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27.僕の婚約者②-sideルシアノ-
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僕とアリーが婚約してから2年後のこと――。
アリーに妹が出来た。
それは血を分けた妹では無く、養子として伯爵家に入って来た子供だった。
年齢はアリーより一つ年下であり、似ている箇所と言えば髪色だけだろうか。
名はニコルと言うそうだ。
アリーと出会うより前に本当の妹は命を落としてしまった為、僕はその姿を写真でしか見たことが無い。
そして最終的にニコルを選んだのは夫人とのこと。
何か他にも感じる所があったのかもしれないが、それは夫人にしか分からない事だろう。
アリーはアリーで新しく出来た妹との付き合い方に悪戦苦闘している様子だった。
ニコルは愛想が良く、やたらとアリーに話しかけて来るそうだ。
僕も以前体験したから分かるけど、アリーは初対面の人間に対しては人見知りをするタイプだ。
だから無邪気に話しかけて来るニコルに対して、困惑するアリーの姿は容易に想像出来る。
しかもニコルは孤児院育ちだった為、貴族の生活もマナーも全く知らない様な子供だ。
それも相まってアリーは動揺しているのだろう。
「ルシ、どうしよう……」
「どうしたの?」
今は僕の屋敷内にある庭園にて、アリーと二人だけでお茶を楽しんでいた。
外は雲一つない晴天なのだが、アリーの表情はそれに合わない程暗かった。
「私、ニコルと上手くやっていく自信ないかも……」
「え?」
「あの子、いきなり私に抱き着いて来るし、自分の部屋だって用意されているのに一緒に寝ようとか言い出すのよ?しかも、いつも私の事をじっと見ていて……なんだか怖いの」
アリーは泣きそうな顔で訴えて来た。
その姿を見れば本気で悩んでる事は一目瞭然だった。
「行動的な子なんだね。だけど、不愛想にされていないだけ良いんじゃない? 話を聞いている限り、好意を持たれている様に感じるけど」
「うっ…、それはそうなんだけど……」
僕の言葉を聞いてアリーは言葉に詰まっている様子だった。
ニコルとどう接していけばいいのか、きっとアリーなりに一生懸命悩んでいるのだろう。
突然妹が出来たのだから戸惑うのは当然な事だと思うし、想定外のタイプだったのなら尚のこと。
「最初から上手くやろうとしなくても良いんじゃないかな?」
「え…?」
「アリーの事だから、全て上手くやらなきゃって考え過ぎだったりしない? アリーはニコルに抱き着かれるのは嫌?」
「嫌って言うか、びっくりする……。心臓に良くないっ!」
「ふふっ、じゃあ一緒に寝るのは?」
「……まだ会ってから少ししか経ってないし、もう少し仲良くなってからがいい」
「そっか。ニコルにもそう素直に伝えてみたらどうかな?アリーの事だから、きっと何も言わずに逃げてしまってない?」
「……っ……」
「図星かな。アリーのことをじっと見ているって言うのも、アリーの様にどう接していいのかを必死になって考えているからじゃない? アリーが戸惑っているのと同じだと思うよ。いや、それ以上かもしれないね」
「それ以上? どういうこと?」
「ある日突然、生活が180度変わってしまったんだ。そして周りには相談出来る仲の良い友人もいない。新しい家族が出来たとは言っても、最初から皆が皆優しく接してくれるとは限らない。それにもし嫌われてしまったら……、と思っている可能性もあるかもしれないよね。顔には出さないだけで、ね。アリーにやたらと話しかけて来るのも、近づいて来るのも、仲良くして欲しいという気持ちの表れなんじゃないかな。だからアリーが嫌でないのなら、少しづつでも歩み寄ってあげたら良い様に動いて行くんじゃない?」
「……たしかに、そうかも。ニコルの方が変わった事が多い……」
アリーは僕の話に耳を傾け、納得した様に小さく呟いた。
昔からアリーは僕の話を素直に受け入れてくれる。
もちろんアリー自身が納得した事のみだが、そういう素直な所も僕は好きだった。
「私、ニコルとちゃんと話してみる。最初は少ししか話せないかもしれないけどっ」
「そうだね、少しずつでいい。アリーの気持ち伝わるといいね」
「うんっ!」
アリーは笑顔を見せた。
先程までの暗かった表情はもうどこかへと消え去っていた。
その笑顔を見て、僕も笑顔になった。
その後はいつもの様に楽しいお茶会へとなった。
***
そしてそれから三ヶ月後、アリーはニコルを連れて僕の屋敷へとやって来た。
ニコルの第一印象は特に目立つ点は無く、普通の令嬢の様にしか見えなかった。
だけど以前からアリーにニコルの話を色々聞かされていた為、会ってみたいと言う気持ちはずっと持っていたので、会う事が出来たことは嬉しかった。
「ルシ、今日はニコルを連れて来たのっ」
「はじめまして、良く来てくれたね。僕はアリーの婚約者のルシアノ・ツェルナー、よろしくね」
「よ、よろしくお願いしますっ……! あ、ニコルです、……じゃなくてニコル・プラームですっ!」
僕が笑顔を向けると、慌てた様子で挨拶を返して来た。
不格好だったがカーテシーもしてくれた。
それがニコルとの出会いだった。
これから先僕はアリーだけを見て、アリーだけを思い、アリーさえ傍にいてくれたら良いと思っていた。
ニコルの事を助言したのも、アリーが悩んでいたから力になりたくてそう言っただけだった。
僕が好きなのはアリーだけだ。
