あい らぶ? こめ。

神室さち

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雀の上の鷹、鼠の上の猫

どうなってるかわかんないけど、わかんないままいたい。




 ホテルからの帰り、車の中で寝ちゃって、藤也のマンションにそのまま運ばれちゃった俺だけど、そっから先がもうなんて言うか。何とも言いたくないと言うか。


 ほんとにほんとにッ


 ある意味、色んな意味で、色々、熱が引かない日々が続いたと言うか。

 それもこれも、あの忌々しい尻尾のせいだ!

 尻尾だよ尻尾。なんか、双子で楽しそうに言ってた尻尾。ホントにその日の夕方届いたよ。クロネコセット。運んできたのもその業者だったら笑えるけど、さすがにそこまでは知らない。

 誰かが帰ってきた気配に、起きなくちゃって思いながら、うつらうつらしてたら、柊也がこれまで聞いたことないくらい嬉しそうな声で俺の名前呼びながらやってきた。

 何とか目を開けたけど、なんか、ぼーっとした感じが抜けなくて、生返事返してたら、おでこにでっかい手。鼻先くらいまで被われちゃうくらいに。

「少し熱がありますか?」

 聞かれて、そうかも……とか思ったけど、俺、もともと体温が高い方だし、ホントに健康優良児で、熱とかあんまり出したことないから、イマイチよくわかんなかった。


 結局、柊也がどこからか出してきた体温計、脇に挟んで測ってみたら三十七.二度。


 うん、微妙。俺、平熱で三十六度台後半。なんで自分の体温を把握してるかって言うと、水泳部、泳ぐ前に毎日絶対検温して記録しないといけないから。

 でも、どうもしゃっきりしない俺を見て、柊也が今度はパックに入ったゼリー状の栄養補助食品と、白い錠剤もってきたから、ゼリー一気飲みして薬も飲んだ。

 あれだよな、薬飲んだら、そんなすぐ効かないってわかってるのに、飲んだってことだけでなんとなく体調がよくなるから不思議。

 一連の動作のおかげか、かなりしゃっきりした俺に、ほっとしたと言うより、なんか、自己都合で良かった良かったって言ってから、柊也が出してきたのが。




 尻尾セット。




 しかも、頼んでもいないのに、説明し始めやがった。

「いらないッ 説明いらないッ!!」

 この時、俺はソレらの凶悪さをコレッぽっちも把握してなかったんだけど、柊也の様子で十分ソレが危険物だってことは認識できたから、ゼリーで潤った喉で力いっぱい叫んで拒否した。

 空になったゼリーの袋を持ったままベッドの上で逃げをうつ俺を、柊也は易々つかまえてしまった。

「そうですか。説明はいらない、と? では、説明なしでつけてあげましょう」

 超笑顔。超怖い笑顔。焦点が辛うじて合うくらい近くで、柊也の満面の笑顔。そんだけで、降参。お願いします説明してくださいって言っちゃったよ。

 ソレ自体いらないって意味だったことくらい、柊也だってわかってただろうけど、そういう逃げ道を与えるヤツではない。

 まず取り出されたのは、ネコ耳カチューシャはピン耳モードとたれ耳モードの二種類。

「今の真琴にならたれ耳ですね」

 え。説明するだけじゃないの!? つけるの結局!? とか思ってる間に、頭にパコっとつけられた。若干位置修正後、なんだかそれでも納得いかないような顔で柊也が首を曲げている。

「柊也、どんだけ買いこんだんだよ、うちあての荷物がマンションの宅配ボックス占領してたんですけどー」

 そこに、なんかもう、のんきそうな藤也の声。

 一緒に、両手で大小いろんなサイズの箱を抱えた藤也が足でドアを蹴り開けて寝室に入ってきた。

「うわ、お前フライング!! 何一人そんな楽しそうなことしてんの!?」

 文字通り物理的に荷物放り出して、瞬間移動かってくらいの速さでやってきて、すぱっとネコ耳を外して、もともと長めなのに(男らしく短くすっきり刈ったりする髪型が全然似合わないからしかたないんだ)夏休みだから散髪サボってさらに伸びていた髪をわさわさっと前に流して、つけ直し。

「これは絶対、ヒト耳出てないほうが正解」

「ああなるほど、違和感はそこでしたか」

 なに!? なんなの!? どうなってるかわかんないけど、わかんないままいたい。


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