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第三章 農民が動かす物語
コンと英雄
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夜、目が覚めた。
右を向くと隣でミリィがスースーと寝息を立てている。
もう2年と少し前にはこうして一緒に寝ることは無くなっていたけど、今日の事が余程心配だったのか枕を持ってやって来たのだ。
大体が10にもなれば妹がここまでベッタリとくっついて来ることはそうないそうだけど、そうなると絶対寂しいと思うからまだまだ先の事であって欲しいと思う。
実際レン兄は妹のソフィが9の頃にあんまり付いて来なくなって寂しいなんて愚痴っていた。
そうしてミリィの寝顔を見ていると、ミリィの向こう側にあるコンの寝床が見えた。
その寝床の更に後ろで寝ているユンの白い毛だけが見え、そこにあるはずの白と黒の模様をもつ竜であるコンが見当たらなかった。
どこに行ったのだろうと思っていると、左から微かに風を感じた。
左は確か窓があったはずで、もしかして開けたままねてしまったのかなとそちらを見やる。
するとそこには月明かりに照らされて、白と黒の鱗をツヤツヤと輝かせているコンが居た。
僕はミリィとユンを起こしてしまわないようソッと静かに起き上がり、コンの後ろに立つ。
コンは何やら物思いに耽っているのか僕に気が付いた様子がない。
「我はどうすれば良かったのだ、セーゼントよ。お主なら今の我を見て何と言う……」
セーゼント?
何処かで聞いたことのある名前をコンが呟いていた。
「アルフレシアよ、君は今の我をなんと思うか……いや、あやつならきっと笑ってそのままでよいとでも言うのだろうな」
アルフレシア、これは確実に聞き覚えがある。
というよりもこの名前を知らない者は居ないだろうと言う程の有名な名だ。
「ねぇコン、もしかして今のは『知と開闢の神』アルフレシア様の事?」
「うむ、アルフレシアと言う名が指すものはそれしかあるまい。その名を似せた者はおるだろうがそのままの名を使う事は不敬だとされてお、る……うむ?ロイよ、何時からそこにおったのだ」
やっぱり気が付いていなかったみたいだ。
それでも聞いたら答えてくれていた辺り、コンも説明するのがだんだんと癖になっているのかもしれない。
「えっとね、確かセーゼントがどうこうって……あれ?セーゼントって、もしかして英雄の『超越者』、スウェーレン・セーゼントの事?」
「その通りだが、少し違うな。『強肉弱食』スウェーレン・セーゼントだ」
「えっと、それを言うなら弱肉強食じゃないの?」
「強肉弱食とはアヤツの能力を皮肉交じりに表したものでな、これが誠に能力の特徴と噛み合っておるのだ。今はそのままではあまりにも耳触りが宜しく無いと超越者などと呼ばれておるが、アヤツが生きておる時は強肉弱食と呼ばれておったのだ」
あの有名な英雄セーゼントが昔は別の呼び名があったなんて初耳である。
恐らく研究者ぐらいしか知らないのではないだろうか?
「へえぇ、コンは物知りだね」
「それはそうだろう。アヤツとは長い付き合いであったからな、直接何度もあって愚痴だなんだと色々聞いておれば覚えもする」
「え!?コン、あのセーゼントさんと知り合いだったの?」
「うむ、我の唯一の友であった者だからな」
友。コンが口にしたその言葉には、とても強い想いがあるように感じた。
「そうだったんだね」
「うむ。……アヤツはな、今語られている程立派な人物ではない。我が住処に馴れ馴れしい言葉でヘラヘラと笑いながら来るものだから、里の皆の少々手荒な歓迎をしたら軽く返り討ちにして我が元へと無断で踏み入って、開口一番『よう混沌竜だったか?俺はスウェーレン・セーゼントだ!……にしても埃臭い所だな、もっと風通しの良いとこに住まねぇのか?』等と言いおったわ」
「え、ぇえ?」
「全く持って礼儀という物を知らぬ愚か者よ、あやつは」
そう苛立たし気に言い切るコンだけど、顔は笑顔で尻尾が左右に揺れる。
きっとこれはコンにとってとても良い思い出なのだろう。
「興味があるのか?」
「うん、だってコンとあの世界一有名な英雄の話だよ?興味が無い人なんて居ないんじゃ無いかなぁ?」
