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こんなとき「マジで?」と言うような女だから振られたのだろう…
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唐突ですが、初恋の話をしたくなりました。
初恋というか、初めて本格的にお付き合いした男性の話といった方がいいかもしれませんが、読んでいただければ幸いです。
***
17歳の誕生日を少し先に控えた16歳のときなので、高校2年だったはず。
「いいな」と思った年上の男性に初めて自分から告白し、お付き合いがかなったときは幸せでした。
ちょっと遠方に住んでいたので、頻繁な手紙と、たまの長電話が中心のやりとりでしたが、充実した幸せな関係だったと思います。
「この年になるまで、こんなに手紙って書いたことなかったよ」と笑っていました。
この年っつっても当時まだ21~22歳だったのですが、年齢に似合わず、笑うと目じりに深いしわが刻まれるタイプだったので、そういうものも含め、非常に大人に思えました。
***
俳優の岡田義徳さんを初めて知ったとき、私はもう既に別の人と結婚して子供もいる身の上でしたが、「あー、彼はこんな顔だったなあ」と思って見ていました。
(実は声優の陶山章央さんの方が、さらに「彼」寄りの顔なのですが、声優さんという性質上、あまりお顔を知られていないので、よりイメージしやすい俳優さんの名前を出しました)
「そこまで本気で考えているわけじゃないけど」「あんまり人に言ったことはないんだけど」と言いつつ、実は政治家になりたいのだと話してくれたこと。
めちゃくちゃ甘党で、大学で甘味めぐりのサークルに入っていて、我が家に来た際、うちの母が出した微妙な和菓子も頑張って食べてくれたこと。
年齢的には10歳も離れた私の弟とも「けんかするほどの仲」だったこと。
大の鳥好きで、ハトのえさが買える(与えられる)ところでは必ず給餌をして、両肩や頭の上にまで止まられてニコニコしていたこと…。ちなみに鳥の種類を問わず、「トリさん」と呼んでいました。
このあたりは、ちょっと心がほの温かくなるような思い出として語れますが、別れる間際の彼のクズっぷりと、私のみっともなさに関しては省略します。
***
彼はごくごく普通の人でしたが、ある趣味の世界でちょっと有名人だったので、21世紀になり、ネットが普及し始めると、比較的簡単に近況がわかりました。
それも彼について検索したわけではないのに、周辺情報で「たまたま」分かっちゃったりする感じでした。
20年以上前ですが、彼は私とはわからず、ある掲示板の書き込みにレスをつけてくれたことがありました。
書き込みの内容からして、「私」だと認識した上での他人行儀だったのかもしれませんが、もうお互いがそういう受け答えができるようになったんだなあと、勝手にしみじみしていました。
***
もう5、6年前だったと思いますが、その彼が実は既に亡くなっていたことを知りました。
ツイッターのちょっとした書き込みがきっかけだったので、半信半疑でしたが、少し別ルートを掘ってみると、どうやら本当のようです。
病名は分からないけれど病死だったことと、詳しい時期は不明ながら、既に10年以上前に亡くなっていたようです。
それを知ったとき、私が発した一言は、「え、マジで?」でした。
たまたま近くにいた娘に「何が?」と聞かれ、適当にごまかしましたが、漠然とはいえ結婚を考えたこともある人が亡くなったと知って、しかも50手前の女が「マジで?」って、あまりにも軽過ぎじゃあありませんか。
それぐらい長い年月が経ってしまったということなのか、こんなときにこんなこと言っちゃう残念な語彙力の女だから振られたのか、もはやどっちでもいいことです。
少し落ち着いてから、そういえば彼にも奥さんやお子さんがいたことを思い出しました。
それも「結婚して子供もいる、ということを知っている」程度の情報なので、どんな女性と結婚したのか、お子さんは彼似か奥様似かも知らないのに、それでも、残されたその人たち寄りの気持ちを想像したら、他人事に対して無責任に「落ち込み」ました。
自分のダーリンがこの世からいなくなるって、一体どんな気持ちなんでしょう。
「心の中で生きている」としても、実体はなく触れることもできない、ダジャレを言っても笑ってくれない、コーヒーを淹れても飲んでくれない、母の日や誕生日に「金麦 <糖質75%オフ>24缶入り」をプレゼントしてくれない…
だめだ、ちーっとも想像できないし、したくありません。
