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92話
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何だかよく解らないが、戻ってきたらジュノと翠さんが『私は翠さんが大好きですよ』『俺も大好きです』等と言って抱きしめ合っている場面であった。
笑美は驚いて固まる。
待て、どう言う事だ!?
ジュノはハワードと恋人同士になったのではなかったか?
よく考えたら翠さんが好きだと気付いて、翠さんもそれに気付いた場面だろうか。
凄い密かに思い合っていたのだろうか。
「だ、駄目だ! 翠さんは私のです!! ジュノは早く帰りなさい!!」
「魔王様、落ち着いて私の話を……」
怒っている様子の笑美に誤解されたと気付き、翠から距離を取るジュノだが、笑美はジュノと翠の間に割って入ると、ジュノを城に強制的に送り返した。
「あっ! ジュノさん!?」
まだセックスの話を聞けてない。
翠は残念そうな表情になる。
それがまた笑美の誤解に拍車をかけてしまうのだった。
強制的に送り返されたジュノは、誤解を解けなかったと後悔したが、まぁ、飛んでもなく有り得ない誤解なので直ぐ解けるだろうと、戻ることはしなかった。
翠が『ジュノさんとは普通の友人です』と、言うだろう。
しかし、間が悪すぎた。
何故もう一瞬早く帰って来なかったのだろう。
凄く翠が熱い愛を叫んでいたのに。
我が魔王様はとことんツイてない男である。
いや、翠さんと出会えた事がとんでもないラッキーなので、その他の運は投げ捨てたのかも知れないな。
なんて、考えるジュノである。
「ジュノ、帰ったのか?」
ジュノの気配にハワードが顔を出す。
「何故こんな所に?」
ジュノが帰ってくるなら執務室だと思ったのだが、何故か大広間に帰って来ていた。
「魔王様を怒らせてしまって強制的に送り返されました」
「何を怒らせたんだ?」
「いえ…… ちょっと大広間は人目が気になりますね」
フフっと笑うジュノ。
皆、黙々と働いているのでジュノが突然現れようと陛下が突然現れようと、特に気にした様子は無いが、ここに下半身を露出して戻された陛下を思うと、ちょっと失礼だが、笑ってしまう。
「そうだな執務室に行こう」
ハワードもここに下半身丸出しで送り返されたメイド達に悲鳴を上げられた事を思い出したらしい。
バツが悪そうな顔をしていた。
執務室まで戻ってきたハワードとジュノ。
ハワードは仕事に取り掛かり、ジュノも手伝いに取り掛かる。
「で、本当に何をやらかしたんだ?」
ジュノを溺愛している魔王が怒るなんて余程の事だ。
全く想像がつかない。
「翠さんに大好きですって言って抱き締めました」
「何!?」
ハワードは、予想外過ぎて書類を散らばしてしまった。
ジュノはヤレヤレと言う顔で書類をまとめ直す。
「今更、惚れ薬の効果が出たのか!? 俺の事は、もうどうでも良いと言うのか!?」
「なんで陛下も魔王様も変な誤解するんですか? 短略的過ぎません?」
混乱した様子のハワードにムッとしてしまうジュノ。
「惚れ薬の効果はノエル先生に抜いて貰いました。翠さんの事は友人として大好きだと抱き締めただけですよ」
プンプンしてしまうジュノだ。
友人同士でも抱き締めあったりするだろうに。
友人が居た事ないので解らないが……
友人同士で抱き締め合うのは非常識な事だっただろうか?
いや、覚えたマナーにそんな事は書いてなかったと思うんだが……
笑美にもハワードにも誤解され、自信が無くなるジュノである。
「そうか、そうだよな。ビックリした。いや、魔王もビックした事だろうよ。だがジュノは災難だったな」
「いえ、直ぐに解ける誤解なので別に構いません」
ハワードは解ってくれたらしく、ホッとした様子だ。
やっぱり自分は変な事をしてないと解り、ジュノも内心ホッとした。
「えっと、それで…… 惚れ薬の効果は切れたんだよな?」
「ええ、抜いて貰いましたよ」
「じゃあ、今、俺の事どう思ってるんだ?」
「え……」
まさか、私が崖から飛び降りるような気持ちで答えた愛してるを惚れ薬の効果だと疑っている?
ジュノはまたムッとしてしまう。
「私は陛下を愛しています。その気持ちは変わりません。惚れ薬の効果だと思われたのですか? とても心外です! 私は貴方に拾って頂いた日からずっとお慕いしていました。一目惚れかも知れません」
「本当か! 良かった。ジュノ! 俺も一目惚れかもしれないと思うぞ!」
「あー、やっぱりドエスとドエムが惹かれ合ってしまったんですね……」
アハハと苦情するジュノだ。
「ジュノ、好きだ! 愛しているぞ!」
「はいはい、私も愛していますよ」
「キスしよう!」
「仕事が終わったらしましょうね」
仕事モードになってしまったジュノはテキパキと動きている。
なんか、キスを軽く流さられた様でムシャクシャするハワード。
「仕事が終わったらベッドインな!」
ハワードはそう言うといつもより張り切って仕事に取り掛かるのだった。
笑美は驚いて固まる。
待て、どう言う事だ!?
