婚約者が好きなのは妹だと告げたら、王子が本気で迫ってきて逃げられなくなりました

Rila

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26.僕の婚約者①-sideルシアノ-

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 僕の名前はルシアノ・ツェルナー、侯爵家の長男として生まれ、何一つ不自由のない環境で育てられた。
 侯爵家の嫡男として生まれたからには、それなりに厳しい教育を受けさせられた。
 だけどそれは幼い頃から当然の事の様に聞かされ続けた所為もあり、そういうものなのだと割り切って考えていた為、然程気にした事は無かった。

 そして結婚についても自分の意思で相手を選べない事は重々承知だった。
 僕はツェルナー家の後継者になる人間だったから、相手もそれにふさわしくなくてはならない。
 そこで最初に候補に挙がったのがアリーだった。

 父上は何人か候補者を決めていて、順番に僕に会わせていく予定だった様だ。
 僕にも少なからず選択肢を与えてくれることには感謝した。
 しかし、僕は初めてアリーに会った瞬間、彼女に一目惚れした。
 その為、他の候補者と会うことなく、アリーが僕の候補者へと決まる事となった。

 昔のアリーは割と人見知りをする様な人間だった。
 いつも父親の後ろに隠れていて、そこから顔を覗かせてはムッとした顔を向けて来る。
 それが僕には妙に可愛らしく見えた。
 睨まれても全然怖さを感じなかったし、何より可愛い生き物に睨まれても結局は可愛いだけだ。


「アリー、隠れていないでちゃんと挨拶しなさい」
「……っ、……ア、アリーセ・プラームです。よ、よろしく……」

 父親にそう言われると、アリーセは戸惑った顔を浮かべながら渋々隠れるのを止めて前に出て来た。
 挨拶はしていたものの、その声からは緊張しているのがはっきりと伝わって来て、僕の方までドキドキしてしまったくらいだ。

「僕は、ルシアノ・ツェルナーです。よろしくね、アリーセ嬢」
「……っ……」

 僕はにっこりと微笑み挨拶を返した。
 彼女はそんな僕を見て未だに戸惑ったように視線を泳がせている。

 その日彼女の声を聞いたのは、その一度切りだけだった。
 会話は殆どしなかったけど、僕が何度かニコニコしながら視線を向けると、アリーは驚いた顔をして顔を染めた後、慌てるようにして視線を逸らしていく。
 それが面白くて、アリーには悪いけど何度か試して僕なりに楽しんでいた。

 それから彼女との婚約が決まり、アリーと会う回数も徐々に増えていく。
 最初は殆ど会話も出来ない状態だったが、2回、3回と会っていくうちに僕に話をしてくれるようになっていった。

 アリーは努力家であり、負けず嫌いな性格だ。
 だけど僕が勉強を教えてあげると言えば嬉しそうな顔を見せる。
 そんなアリーに僕はますます惹かれていった。

 アリーには双子の妹がいて、僕と出会う数か月前に不慮の事故に遭い亡くなってしまった、という事実を聞かされていた。
 そのことにショックを受けた伯爵夫人は精神病を患い、部屋に閉じ籠り気味になっているという話も。
 アリーはそんな母親を気に病み、幼くして命を落としてしまった妹の分まで生きて少しでも母親を安心させてあげたいと思っている様子だった。
 まだアリーだって小さい子供で甘えたい年頃なのにも関わらず、そんな事を言う健気な姿を見て『絶対に僕がアリーを幸せにする!』と誓った瞬間でもあった。
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