***
彼のことは、『1985年 最低でありふれたカレとカノジョの夏。』というタイトルで小説に落とし込みました。
お時間がある方、読んでいただければ幸いです。
初恋というか、初めて本格的にお付き合いした男性の話といった方がいいかもしれませんが、読んでいただければ幸いです。
***
17歳の誕生日を少し先に控えた16歳のときなので、高校2年だったはず。
「いいな」と思った年上の男性に初めて自分から告白し、お付き合いがかなったときは幸せでした。
ちょっと遠方に住んでいたので、頻繁な手紙と、たまの長電話が中心のやりとりでしたが、充実した幸せな関係だったと思います。
「この年になるまで、こんなに手紙って書いたことなかったよ」と笑っていました。
この年っつっても当時まだ21~22歳だったのですが、年齢に似合わず、笑うと目じりに深いしわが刻まれるタイプだったので、そういうものも含め、非常に大人に思えました。
***
俳優の岡田義徳さんを初めて知ったとき、私はもう既に別の人と結婚して子供もいる身の上でしたが、「あー、彼はこんな顔だったなあ」と思って見ていました。
(実は声優の陶山章央さんの方が、さらに「彼」寄りの顔なのですが、声優さんという性質上、あまりお顔を知られていないので、よりイメージしやすい俳優さんの名前を出しました)
「そこまで本気で考えているわけじゃないけど」「あんまり人に言ったことはないんだけど」と言いつつ、実は政治家になりたいのだと話してくれたこと。
めちゃくちゃ甘党で、大学で甘味めぐりのサークルに入っていて、我が家に来た際、うちの母が出した微妙な和菓子も頑張って食べてくれたこと。
年齢的には10歳も離れた私の弟とも「けんかするほどの仲」だったこと。
大の鳥好きで、ハトのえさが買える(与えられる)ところでは必ず給餌をして、両肩や頭の上にまで止まられてニコニコしていたこと…。ちなみに鳥の種類を問わず、「トリさん」と呼んでいました。
このあたりは、ちょっと心がほの温かくなるような思い出として語れますが、別れる間際の彼のクズっぷりと、私のみっともなさに関しては省略します。
***
彼はごくごく普通の人でしたが、ある趣味の世界でちょっと有名人だったので、21世紀になり、ネットが普及し始めると、比較的簡単に近況がわかりました。
それも彼について検索したわけではないのに、周辺情報で「たまたま」分かっちゃったりする感じでした。
20年以上前ですが、彼は私とはわからず、ある掲示板の書き込みにレスをつけてくれたことがありました。
書き込みの内容からして、「私」だと認識した上での他人行儀だったのかもしれませんが、もうお互いがそういう受け答えができるようになったんだなあと、勝手にしみじみしていました。
***
もう5、6年前だったと思いますが、その彼が実は既に亡くなっていたことを知りました。
ツイッターのちょっとした書き込みがきっかけだったので、半信半疑でしたが、少し別ルートを掘ってみると、どうやら本当のようです。
病名は分からないけれど病死だったことと、詳しい時期は不明ながら、既に10年以上前に亡くなっていたようです。
それを知ったとき、私が発した一言は、「え、マジで?」でした。
たまたま近くにいた娘に「何が?」と聞かれ、適当にごまかしましたが、漠然とはいえ結婚を考えたこともある人が亡くなったと知って、しかも50手前の女が「マジで?」って、あまりにも軽過ぎじゃあありませんか。
それぐらい長い年月が経ってしまったということなのか、こんなときにこんなこと言っちゃう残念な語彙力の女だから振られたのか、もはやどっちでもいいことです。
少し落ち着いてから、そういえば彼にも奥さんやお子さんがいたことを思い出しました。
それも「結婚して子供もいる、ということを知っている」程度の情報なので、どんな女性と結婚したのか、お子さんは彼似か奥様似かも知らないのに、それでも、残されたその人たち寄りの気持ちを想像したら、他人事に対して無責任に「落ち込み」ました。
自分のダーリンがこの世からいなくなるって、一体どんな気持ちなんでしょう。
「心の中で生きている」としても、実体はなく触れることもできない、ダジャレを言っても笑ってくれない、コーヒーを淹れても飲んでくれない、母の日や誕生日に「金麦 <糖質75%オフ>24缶入り」をプレゼントしてくれない…
だめだ、ちーっとも想像できないし、したくありません。
***
彼のことは、『1985年 最低でありふれたカレとカノジョの夏。』というタイトルで小説に落とし込みました。
お時間がある方、読んでいただければ幸いです。
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