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外伝 リュークとエリザヴェータ

誰の手に

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「リューク君、すまないが荷物を出し終えたらもう一度収納してほしい物があるんだ。そして運んでほしい場所があるんだよ。」

 帝都の店以外にもあるんだよね、荷物の受け渡しって。
 そう言われロニーさんが指定したのは、後から収納した木箱でした。
 そう言えば木箱の荷物って中身刃だろう何だろう?今まで運んだ荷物の中身は確かめた事もないけれど、ロニーさんは信用できる人だし変な物は入っていないよね?
「ああ、この荷物が気になるのだろう?」
 顔に出ちゃっていたかな?
「その、すいません。」
「別に謝る必要はないさ。これはね、インダルチャンス王国から届いた逸品でね、かの国には名匠がいるんだよ。まあ物自体はある程度の腕があればなんとかなるのだが、意匠がねえ。どうやらこればかりはスキルではなく、センスがモノを言うようでね。そういう訳で残念ながらセアリアス帝国にはこのようなデザインを施す事ができる人物が居ないのだよ。だから輸入するしかなくってね。」
 そう言いつつ箱を開けてくれるロニーさん。いいのかな?
 ロニーさんは箱の中から大事そうに小さな物を取り出してくれました。
 どうやら置時計のようです。
 からくり時計?
 しかし・・・・僕にも分かります。
 時計自体はたぶんセアリアス帝国でもできると思われる造りだと思う。
 だけどその、全体的な見た目がとっても繊細なんです。
 僕にはとてもまねができそうにないや。

「これは城へ届ける荷物なんだよ。」
 し、城・・・・
「これはその、誰の手に渡るのでしょう?」
「うーん、どうなんだろう。特に個人の誰かが所持するような事は聞いていないね。何処かの部屋に置く為、という事で依頼を受けているからね。」
 流石に個人所有とはならないんだね。
「ではこれって物凄く貴重で、値段もびっくりするぐらい高かったりするんですか?」
「ははは・・・・リューク君が居なければまだアフェールに置きっぱなしだっただろうね。収納かばんが無ければ恐らく旅の途中で破損してしまうからね。いくら箱の中で揺れ対策はしてあるとはいえ、馬車の揺れは結構激しいからね。」
 はぐらかされちゃいました。
 きっととんでもなく高い品物なんだろうな。
「成程。これは確かに少しの衝撃で、例えばここなんて簡単に折れそうですね。じゃあその、やっぱり僕も一緒に荷物を届ける事になるのでしょうか?」
「すまないねリューク君。但し君の安全は私が保証するよ。女性の騎士に突然切られる、などという事にはならないからね。」
 あれは今でも怖いんです。
 今まで普通?に接していくれていたロゼさんが突然豹変して僕を切りつけてきた出来事。
 そしてよくわからないまま僕は黒い靄・・・・そうだ!あのもやってあれから発生していないんだけど、あれは僕のスキルなのかな?あれのお陰で辛うじて脱出できたんだっけ。
 自身の危機にしか出現しないのかな?

 こうして僕はロニーさんとお城へ向かう事になったんだ。
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