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12.睨まないで
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「アイロス、エミリーは女性なんだからもう少し優しく接してあげて」
苦笑を浮かべるザシャに同意する様に、私は首を縦に振った。
「……わかりました」
アイロスは静かに答えると、私の方に視線を寄せてギロリと睨んで来た。
私は思わずビクッと体を震わせてしまう。
(ひぃ、そんなに睨まないで欲しいわ! 何もしてないのに……!)
私はムッとしながらアイロスを睨みつけた。
向こうが睨んで来るんだから、私が睨んだって問題ないはずだろう。
「あ、あのっ!」
「エミリー、どうした?」
「私、本当にこの人と一緒じゃないとダメですか?」
「え?」
「私はザシャ様の婚約者候補になったんですよね? それならばザシャ様の傍にいたいです! その方が効果的じゃないですか? 私達が仲良いフリをしていたら、上手く誤解してもらえるかも」
私は懇願するような瞳でザシャを見つめていた。
アイロスはいつでも私の事を睨んできて怖いし、一日中こんな調子で付き纏われるのは正直苦痛以外の何物でもない。
だったら優しいザシャの傍にいたいと思ってしまうのは当然の事だと思う。
「おい、お前な。いい加減に……」
「たしかに、エミリーは私の婚約者候補になったんだからそうしても問題は無いな」
「ザシャ様、一々こいつの意見なんて聞く必要はありませんよ」
「アイロス、彼女は私の大事な婚約者候補の一人だ。『こいつ』とか『お前』なんて呼び方じゃなく、ちゃんと名前で呼んであげて欲しい」
アイロスの態度に、ザシャは困った様に答えた。
「エミリー、すまないね。アイロスは、エミリーに対してだけこんな態度を取っているわけじゃないんだ。だから決してエミリーを嫌っているわけでは無い。とりあえず今日は私の部屋に来てくれて構わないよ。エミリーには他にも少し話しておきたい事もあるからね。エミリーがそれで構わないならだけど」
「是非、それでお願いしますっ!」
アイロスから離れられると思うと心がほっとした。
「アイロス、そう言う事だから今日はもう下がっていい」
「……はい」
ザシャにそう言われると、アイロスは不満そうな顔を見せるが部屋から出て行った。
アイロスが部屋から出て行く事で、再びザシャと二人きりになった。
「エミリー、嫌な思いをさせてしまったかな? ごめんね。アイロスは私の従兄弟なんだ、幼い頃からアイロスとは何かと気が合ってね。今は私の側近として助けてもらっている。良く知っている相手だからこそ信頼を置いているんだ。不愛想なのは昔からなんだよ。だから悪意を持ってやっているわけじゃないって事だけは覚えておいて欲しいかな」
「そう、だったんですね」
後から知った事になるが、ザシャもアイロスも今年で22歳になるという。
年齢が同じと言う事もあり、親しみやすかったのだろう。
ザシャの話を聞いて、私が嫌われていないと分かり少しほっとした。
これから半年間、アイロスの傍で過ごすことになるのだから、少しでも友好的に接したいと思った。
「とりあえず、今日は私の部屋で過ごしてもらう事になるから部屋まで案内するよ。エミリーも今日は朝から色々と大変だったんじゃないか? 少しゆっくりしたいよな」
「はい。さっきはアイロス様が怖くてつい勢いで言ってしまったんですが、本当に私はザシャ様の部屋に行って平気なんですか?」
私が心配そうな顔で聞くと、ザシャは小さく笑って「問題無いよ」と答えた。
「だけど、エミリーは良かったの?」
「私としては助かりました」
「そういう事じゃなくて、私と同じ部屋って事は一晩一緒に過ごす事になるけど」
「……一晩? 私なら大丈夫で……、っ……!!」
私はその意味に気付くと顔が見る見るうちに赤く染まっていく。
「ふふっ、可愛い反応だな。顔が真っ赤だけど、想像したの?」
「ちっ、違います! だって私達は……」
「そうだな。私達は契約上の繋がりだ。エミリーがどんな反応するのか気になって、少し意地悪な事を言ってみたけど予想以上に良い反応だったな」
「酷いですっ! 騙すなんて」
私がむっと恨めしそうにザシャを睨むと、ザシャは「ごめんね」と楽しそうに謝って来た。
(ザシャさんって結構意地悪なのかな)
「今のって冗談ですよね?」
「ふふ、どうだろうね」
私が心配そうに再確認しようとすると、笑って誤魔化されてしまった。
やっぱりザシャは意地悪な人で間違いなさそうだ。
完全に私の事をからかっている。
「さて、部屋に案内するよ。エミリー、荷物は何処かに置いて来たよね? 後で教えてくれれば誰かに取りに行かせるから、取り合えず行こうか」
「はいっ」
ザシャがソファーから立ち上がったので、私も追うように立ち上がり扉の方へと向かった。
苦笑を浮かべるザシャに同意する様に、私は首を縦に振った。
「……わかりました」
アイロスは静かに答えると、私の方に視線を寄せてギロリと睨んで来た。
私は思わずビクッと体を震わせてしまう。
(ひぃ、そんなに睨まないで欲しいわ! 何もしてないのに……!)
