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15.到着と同時に捕まった
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私は次の町を目指していた。
きっとルイスは私の事を追いかけてくる。
前回は3日で見つかったので、行き先には悩んだ。
恐らく、ここから一番近い町に向かうのはやめておいた方が良い。
トロストに戻るのもきっとすぐに見つかってしまうだろう。
出来るだけ遠くに行こうと考えた。
私は北を目指すことにした。
ここから2日はかかるけど、それだけ離れていればさすがにすぐには見つからないだろう。
そう思っていたけど私の足だと思ってたよりも時間がかかってしまい、4日後に漸く目的としていた街に着くことが出来た。
私が辿り着いたのは『ゼクト』という大きな貿易が盛んな街だった。
きっと私が今まで見た街では一番大きい気がする。
思ってた以上に時間がかかっちゃったな…。
だけど無事に着けて良かった。
しかし、私の考えは甘かったのか予想外の展開が待っていた。
私は3日間、野宿生活だったので疲れていた。
今日は1日休んで過ごそうと思い、泊まれる所を探す為に街を歩いていた。
街には沢山の人がいて、貿易が盛んな国だけあって色んな種族の姿が見える。
風景も大きな建物が沢山あり、都会らしさを感じられる。
そんな時、突然腕を引かれた。
「遅かったね。ラナの方が先に着いていると思ってたよ」
「どう…して?」
視線を上に向けると、そこにいたのはルイスだった。
私は呆然として逃げる事すら忘れていた。
「ラナが考えてる事なんて手に取る様に分かるよ。ラナ…疲れた顔してるね、少し休もうか」
ルイスは勝手に逃げた私を責める様な態度は見せず、普段通りの優しい表情で接してくれて私は困惑していた。
そこにいたのは、私の知っているルイスだった。
ルイスは私の手を引いて歩き出そうとした。
私はやっと我に返りルイスの手を振り払おうとするも、しっかり掴まれているせいか外れない。
「離してっ…私、今は一人になりたいって書いたよね?」
「ラナは置手紙を書くの好きなの?だけど僕もラナの事は離さないって伝えたはずだよ」
「……お願い、少しの時間でいいの。私に考える時間を…」
「ラナが悩んでる事って何?まずはそれを聞かせて欲しいかな、とりあえず落ち着いて話せる所に行こう」
「……分かった」
理由を話さない限りルイスは手を離してくれないと思った。
私はルイスに手を引かれるまま着いて行った。
***
「すごい…部屋」
「以前知り合った人がここの宿屋の主人でね。僕が勇者である事を知っていてこの街に滞在している間はここを好きに使って良いって言ってくれたんだ」
この宿屋で一番最上級の部屋だった。
天井からは大きなシャンデリアが吊るされ、キングサイズの大きなベッドには天蓋がついている。
そして大きなソファーとテーブルがあり、部屋の中に大きな浴場まで用意されている。
大きな窓に、バルコニーまで用意され、そこからはこの街を一望出来る。
貴族が泊まるような豪華な部屋だった。
「ルイス…私、3日間野宿生活だったから…先にお湯浴びて来ても良い?」
「ああ、構わないよ。待ってるからゆっくり入っておいで」
私はそう言って浴場に向かった。
短い間でも、考える時間が欲しかったのでお風呂に入ってゆっくり考える事にした。
もう逃げられない。
こうなったら必死に説得して、分かってもらうしかない。
服を脱いで浴場に入ると、そこはすごく広かった。
洗い場も広くてその奥には大きな浴槽まである。
私は思わず感動してしまった。
先に体を洗ってお湯の中に浸かると、心地よいお湯の温かさがじわじわと体に伝わり思わず顔が綻んでしまう。
最近色々悩んでいたから、こうやってほっとした時間を過ごせるのが本当に久しぶりな気がする。
「あー…気持ちいい」
私はそんなほっとした一時を感じながら、溜息を洩らした。
どうしよう。