ジュノはハワードと恋人同士になったのではなかったか?
よく考えたら翠さんが好きだと気付いて、翠さんもそれに気付いた場面だろうか。
凄い密かに思い合っていたのだろうか。
「だ、駄目だ! 翠さんは私のです!! ジュノは早く帰りなさい!!」
「魔王様、落ち着いて私の話を……」
怒っている様子の笑美に誤解されたと気付き、翠から距離を取るジュノだが、笑美はジュノと翠の間に割って入ると、ジュノを城に強制的に送り返した。
「あっ! ジュノさん!?」
まだセックスの話を聞けてない。
翠は残念そうな表情になる。
それがまた笑美の誤解に拍車をかけてしまうのだった。
強制的に送り返されたジュノは、誤解を解けなかったと後悔したが、まぁ、飛んでもなく有り得ない誤解なので直ぐ解けるだろうと、戻ることはしなかった。
翠が『ジュノさんとは普通の友人です』と、言うだろう。
しかし、間が悪すぎた。
何故もう一瞬早く帰って来なかったのだろう。
凄く翠が熱い愛を叫んでいたのに。
我が魔王様はとことんツイてない男である。
いや、翠さんと出会えた事がとんでもないラッキーなので、その他の運は投げ捨てたのかも知れないな。
なんて、考えるジュノである。
「ジュノ、帰ったのか?」
ジュノの気配にハワードが顔を出す。
「何故こんな所に?」
ジュノが帰ってくるなら執務室だと思ったのだが、何故か大広間に帰って来ていた。
「魔王様を怒らせてしまって強制的に送り返されました」
「何を怒らせたんだ?」
「いえ…… ちょっと大広間は人目が気になりますね」
フフっと笑うジュノ。
皆、黙々と働いているのでジュノが突然現れようと陛下が突然現れようと、特に気にした様子は無いが、ここに下半身を露出して戻された陛下を思うと、ちょっと失礼だが、笑ってしまう。
「そうだな執務室に行こう」
ハワードもここに下半身丸出しで送り返されたメイド達に悲鳴を上げられた事を思い出したらしい。
バツが悪そうな顔をしていた。
執務室まで戻ってきたハワードとジュノ。
ハワードは仕事に取り掛かり、ジュノも手伝いに取り掛かる。
「で、本当に何をやらかしたんだ?」
ジュノを溺愛している魔王が怒るなんて余程の事だ。
全く想像がつかない。
「翠さんに大好きですって言って抱き締めました」
「何!?」
ハワードは、予想外過ぎて書類を散らばしてしまった。
ジュノはヤレヤレと言う顔で書類をまとめ直す。
「今更、惚れ薬の効果が出たのか!? 俺の事は、もうどうでも良いと言うのか!?」
「なんで陛下も魔王様も変な誤解するんですか? 短略的過ぎません?」
混乱した様子のハワードにムッとしてしまうジュノ。
「惚れ薬の効果はノエル先生に抜いて貰いました。翠さんの事は友人として大好きだと抱き締めただけですよ」
プンプンしてしまうジュノだ。
友人同士でも抱き締めあったりするだろうに。
友人が居た事ないので解らないが……
友人同士で抱き締め合うのは非常識な事だっただろうか?
いや、覚えたマナーにそんな事は書いてなかったと思うんだが……
笑美にもハワードにも誤解され、自信が無くなるジュノである。
「そうか、そうだよな。ビックリした。いや、魔王もビックした事だろうよ。だがジュノは災難だったな」
「いえ、直ぐに解ける誤解なので別に構いません」
ハワードは解ってくれたらしく、ホッとした様子だ。
やっぱり自分は変な事をしてないと解り、ジュノも内心ホッとした。
「えっと、それで…… 惚れ薬の効果は切れたんだよな?」
「ええ、抜いて貰いましたよ」
「じゃあ、今、俺の事どう思ってるんだ?」
「え……」
まさか、私が崖から飛び降りるような気持ちで答えた愛してるを惚れ薬の効果だと疑っている?
ジュノはまたムッとしてしまう。
「私は陛下を愛しています。その気持ちは変わりません。惚れ薬の効果だと思われたのですか? とても心外です! 私は貴方に拾って頂いた日からずっとお慕いしていました。一目惚れかも知れません」
「本当か! 良かった。ジュノ! 俺も一目惚れかもしれないと思うぞ!」
「あー、やっぱりドエスとドエムが惹かれ合ってしまったんですね……」
アハハと苦情するジュノだ。
「ジュノ、好きだ! 愛しているぞ!」
「はいはい、私も愛していますよ」
「キスしよう!」
「仕事が終わったらしましょうね」
仕事モードになってしまったジュノはテキパキと動きている。
なんか、キスを軽く流さられた様でムシャクシャするハワード。
「仕事が終わったらベッドインな!」
ハワードはそう言うといつもより張り切って仕事に取り掛かるのだった。
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