【番外編集】てんどん 天辺でもどん底でもない中学生日記

あおみなみ

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【後日談】何を見ても何かを思い出す

幼馴染なるもの

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 本編第16章「エンディングβベータ」を踏まえた、まつりと日高君のデートエピソードです。

***

 家が近所仲よしというのは、大抵はせいぜい小学生までの話らしい。
 中学、高校と進むと、行動範囲も広がるし、家が少し遠くても遊ぶ子はいる。

 私のお姉ちゃんと、レイのお姉さんの明日香さんは小学校から仲よしで、高校が違っても仲よしだ。
 お姉ちゃんは春から隣の県の女子大、明日香さんは地元の医大に進学するけど、本人たちさえその気なら、多分友情は続くだろうと思う。
 多分、どこかの時点で知り合ってさえいれば、その後友達になれる2人だったんだと思う。

 たまたま聞いていたラジオで、有名なアーティストの人が言っていたんだよね。

「男っていい年になると、必要なけりゃ2、3年会わない友達なんてザラにいるけど、女の子って「するよね?」って。
 そういえば、確かにママにもそういう友達は何人かいるなあ。
 例えば私も優香とそんな関係でいたいなとは思う。

 家が3軒隣で、3歳のときから仲よしだった「レイ」とは、小学校の一時期だけ遊ばなくなったことがあったけど、中学校に入ってからは部活も一緒、登校も一緒で、レイの塾がない日は下校も一緒だった。

 クラスの子に「斉木君と付き合ってるの?」って聞かれて、「ただの幼馴染だよ。家が近所で」って答えると、「それだけなのにあんなに仲いいの?」ってびっくりされたことがあった。
 家が近所ってだけで異性と仲よくすることは、実際そんなにないようだ。
 優香は小学4年生のときに、家庭の事情で家を引っ越したことがあるけど、「前住んでた家の隣、同じクラスの男子だったけど、口ほとんど利いたことないよ?」って言ってた。

◇◇◇

 レイからの告白を断って、日高君と「付き合おう」って言われてOKしたら、レイは私のことを「まつりちゃん」ではなく「桐野とうのさん」と苗字で呼ぶようになり、最低限しか口を利かなくなった。多分、日高君に気を使っているのだと思う。
 となると、私もちょっと寂しいけど、「斉木さいき君」って呼ぶしかない。
 小さい頃はレイ君とかレイちゃんとか呼んでいた記憶もあるんだけど、気付いたら呼び捨てにしていたので、敬称じたい、付けるの久しぶりだなあ。

 私も本当はレイのことが好きだったけれど、告白を断ったのは、「先々レイがほかの女の子を好きになるかもしれないから」だった。
 別にレイが惚れっぽいとか、うわついているからとか、そういうことではない。
 幼馴染という理由で、いつまでも私を保証はないと想像したら、ちょっと辛くなっちゃったのだ。

 レイに好かれた女の子は絶対レイを好きになるし、私は多分そうなってもレイに対して腹を立てることもできないと思う。むしろ「今まで私なんかと付き合ってくれてありがとう」って話だ。
 レイは誰より優しくて、頭がよくて、美しい。今は交際範囲が狭いから、身近にいた私を好きって勘違いしているだけだ――と思う。

 私がそんな話をしたら、日高君が呆れながらも、「なら、そこそこ素敵で、万が一浮気されても一発殴れば済むようなやつと気楽に付き合えばいい」って、自分自身をオススメしてきた。
 日高君は話していて楽しいし、もちろん嫌いじゃない。割と本音で付き合える。
 そして何より――「断るのが面倒くさい」という最低の理由で、私は申し込みにOKしたんだ。

 友達の延長線上だと思っていたら、告白したその日に部屋に誘われて、「嫌だったら言えよ」って言いながらキスした。
 日高君はとても優しくて、柔らかくて、温かくて、ドキドキするほど「男の子」の顔をしていて、キスっていいものだなって思ったけど、そうされながら、私はやっぱりレイのことを考えていた。
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