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エピローグ
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そうして、日々は穏やかに過ぎて行った。
バイトもちゃんと続いている。
今までは簡単な料理……と言えるかどうかという代物だけを担当してたんだけど、最近では栗谷さんのメニュー作りにも参加させてもらえるようになった。
だけど、生活の中で明らかに変わったことが一つだけあった。
それは、灰咲さんの姿だ。
今までは昼夜を問わず場所を選ばずサングラスを始終かけていたけど、家の中だけでは外してくれるようになった。
それが凄く嬉しくて、時折ジッと灰咲さんの素顔を拝み堪能している。
「……なんだよ」
「別に?」
今もまた、見惚れて灰咲さんの姿を目で追い続けていたら、それに気づいた灰咲さんが眉根を寄せて威嚇した。
ちっとも怖くないけどね。
「じゃあ何見てんだ」
「……えっと、恋人の……顔?」
「――――」
あ、赤くなった。
俺がニヤニヤして見ていると、灰咲さんはちょっとムッとした顔をしてローボードの引き出しを開けようとした。
「ちょっと、灰咲さん! ダメだろ、それ!」
「なにがだ。お前最近生意気だぞ」
灰咲さんが取り出そうとしていたのは、以前に体の一部と化していたサングラスだ。
「だって! 俺には素を晒してもいいからって、サングラス外してくれたんじゃないか!」
「じゃあ揶揄うなよ!」
「揶揄ってなんかないだろ! 好きな人のかっこいい顔に見惚れるくらい自由じゃんか!」
「……お前」
完璧絶句した灰咲さんは、ハアッと大きなため息を吐いた。
そしてノソリと立ち上がる。
「……仕事してくる。入るんじゃないぞ」
「はあい」
ヤレヤレとぼやきながら、灰咲さんは頭を掻きつつアトリエへと入って行った。
……耳、真っ赤だったな。
二時間くらいしたらお茶に呼んでやろう。
あの、スノーボールを作って。
― 了 ―
バイトもちゃんと続いている。
今までは簡単な料理……と言えるかどうかという代物だけを担当してたんだけど、最近では栗谷さんのメニュー作りにも参加させてもらえるようになった。
だけど、生活の中で明らかに変わったことが一つだけあった。
それは、灰咲さんの姿だ。
今までは昼夜を問わず場所を選ばずサングラスを始終かけていたけど、家の中だけでは外してくれるようになった。
それが凄く嬉しくて、時折ジッと灰咲さんの素顔を拝み堪能している。
「……なんだよ」
「別に?」
今もまた、見惚れて灰咲さんの姿を目で追い続けていたら、それに気づいた灰咲さんが眉根を寄せて威嚇した。
ちっとも怖くないけどね。
「じゃあ何見てんだ」
「……えっと、恋人の……顔?」
「――――」
あ、赤くなった。
俺がニヤニヤして見ていると、灰咲さんはちょっとムッとした顔をしてローボードの引き出しを開けようとした。
「ちょっと、灰咲さん! ダメだろ、それ!」
「なにがだ。お前最近生意気だぞ」
灰咲さんが取り出そうとしていたのは、以前に体の一部と化していたサングラスだ。
「だって! 俺には素を晒してもいいからって、サングラス外してくれたんじゃないか!」
「じゃあ揶揄うなよ!」
「揶揄ってなんかないだろ! 好きな人のかっこいい顔に見惚れるくらい自由じゃんか!」
「……お前」
完璧絶句した灰咲さんは、ハアッと大きなため息を吐いた。
そしてノソリと立ち上がる。
「……仕事してくる。入るんじゃないぞ」
「はあい」
ヤレヤレとぼやきながら、灰咲さんは頭を掻きつつアトリエへと入って行った。
……耳、真っ赤だったな。
二時間くらいしたらお茶に呼んでやろう。
あの、スノーボールを作って。
― 了 ―
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みんなの感想(2件)
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灰咲さんかっこよすぎます…😜
更新待ってまっす‼
わ~、ありがとうございます。
灰咲も照れております笑
主人公がとても可愛いです!!これからも連載頑張ってください!!
感想ありがとうございます~。
目標は毎日更新なんですけど、なかなかですね。
尚哉たちも、これからのんびり距離を縮めていく予定ですので楽しんでいただけると嬉しいです♪