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63.彼女との出会い③-sideヴィム-
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彼女と接して行くうちにアリーセ・プラームがどういった人物なのか大体分かってきた。
反応が分かりやすかった為、理解するまでにそう時間はかからなかった。
彼女は虚勢を張る癖があるようだが、それは負けず嫌いから来ているみたいだ。
最初は強がった態度を見せるが、口だけに終わらずそれに見合うだけの努力を決して怠らない。
恐らく幼い頃からそういうやり方をしてきたのだろう。
接していて気付いたことだが、彼女は一度も勉強に対して不満をぶつけたことは無かった。
寧ろ分からない事を楽しんでいる様に見えたくらいだ。
本当に不思議な令嬢だ。
すぐに顔に感情が出るタイプなので分かりやすいが、突然思いも寄らないことを言い出したり、予想を超えた行動に出ることもあったりして、一緒にいると退屈とは無縁そうだ。
しっかりしてそうなのに、何もない所で突然転んだり危なっかしくて目が離せなくなる。
この時に抱いていた感情はまだ恋と呼べるものでは無かったが、確実に彼女に対して特別な目を向け始めていたと思う。
しかし彼女はと言うと、私に対して全くそういった感情を見せることは無かった。
この時はまだ彼女には婚約者の存在がいたのだから当然だと言われればそうなるが、私に全く興味を示さない態度にどこか不満を持ち始めていた。
「……また、負けた」
「惜しかったな。だけどこの難しい問いも正解しているし、満点に近付いて来たんじゃないか?」
放課後の教室で、お互いの答案用紙に目を通しながら話をしていた。
教室には私と彼女の二人だけしかいなかったが、この光景は珍しいものでは無かった。
こうやって放課後残って、二人で勉強会を開くことは良くあることだったからだ。
彼女は分からない事や不安なことがあるとすぐに私を頼って来る。
頼られる事は嬉しかったので、私も素直に彼女の勉強に付き合っていた。
「殿下はどうして毎回満点しか取らないんですか? 私も、頑張ってるのに……。何が足りないんだろう」
「お前の場合、ミスが最後の方に集中しているよな」
「お前って結構考えるタイプだろ?」
「はい……」
「答えを何度も見直して確認しているから、後半時間が無くなって焦るんじゃないか?」
「あ……、たしかにそれはある気がします。最後いつも時間がなくて焦ってる気がする」
彼女はハッと思い出したかのように呟いた。
「まずは全部解いて時間が余っていたら見直しをしてみたらどうだ?その方が焦らないし、時間にも余裕が出来ると思うぞ」
私が答えると彼女はじっとこちらを見つめていた。
「どうした?」
「殿下は私のこと、良く見ていてくれているんですね。さすが先生ですっ!」
「先生か、面白い事を言うな」
「だって、いつも私の勉強を見てくれるし、教え方も上手いし……。殿下は先生になれる素質がありますね! 私は教え方がすごく下手で、以前妹から『何を言っているか分からない』と言われたことがあって……。でも、私だって教え方を勉強すれば多分上手くなれる筈よ……」
彼女は過去を思い出す様にブツブツと不満げに呟いていた。
「ぷっ……」
「……!? な、なんですか?」
「お前ってやっぱり面白いな。その負けず嫌いな所、俺は好きだよ」
「す、好きっ!?」
私が何気なく呟いた言葉に彼女は反応し、顔を赤く染めていた。
(顔が真っ赤だ。本当に素直に反応するな……)
私の言葉に一々一喜一憂して、色んな表情を見せて来る。
彼女の姿を見て私自身も自然に笑っていたことに気付く。
今まで作られた笑顔を向けるばかりだった私が、心の底から笑っていた。
彼女の傍にいるだけで、私自身も変わっていく様な気がした。
そしてそれは決して嫌な気はしなかった。
「そんなに顔を赤く染めて、褒められるのが本当に嬉しいんだな。お前は褒められると伸びるタイプだよな」
「……っ、そんなことは……」
「あるだろう? それとも、俺に好きだと言われて照れているだけか?」
「ち、違っ……!」
少し意地悪そうな言葉を並べると、彼女は目を泳がせて動揺する。
彼女から出た言葉を聞いて私は僅かに目を細めた。
何故か否定されたことがひどく不満に感じた。
だけど何だか分からない気持ちを飲み込んで、表情を緩めた。
「素直じゃないお前には罰として、……そうだな、この間違えた問題の正解を導いて、それを俺が納得出来るように説明してみて。それが出来るまで帰してやらないからな」
「……っ!!」
その言葉を聞くと彼女は焦った顔を見せた。
(少し意地悪な事を言ったか……。だけどこれで暫くの間アリーセは俺の傍から離れられないな)
「安心しろ、解説はちゃんとするから。それに人に説明出来るようになれば、お前ももっと成長出来るんじゃないか?」
「殿下ってやっぱり優しいですね。私、そんな優しい殿下のこと好きですっ!いつも私の勉強に付き合ってくれてありがとうございます」
彼女に『好き』と言われた瞬間、胸の奥が急に熱くなった。
感謝の意味でそう言っただけだということは分かっていたが、彼女の口から出た『好き』という言葉が胸にいつまでも響いていた。
彼女といると単色だった世界に、まるで色が灯ったかのように明るくなる。
