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初恋は実るか否か
しおりを挟む私の初恋は3歳のときだそうです。
変な言い回しですが、「自分はおぼろげな記憶しかないけれど、周りがそう言っている」という意味です。
兄と同い年で、ラグビーをやっている子でした。だから幼稚園の年長さんだと思われます。
多分幼稚園では同じクラスだったでしょうが、昔からインドア派の兄と仲がよかったのかどうかは分からないし、覚えてもいません。
どちらかというと、ラグビー好きだった父とのつながりの方が大きいかもしれません。
幼稚園の行事か何かでどこかに出かけ、おまけでついていった私が転んでしまったとき、優しく手を貸して助け起こしてくれた彼に、「Tちゃんのお嫁さんになる~」とか言ったそうです。まったく、どこで覚えたのやら。
その後、母の実家に引っ越した後、一度も会っていませんし、連絡を取ることもありませんでした。
ただ、両親というか父がしつこくお嫁さん発言を繰り返していたので、顔を忘れた状態で、ネタとして友達に話す程度になっていました。
そして高校生のときに、偶然消息を知りました。
父が読んでいたラグビー専門誌に、大学ラグビーの特集か何かが組まれていました。
そこで東京にある某強豪大学のメンバーの中に、彼の写真を見つけたのです。
といっても顔なんか覚えているわけもなく、そもそも15年も経っています。
割と珍しい姓で名前も同じ、出身地と学年が一致したことで確定したにすぎません。
実は当時、ちょっとしたラグビーブームはありました。
ドラマ『スクール・ウォーズ』の影響もゼロではなかったでしょうが、早稲田、慶應、明治などの名門大学の存在は大きかったでしょう。
さらに、「秩父宮ラグビー場がオシャレタウンにあるから女性に人気なだけのでは」的な発言をして批判された関係者もいたと記憶しています。
しかし18歳(インドア派・甲子園にも国立にも花園にも興味なし)の私は、そこまで感慨深いものは覚えず――って、ラグビー強豪校でそこそこ主力メンバーになっていることに感慨を覚えるべきなのですが、正直つくられた初恋の記憶にそこまでの重要性を感じません。
彼の好きなタレントのところに書かれた「中山美穂」という情報を見ても、「へー、美人タイプ好きってこと?」くらいのもんです。
◇◇◇
私のはいかにも無理筋としても、「初恋は実らない」とはよく言われます。
が、某所でとても興味深い数字を見かけました。
「初恋の人と結婚する確率」は「1%」だそうです。計算根拠はわかりませんが、妙にリアルな数字です。
東大に合格(0.12)、野球場でホームランボールをつかむ(0.026)、三毛猫のオスが生まれる(0.003)といった事象よりもぐんと高率といえましょう。
そりゃそうですね。初恋だってれっきとした出会いの一つです。
しかし、さすがに不安定な3歳児が5、6歳のスポーツ少年にたまたま助け起こされた程度では、馴れ初めにもカウントしてもらえなかったようです。
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