「ふむ、では少しばかり昔の話をしよう。これは今から500と数十年前の話だ」
右を向くと隣でミリィがスースーと寝息を立てている。
もう2年と少し前にはこうして一緒に寝ることは無くなっていたけど、今日の事が余程心配だったのか枕を持ってやって来たのだ。
大体が10にもなれば妹がここまでベッタリとくっついて来ることはそうないそうだけど、そうなると絶対寂しいと思うからまだまだ先の事であって欲しいと思う。
実際レン兄は妹のソフィが9の頃にあんまり付いて来なくなって寂しいなんて愚痴っていた。
そうしてミリィの寝顔を見ていると、ミリィの向こう側にあるコンの寝床が見えた。
その寝床の更に後ろで寝ているユンの白い毛だけが見え、そこにあるはずの白と黒の模様をもつ竜であるコンが見当たらなかった。
どこに行ったのだろうと思っていると、左から微かに風を感じた。
左は確か窓があったはずで、もしかして開けたままねてしまったのかなとそちらを見やる。
するとそこには月明かりに照らされて、白と黒の鱗をツヤツヤと輝かせているコンが居た。
僕はミリィとユンを起こしてしまわないようソッと静かに起き上がり、コンの後ろに立つ。
コンは何やら物思いに耽っているのか僕に気が付いた様子がない。
「我はどうすれば良かったのだ、セーゼントよ。お主なら今の我を見て何と言う……」
セーゼント?
何処かで聞いたことのある名前をコンが呟いていた。
「アルフレシアよ、君は今の我をなんと思うか……いや、あやつならきっと笑ってそのままでよいとでも言うのだろうな」
アルフレシア、これは確実に聞き覚えがある。
というよりもこの名前を知らない者は居ないだろうと言う程の有名な名だ。
「ねぇコン、もしかして今のは『知と開闢の神』アルフレシア様の事?」
「うむ、アルフレシアと言う名が指すものはそれしかあるまい。その名を似せた者はおるだろうがそのままの名を使う事は不敬だとされてお、る……うむ?ロイよ、何時からそこにおったのだ」
やっぱり気が付いていなかったみたいだ。
それでも聞いたら答えてくれていた辺り、コンも説明するのがだんだんと癖になっているのかもしれない。
「えっとね、確かセーゼントがどうこうって……あれ?セーゼントって、もしかして英雄の『超越者』、スウェーレン・セーゼントの事?」
「その通りだが、少し違うな。『強肉弱食』スウェーレン・セーゼントだ」
「えっと、それを言うなら弱肉強食じゃないの?」
「強肉弱食とはアヤツの能力を皮肉交じりに表したものでな、これが誠に能力の特徴と噛み合っておるのだ。今はそのままではあまりにも耳触りが宜しく無いと超越者などと呼ばれておるが、アヤツが生きておる時は強肉弱食と呼ばれておったのだ」
あの有名な英雄セーゼントが昔は別の呼び名があったなんて初耳である。
恐らく研究者ぐらいしか知らないのではないだろうか?
「へえぇ、コンは物知りだね」
「それはそうだろう。アヤツとは長い付き合いであったからな、直接何度もあって愚痴だなんだと色々聞いておれば覚えもする」
「え!?コン、あのセーゼントさんと知り合いだったの?」
「うむ、我の唯一の友であった者だからな」
友。コンが口にしたその言葉には、とても強い想いがあるように感じた。
「そうだったんだね」
「うむ。……アヤツはな、今語られている程立派な人物ではない。我が住処に馴れ馴れしい言葉でヘラヘラと笑いながら来るものだから、里の皆の少々手荒な歓迎をしたら軽く返り討ちにして我が元へと無断で踏み入って、開口一番『よう混沌竜だったか?俺はスウェーレン・セーゼントだ!……にしても埃臭い所だな、もっと風通しの良いとこに住まねぇのか?』等と言いおったわ」
「え、ぇえ?」
「全く持って礼儀という物を知らぬ愚か者よ、あやつは」
そう苛立たし気に言い切るコンだけど、顔は笑顔で尻尾が左右に揺れる。
きっとこれはコンにとってとても良い思い出なのだろう。
「興味があるのか?」
「うん、だってコンとあの世界一有名な英雄の話だよ?興味が無い人なんて居ないんじゃ無いかなぁ?」
「ふむ、では少しばかり昔の話をしよう。これは今から500と数十年前の話だ」
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