農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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第三章 農民が動かす物語

お昼ご飯

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「う、ううん……」
「目が覚めたか、ロイよ」

 あれからどれほど時間が過ぎたのか、何だかお腹が空いて仕方がなかった。
「今は丁度昼少し手前だな」
「ありがとう、コン。それじゃあご飯作ろうかな?竈の火をお願いしてもいいかな?」
「任された」
 コンがそう言って家の裏にある薪を取りに行ったのを見て、僕も食材の準備を始める。

「パンは朝にたくさん焼いてあるから、タームの乳と卵もあるから……うん、あれを作ってみようかな?」

 それはついこの前新しく出来たものとメルクさんが教えてくれたレシピ。
 揚げパンからの派生ではなく、発想を元に作った物だからその売上に僕は関与しないけれど「是非一度食べてもらいたい」と言って教えてくれたのだ。
 確か『卵漬け焼きパン』と言っていた、とても簡単に作れる甘いパン。

 まずはボウルを用意して、その中に今朝搾ったばかりのタームの乳、卵、砂糖を入れてかき混ぜる。
 次に切ったパンをその中に入れて浸し、少し放置してからひっくり返してもう一度漬ける。
 最後に薄く油をひいたフライパンで卵に浸したパンの両面を軽く焼目が付くまで焼けば出来上がり。
 ここでバターを油の代わりに使えばもっと美味しくなるらしいけど、少々作るのが手間だったので省いたから今度挑戦してみようかな。

 と、そこでパンの匂いにつられたのかミリィがゴソゴソと動き出す。
 それからゆっくりと起き上がると目を擦りながら周囲を見渡していた。
「ミリィ、お昼ご飯出来たけど食べる?」
「食べる!」
 そう言ってすぐに立ち上がってパタパタと駆け寄ってくる姿に、僕は昔から変わらないなぁと思う。
 僕は基本呼ばれても歩いて行くことが多いのに対して、ミリィはすぐに駆けて来るのだ。

「はい、ミリィの分だよ」
「えっと……お兄ちゃん、今度はパンを卵の中に突っ込んだの?」
「え?あ、これはそういう料理だから大丈夫だよ。王都で新しく出来た料理だって」
「そうなの!それなら美味しいよね!」

 恐らくこの前の揚げパンと同じ事をやらかしたのだろうと思われていたことに苦笑を浮かべながらも、僕も自分の分とコン分も少し別の皿によそって席に着く。

「「「いただきます」」」

 合掌をしてから箸を取り、初めから切ってあるパンを摘んで口に運ぶ。

「美味しい!お兄ちゃん、これなんなの?」
「良かった、失敗してなくて。これはね、卵漬け焼きパンっていうそうだよ」
「へえぇ、今度作り方教えて!」
「いいよー」
「やった!」
「ふむ、中々に美味いぞ」

 コンもミリィも気に入ってくれたみたいで良かった。


ーーーーーーーーーー
 補足
 ・卵漬け焼きパン→フレンチトースト
 ・素揚げパン→ドーナツ(球状)
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