そうだったはずなのに。
ニコルとあんな関係になるなんて、この時の僕は夢にも思ってはいなかった。
アリーに妹が出来た。
それは血を分けた妹では無く、養子として伯爵家に入って来た子供だった。
年齢はアリーより一つ年下であり、似ている箇所と言えば髪色だけだろうか。
名はニコルと言うそうだ。
アリーと出会うより前に本当の妹は命を落としてしまった為、僕はその姿を写真でしか見たことが無い。
そして最終的にニコルを選んだのは夫人とのこと。
何か他にも感じる所があったのかもしれないが、それは夫人にしか分からない事だろう。
アリーはアリーで新しく出来た妹との付き合い方に悪戦苦闘している様子だった。
ニコルは愛想が良く、やたらとアリーに話しかけて来るそうだ。
僕も以前体験したから分かるけど、アリーは初対面の人間に対しては人見知りをするタイプだ。
だから無邪気に話しかけて来るニコルに対して、困惑するアリーの姿は容易に想像出来る。
しかもニコルは孤児院育ちだった為、貴族の生活もマナーも全く知らない様な子供だ。
それも相まってアリーは動揺しているのだろう。
「ルシ、どうしよう……」
「どうしたの?」
今は僕の屋敷内にある庭園にて、アリーと二人だけでお茶を楽しんでいた。
外は雲一つない晴天なのだが、アリーの表情はそれに合わない程暗かった。
「私、ニコルと上手くやっていく自信ないかも……」
「え?」
「あの子、いきなり私に抱き着いて来るし、自分の部屋だって用意されているのに一緒に寝ようとか言い出すのよ?しかも、いつも私の事をじっと見ていて……なんだか怖いの」
アリーは泣きそうな顔で訴えて来た。
その姿を見れば本気で悩んでる事は一目瞭然だった。
「行動的な子なんだね。だけど、不愛想にされていないだけ良いんじゃない? 話を聞いている限り、好意を持たれている様に感じるけど」
「うっ…、それはそうなんだけど……」
僕の言葉を聞いてアリーは言葉に詰まっている様子だった。
ニコルとどう接していけばいいのか、きっとアリーなりに一生懸命悩んでいるのだろう。
突然妹が出来たのだから戸惑うのは当然な事だと思うし、想定外のタイプだったのなら尚のこと。
「最初から上手くやろうとしなくても良いんじゃないかな?」
「え…?」
「アリーの事だから、全て上手くやらなきゃって考え過ぎだったりしない? アリーはニコルに抱き着かれるのは嫌?」
「嫌って言うか、びっくりする……。心臓に良くないっ!」
「ふふっ、じゃあ一緒に寝るのは?」
「……まだ会ってから少ししか経ってないし、もう少し仲良くなってからがいい」
「そっか。ニコルにもそう素直に伝えてみたらどうかな?アリーの事だから、きっと何も言わずに逃げてしまってない?」
「……っ……」
「図星かな。アリーのことをじっと見ているって言うのも、アリーの様にどう接していいのかを必死になって考えているからじゃない? アリーが戸惑っているのと同じだと思うよ。いや、それ以上かもしれないね」
「それ以上? どういうこと?」
「ある日突然、生活が180度変わってしまったんだ。そして周りには相談出来る仲の良い友人もいない。新しい家族が出来たとは言っても、最初から皆が皆優しく接してくれるとは限らない。それにもし嫌われてしまったら……、と思っている可能性もあるかもしれないよね。顔には出さないだけで、ね。アリーにやたらと話しかけて来るのも、近づいて来るのも、仲良くして欲しいという気持ちの表れなんじゃないかな。だからアリーが嫌でないのなら、少しづつでも歩み寄ってあげたら良い様に動いて行くんじゃない?」
「……たしかに、そうかも。ニコルの方が変わった事が多い……」
アリーは僕の話に耳を傾け、納得した様に小さく呟いた。
昔からアリーは僕の話を素直に受け入れてくれる。
もちろんアリー自身が納得した事のみだが、そういう素直な所も僕は好きだった。
「私、ニコルとちゃんと話してみる。最初は少ししか話せないかもしれないけどっ」
「そうだね、少しずつでいい。アリーの気持ち伝わるといいね」
「うんっ!」
アリーは笑顔を見せた。
先程までの暗かった表情はもうどこかへと消え去っていた。
その笑顔を見て、僕も笑顔になった。
その後はいつもの様に楽しいお茶会へとなった。
***
そしてそれから三ヶ月後、アリーはニコルを連れて僕の屋敷へとやって来た。
ニコルの第一印象は特に目立つ点は無く、普通の令嬢の様にしか見えなかった。
だけど以前からアリーにニコルの話を色々聞かされていた為、会ってみたいと言う気持ちはずっと持っていたので、会う事が出来たことは嬉しかった。
「ルシ、今日はニコルを連れて来たのっ」
「はじめまして、良く来てくれたね。僕はアリーの婚約者のルシアノ・ツェルナー、よろしくね」
「よ、よろしくお願いしますっ……! あ、ニコルです、……じゃなくてニコル・プラームですっ!」
僕が笑顔を向けると、慌てた様子で挨拶を返して来た。
不格好だったがカーテシーもしてくれた。
それがニコルとの出会いだった。
これから先僕はアリーだけを見て、アリーだけを思い、アリーさえ傍にいてくれたら良いと思っていた。
ニコルの事を助言したのも、アリーが悩んでいたから力になりたくてそう言っただけだった。
僕が好きなのはアリーだけだ。
そうだったはずなのに。
ニコルとあんな関係になるなんて、この時の僕は夢にも思ってはいなかった。
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