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後の祭り
ぴっかぴかにして……どーする……
しおりを挟む水音?
雨音……とは違う、水の流れる音。
「んっ……ふぇ?」
耳に届く音に覚醒しかけてた意識が、ピリリとした軽い痛みに、ぐんっと引っ張りあげられた。
ん。まぶしい。
「おや? 目が覚めましたか」
んー?
明るい周囲に、パチパチと瞬いて、見覚えのある空間を認識する。
お風呂だ。
これまで何回か、いっそいい思い出のない場所。
「ん。な、に?」
身じろぎしようにも、体が……関節がぎしぎしして、痛い。そんなに痛みを感じなかったのは、なんというか、がっちり、抱え込まれてたせいなんだけど。
浴槽の縁に座った柊也の膝の上だ。しかも、恰好が、その。
「……って! ナニ撮ってんの!?」
ちっちゃい子が、おしっこさせられるような恰好……で、柊也にひざ裏を持たれてる俺の前。
胡坐をかくように床に直に座ってる藤也の右手には、薄ピンクのラバーみたいな防水カバーにくるまた、手にすっぽり入る、握りこむような形のビデオカメラだ。レンズの横が赤く光ってるから、ばっちりREC中。
「いやぁ やっぱり、スマホよりちゃんとした高画質カメラが微細なとこまでバッチリ映るし、防水カバーもいいのがあるし、定点カメラよりこうやって撮ったほうがいい画が撮れるよねって結論に至ってだな」
「撮ッ!! そんなトコ撮るなバカ!!」
今まで寝てたせいか、手は何の拘束もされてなくて、自由に動いたから、とりあえず、カメラが狙ってる全開の場所を隠す。
「今更隠してももうナカまでばっちり撮らせて頂きましたから、そこは」
グイッと、ひざ裏を抱え直されて、その分だけお尻が柊也の膝の上を滑り、カメラの前に差し出される。
なっ な。中までッ!?
「ふふふ。夢うつつで素直にあんあん言っちゃうマコもかわいいけど、こうやって恥ずかしがるトコもイイよなぁ 隠しきれないチラリズムとか」
滑らかな動作で、ゆっくりと藤也が立ち上がる。藤也も服なんか着てないし、隠しもしてない。隠す必要性を感じてない、何とも自然な立ち方……見栄えいいですからねー そりゃぁねー 別に晒しても恥ずかしくないですよねー……
「手振れ補正すげぇな」
当然、カメラも上に。もう何といえばいいのかわからないまま見上げてる俺を、俯瞰するみたいに上の方に構えて、またゆっくり、下へ。
「それよりさ、コレ、気にならねぇの?」
床にお尻をつけて座り込まず……ヤンキー座りの格好でしゃがみこんで、藤也がくいっと何かを引っ張った。
「んひゃっ!」
襞を外向きに動かされ、ナカの一回り太いところが、こりっと連動する。
目を開けた時より、お尻がずっているので、下を向けば状況はわかる。
「なっ に、突っ込……」
「シャワーホース。大丈夫、ヘッドは外してるから」
あっ 当たり前だッ!ここのシャワーヘッド、水の出るとこでっかいだろ。絶対直径十センチ近くあるだろッ!!
そんなの入るわけねぇよ!!
前を押さえてる手があるから、入ってる部分は見えなくても、お尻からグレーがかったシャワーのホースが伸びているのは見える。そんでもって、覚醒の前に聞こえた水音は……ここから出てたものだったのか!!
「やっ なに、抜いてッ!!」
少し手を伸ばしたら届きそうで、身をかがめようとしたら、柊也の手が伸びてきて阻止された。ちなみにひざ裏は腕と言うか、肘くらいの場所でがっちりホールドされていて、そっちも動かない。
「だめー ちゃんと洗っとかないとあとが困るのはマコだからな」
「汚した場所の掃除は、汚した人間がするものですしね」
「そうそう。母さんがよく言ってたよな『掃除は使う前より美しくしてこそ掃除なのよ』って」
「藤也も覚えていましたか。そんなわけで、誠心誠意、奥まできれいにしましょうね?」」
「おう。ピッカピカにな!」
そ。
そんなとこ。
ぴっかぴかにして……どーする……
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