2 / 129
花に嵐
気分は宇宙人のアレ。
しおりを挟む
「聞いてねぇ! つーか、母さん、ここんとこ全然、家帰ってきてねぇじゃん!!」
「あー そういえば帰国してからずっと彰一郎さんトコいたかも」
俺の母さんは、海外ブランドの服のバイヤーをしてて、しょっちゅう家を空けている。小さいころに主夫だった父親が亡くなって、それから今日まで俺がグレずにこんなに真っ当に成長できたのは、偏(ひとえ)に三軒隣に面倒見のいい幼馴染の一家があったおかげだ。
買い付けだのショーだのって、一週間くらい帰ってこないことなんかザラで気にも留めてなかったけど、さすがにこれはひどくねぇ? 息子ほっぽらかして何してんですかお母様……
「言い忘れていたなんて真唯子(まいこ)さんらしいなぁ」
今さっき、俺の義父になると紹介された彰一郎さんが笑っている。
こんな重要なこと一人息子に言い忘れるって自体を『らしさ』で笑い飛ばすとか、確かにこの人、母さんに似合うかも。
ガックリしている俺の頭を、誰かのでっかい手が撫でた。顔を上げたらえーっと。こっちのほうは、藤也、さん?
「だから学生服なのか。さすがにここでこの格好はちょっとかわいそうかな。まだ食事までに時間がありますよね? ここのブティックに合うサイズがあるといいけど」
へ?
「そうですね。荷物もクロークに預けましょう。そのバラも、預けておきますよ」
「あら、ありがとう! もうねぇ 全然帰ってこないからこの子ったら」
「聞いてねぇんだから仕方ないだろ。俺だって聞いてたら放課後遊んでないで帰ったし」
ちゃっかりバラを渡しながら、母さんが自分が悪いなんてこれっぽっちも考えてない笑顔で、俺もついでに双子に引き渡す。あなたのそういうとこ、受け継ぎたかったよ、俺。
「それじゃあ行きましょうか、真琴君」
バラ片手、そしてさりげなく俺の荷物まで持って、こっちはえーっと。柊也さんだ。
「あ、ハイ!」
そして俺は、同じ男なのに頭一個分ほどでかい二人に挟まれて、ホテルの中にあるブティックへ引っ張り込まれた。気分はあれだ。宇宙人のアレ。
「あー そういえば帰国してからずっと彰一郎さんトコいたかも」
俺の母さんは、海外ブランドの服のバイヤーをしてて、しょっちゅう家を空けている。小さいころに主夫だった父親が亡くなって、それから今日まで俺がグレずにこんなに真っ当に成長できたのは、偏(ひとえ)に三軒隣に面倒見のいい幼馴染の一家があったおかげだ。
買い付けだのショーだのって、一週間くらい帰ってこないことなんかザラで気にも留めてなかったけど、さすがにこれはひどくねぇ? 息子ほっぽらかして何してんですかお母様……
「言い忘れていたなんて真唯子(まいこ)さんらしいなぁ」
今さっき、俺の義父になると紹介された彰一郎さんが笑っている。
こんな重要なこと一人息子に言い忘れるって自体を『らしさ』で笑い飛ばすとか、確かにこの人、母さんに似合うかも。
ガックリしている俺の頭を、誰かのでっかい手が撫でた。顔を上げたらえーっと。こっちのほうは、藤也、さん?
「だから学生服なのか。さすがにここでこの格好はちょっとかわいそうかな。まだ食事までに時間がありますよね? ここのブティックに合うサイズがあるといいけど」
へ?
「そうですね。荷物もクロークに預けましょう。そのバラも、預けておきますよ」
「あら、ありがとう! もうねぇ 全然帰ってこないからこの子ったら」
「聞いてねぇんだから仕方ないだろ。俺だって聞いてたら放課後遊んでないで帰ったし」
ちゃっかりバラを渡しながら、母さんが自分が悪いなんてこれっぽっちも考えてない笑顔で、俺もついでに双子に引き渡す。あなたのそういうとこ、受け継ぎたかったよ、俺。
「それじゃあ行きましょうか、真琴君」
バラ片手、そしてさりげなく俺の荷物まで持って、こっちはえーっと。柊也さんだ。
「あ、ハイ!」
そして俺は、同じ男なのに頭一個分ほどでかい二人に挟まれて、ホテルの中にあるブティックへ引っ張り込まれた。気分はあれだ。宇宙人のアレ。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる