだという。
そんなことを習ったなと思い出す。
「だからな、油関連でこれだけの利益が出せるのがそもそも誰も考えて無かったんだ」
「そうでしたね」
確かにその事件以降、揚げ物で商売する店は殆ど無くなったのだ。
「この国でも同じ悲劇が起きぬよう、レシピの配布と共に油の処理に関しては厳重注意をしておる所だ。コロンよ、油用鍋の販売の際にはその注意喚起をするよう全店舗に伝えておいては貰えないか?」
メルクさんもその事はちゃんと考えていたようだ。
「はい。商人達にも注意喚起をするよう伝えておきます」
「うむ、頼んだぞ。それと今回のことで油の需要が増える筈だから、油の処理の値段を全体的に下げる検討をしているのだが、コロンは商人がどのような反応をするか予想でよいので教えてはくれぬか?」
「それは商人も国が滅んだら商売どころじゃ無いですから、全体的に下げる事をオススメすると。今は小タルで銅貨3枚の所を1枚に、中を5から3枚、大で10から5枚にするのが良いと」
「ふむ、ではこれからはその額で引き取りを行うよう伝えてくれ。他の村でも油の需要が増えた地域にはその額で引き取るよう配慮しよう」
メルクさんとコロンさんの間でトントンと話が進んでいく。
それから少ししてコロンさんは仕事の為にルルトへと帰ることになった。
「お前さんのおかげで久々に忙しいんだ、ありがとな」
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「勿論だ!もしルルトに来る事あれば俺の店に寄ってけよな、サービスしてやるぞ」
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