今まで見ていた世界とは違う場所にいるような錯覚を感じ、鼓動がドクドクと脈打っていた。
その時初めて思った。
彼女の全てが欲しい、と――。
反応が分かりやすかった為、理解するまでにそう時間はかからなかった。
彼女は虚勢を張る癖があるようだが、それは負けず嫌いから来ているみたいだ。
最初は強がった態度を見せるが、口だけに終わらずそれに見合うだけの努力を決して怠らない。
恐らく幼い頃からそういうやり方をしてきたのだろう。
接していて気付いたことだが、彼女は一度も勉強に対して不満をぶつけたことは無かった。
寧ろ分からない事を楽しんでいる様に見えたくらいだ。
本当に不思議な令嬢だ。
すぐに顔に感情が出るタイプなので分かりやすいが、突然思いも寄らないことを言い出したり、予想を超えた行動に出ることもあったりして、一緒にいると退屈とは無縁そうだ。
しっかりしてそうなのに、何もない所で突然転んだり危なっかしくて目が離せなくなる。
この時に抱いていた感情はまだ恋と呼べるものでは無かったが、確実に彼女に対して特別な目を向け始めていたと思う。
しかし彼女はと言うと、私に対して全くそういった感情を見せることは無かった。
この時はまだ彼女には婚約者の存在がいたのだから当然だと言われればそうなるが、私に全く興味を示さない態度にどこか不満を持ち始めていた。
「……また、負けた」
「惜しかったな。だけどこの難しい問いも正解しているし、満点に近付いて来たんじゃないか?」
放課後の教室で、お互いの答案用紙に目を通しながら話をしていた。
教室には私と彼女の二人だけしかいなかったが、この光景は珍しいものでは無かった。
こうやって放課後残って、二人で勉強会を開くことは良くあることだったからだ。
彼女は分からない事や不安なことがあるとすぐに私を頼って来る。
頼られる事は嬉しかったので、私も素直に彼女の勉強に付き合っていた。
「殿下はどうして毎回満点しか取らないんですか? 私も、頑張ってるのに……。何が足りないんだろう」
「お前の場合、ミスが最後の方に集中しているよな」
「お前って結構考えるタイプだろ?」
「はい……」
「答えを何度も見直して確認しているから、後半時間が無くなって焦るんじゃないか?」
「あ……、たしかにそれはある気がします。最後いつも時間がなくて焦ってる気がする」
彼女はハッと思い出したかのように呟いた。
「まずは全部解いて時間が余っていたら見直しをしてみたらどうだ?その方が焦らないし、時間にも余裕が出来ると思うぞ」
私が答えると彼女はじっとこちらを見つめていた。
「どうした?」
「殿下は私のこと、良く見ていてくれているんですね。さすが先生ですっ!」
「先生か、面白い事を言うな」
「だって、いつも私の勉強を見てくれるし、教え方も上手いし……。殿下は先生になれる素質がありますね! 私は教え方がすごく下手で、以前妹から『何を言っているか分からない』と言われたことがあって……。でも、私だって教え方を勉強すれば多分上手くなれる筈よ……」
彼女は過去を思い出す様にブツブツと不満げに呟いていた。
「ぷっ……」
「……!? な、なんですか?」
「お前ってやっぱり面白いな。その負けず嫌いな所、俺は好きだよ」
「す、好きっ!?」
私が何気なく呟いた言葉に彼女は反応し、顔を赤く染めていた。
(顔が真っ赤だ。本当に素直に反応するな……)
私の言葉に一々一喜一憂して、色んな表情を見せて来る。
彼女の姿を見て私自身も自然に笑っていたことに気付く。
今まで作られた笑顔を向けるばかりだった私が、心の底から笑っていた。
彼女の傍にいるだけで、私自身も変わっていく様な気がした。
そしてそれは決して嫌な気はしなかった。
「そんなに顔を赤く染めて、褒められるのが本当に嬉しいんだな。お前は褒められると伸びるタイプだよな」
「……っ、そんなことは……」
「あるだろう? それとも、俺に好きだと言われて照れているだけか?」
「ち、違っ……!」
少し意地悪そうな言葉を並べると、彼女は目を泳がせて動揺する。
彼女から出た言葉を聞いて私は僅かに目を細めた。
何故か否定されたことがひどく不満に感じた。
だけど何だか分からない気持ちを飲み込んで、表情を緩めた。
「素直じゃないお前には罰として、……そうだな、この間違えた問題の正解を導いて、それを俺が納得出来るように説明してみて。それが出来るまで帰してやらないからな」
「……っ!!」
その言葉を聞くと彼女は焦った顔を見せた。
(少し意地悪な事を言ったか……。だけどこれで暫くの間アリーセは俺の傍から離れられないな)
「安心しろ、解説はちゃんとするから。それに人に説明出来るようになれば、お前ももっと成長出来るんじゃないか?」
「殿下ってやっぱり優しいですね。私、そんな優しい殿下のこと好きですっ!いつも私の勉強に付き合ってくれてありがとうございます」
彼女に『好き』と言われた瞬間、胸の奥が急に熱くなった。
感謝の意味でそう言っただけだということは分かっていたが、彼女の口から出た『好き』という言葉が胸にいつまでも響いていた。
彼女といると単色だった世界に、まるで色が灯ったかのように明るくなる。
今まで見ていた世界とは違う場所にいるような錯覚を感じ、鼓動がドクドクと脈打っていた。
その時初めて思った。
彼女の全てが欲しい、と――。
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