ルイスにどうやって私の気持ちを伝えたら分かってもらえるのかな。
考えても簡単には答えは見つからなかった。
きっとルイスは私の事を追いかけてくる。
前回は3日で見つかったので、行き先には悩んだ。
恐らく、ここから一番近い町に向かうのはやめておいた方が良い。
トロストに戻るのもきっとすぐに見つかってしまうだろう。
出来るだけ遠くに行こうと考えた。
私は北を目指すことにした。
ここから2日はかかるけど、それだけ離れていればさすがにすぐには見つからないだろう。
そう思っていたけど私の足だと思ってたよりも時間がかかってしまい、4日後に漸く目的としていた街に着くことが出来た。
私が辿り着いたのは『ゼクト』という大きな貿易が盛んな街だった。
きっと私が今まで見た街では一番大きい気がする。
思ってた以上に時間がかかっちゃったな…。
だけど無事に着けて良かった。
しかし、私の考えは甘かったのか予想外の展開が待っていた。
私は3日間、野宿生活だったので疲れていた。
今日は1日休んで過ごそうと思い、泊まれる所を探す為に街を歩いていた。
街には沢山の人がいて、貿易が盛んな国だけあって色んな種族の姿が見える。
風景も大きな建物が沢山あり、都会らしさを感じられる。
そんな時、突然腕を引かれた。
「遅かったね。ラナの方が先に着いていると思ってたよ」
「どう…して?」
視線を上に向けると、そこにいたのはルイスだった。
私は呆然として逃げる事すら忘れていた。
「ラナが考えてる事なんて手に取る様に分かるよ。ラナ…疲れた顔してるね、少し休もうか」
ルイスは勝手に逃げた私を責める様な態度は見せず、普段通りの優しい表情で接してくれて私は困惑していた。
そこにいたのは、私の知っているルイスだった。
ルイスは私の手を引いて歩き出そうとした。
私はやっと我に返りルイスの手を振り払おうとするも、しっかり掴まれているせいか外れない。
「離してっ…私、今は一人になりたいって書いたよね?」
「ラナは置手紙を書くの好きなの?だけど僕もラナの事は離さないって伝えたはずだよ」
「……お願い、少しの時間でいいの。私に考える時間を…」
「ラナが悩んでる事って何?まずはそれを聞かせて欲しいかな、とりあえず落ち着いて話せる所に行こう」
「……分かった」
理由を話さない限りルイスは手を離してくれないと思った。
私はルイスに手を引かれるまま着いて行った。
***
「すごい…部屋」
「以前知り合った人がここの宿屋の主人でね。僕が勇者である事を知っていてこの街に滞在している間はここを好きに使って良いって言ってくれたんだ」
この宿屋で一番最上級の部屋だった。
天井からは大きなシャンデリアが吊るされ、キングサイズの大きなベッドには天蓋がついている。
そして大きなソファーとテーブルがあり、部屋の中に大きな浴場まで用意されている。
大きな窓に、バルコニーまで用意され、そこからはこの街を一望出来る。
貴族が泊まるような豪華な部屋だった。
「ルイス…私、3日間野宿生活だったから…先にお湯浴びて来ても良い?」
「ああ、構わないよ。待ってるからゆっくり入っておいで」
私はそう言って浴場に向かった。
短い間でも、考える時間が欲しかったのでお風呂に入ってゆっくり考える事にした。
もう逃げられない。
こうなったら必死に説得して、分かってもらうしかない。
服を脱いで浴場に入ると、そこはすごく広かった。
洗い場も広くてその奥には大きな浴槽まである。
私は思わず感動してしまった。
先に体を洗ってお湯の中に浸かると、心地よいお湯の温かさがじわじわと体に伝わり思わず顔が綻んでしまう。
最近色々悩んでいたから、こうやってほっとした時間を過ごせるのが本当に久しぶりな気がする。
「あー…気持ちいい」
私はそんなほっとした一時を感じながら、溜息を洩らした。
どうしよう。
ルイスにどうやって私の気持ちを伝えたら分かってもらえるのかな。
考えても簡単には答えは見つからなかった。
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