私はムッとしながらアイロスを睨みつけた。
向こうが睨んで来るんだから、私が睨んだって問題ないはずだろう。
「あ、あのっ!」
「エミリー、どうした?」
「私、本当にこの人と一緒じゃないとダメですか?」
「え?」
「私はザシャ様の婚約者候補になったんですよね? それならばザシャ様の傍にいたいです! その方が効果的じゃないですか? 私達が仲良いフリをしていたら、上手く誤解してもらえるかも」
私は懇願するような瞳でザシャを見つめていた。
アイロスはいつでも私の事を睨んできて怖いし、一日中こんな調子で付き纏われるのは正直苦痛以外の何物でもない。
だったら優しいザシャの傍にいたいと思ってしまうのは当然の事だと思う。
「おい、お前な。いい加減に……」
「たしかに、エミリーは私の婚約者候補になったんだからそうしても問題は無いな」
「ザシャ様、一々こいつの意見なんて聞く必要はありませんよ」
「アイロス、彼女は私の大事な婚約者候補の一人だ。『こいつ』とか『お前』なんて呼び方じゃなく、ちゃんと名前で呼んであげて欲しい」
アイロスの態度に、ザシャは困った様に答えた。
「エミリー、すまないね。アイロスは、エミリーに対してだけこんな態度を取っているわけじゃないんだ。だから決してエミリーを嫌っているわけでは無い。とりあえず今日は私の部屋に来てくれて構わないよ。エミリーには他にも少し話しておきたい事もあるからね。エミリーがそれで構わないならだけど」
「是非、それでお願いしますっ!」
アイロスから離れられると思うと心がほっとした。
「アイロス、そう言う事だから今日はもう下がっていい」
「……はい」
ザシャにそう言われると、アイロスは不満そうな顔を見せるが部屋から出て行った。
アイロスが部屋から出て行く事で、再びザシャと二人きりになった。
「エミリー、嫌な思いをさせてしまったかな? ごめんね。アイロスは私の従兄弟なんだ、幼い頃からアイロスとは何かと気が合ってね。今は私の側近として助けてもらっている。良く知っている相手だからこそ信頼を置いているんだ。不愛想なのは昔からなんだよ。だから悪意を持ってやっているわけじゃないって事だけは覚えておいて欲しいかな」
「そう、だったんですね」
後から知った事になるが、ザシャもアイロスも今年で22歳になるという。
年齢が同じと言う事もあり、親しみやすかったのだろう。
ザシャの話を聞いて、私が嫌われていないと分かり少しほっとした。
これから半年間、アイロスの傍で過ごすことになるのだから、少しでも友好的に接したいと思った。
「とりあえず、今日は私の部屋で過ごしてもらう事になるから部屋まで案内するよ。エミリーも今日は朝から色々と大変だったんじゃないか? 少しゆっくりしたいよな」
「はい。さっきはアイロス様が怖くてつい勢いで言ってしまったんですが、本当に私はザシャ様の部屋に行って平気なんですか?」
私が心配そうな顔で聞くと、ザシャは小さく笑って「問題無いよ」と答えた。
「だけど、エミリーは良かったの?」
「私としては助かりました」
「そういう事じゃなくて、私と同じ部屋って事は一晩一緒に過ごす事になるけど」
「……一晩? 私なら大丈夫で……、っ……!!」
私はその意味に気付くと顔が見る見るうちに赤く染まっていく。
「ふふっ、可愛い反応だな。顔が真っ赤だけど、想像したの?」
「ちっ、違います! だって私達は……」
「そうだな。私達は契約上の繋がりだ。エミリーがどんな反応するのか気になって、少し意地悪な事を言ってみたけど予想以上に良い反応だったな」
「酷いですっ! 騙すなんて」
私がむっと恨めしそうにザシャを睨むと、ザシャは「ごめんね」と楽しそうに謝って来た。
(ザシャさんって結構意地悪なのかな)
「今のって冗談ですよね?」
「ふふ、どうだろうね」
私が心配そうに再確認しようとすると、笑って誤魔化されてしまった。
やっぱりザシャは意地悪な人で間違いなさそうだ。
完全に私の事をからかっている。
「さて、部屋に案内するよ。エミリー、荷物は何処かに置いて来たよね? 後で教えてくれれば誰かに取りに行かせるから、取り合えず行こうか」
「はいっ」
ザシャがソファーから立ち上がったので、私も追うように立ち上がり扉の方へと向かった。
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