【完結】勇者の幼馴染ですがパーティーを勝手に抜けたら、ヤンデレ化してどこまでも追いかけて来た【R18】

Rila

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16.逃げられない

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 結局考えても答えなんて出なかった。
 このまま浴場の中にいても上せてしまうので私は諦めてお湯から上がった。

 浴場から出ると棚に置かれていたタオルで体を拭っていた。
 そんな時背後から突然声を掛けられてビクッと体を震わせてしまう。

「ラナ、体拭いてあげるよ」
「……っ!?」
 慌てて振り返るとそこにルイスがいて、思わず転びそうになる寸前でルイスに抱えられた。

「危ないな、大丈夫?」
「うん、ごめん…」
 私はそのままルイスに抱きしめられる形になっていた。
 しかも私はまだ服を着てない状態で、恥ずかしくて顔がどんどん熱くなっていく。

「ラナ、この状態でいつまでもいる気なら抱くけど…いいの?」
「……だめっ!」
 私は真っ赤な顔でそう答えると、ルイスは抱きしめる手を緩めて私の顔を見つめた。
 そしてゆっくりとルイスの顔が近づいてきて、そっと唇が重なった。

「ダメじゃないよ…」
「んっ…はぁっ…待って…」
 ルイスは何度も啄む様なキスを続ける。
 私が逃げようとしても腰はルイスの手の内にあるので逃げられる筈も無かった。

「ラナ、僕の事嫌い?」
「っ……ずるい、そんな質問…」
 私は潤んだ瞳でルイスを見つめた。

 ルイスは小さく笑うとそのまま私の事を横向きで抱き上げ、ベッドのある方向へと歩いていく。

「ルイス、待って!話をするんじゃなかったの?」
「ラナが話したいなら僕はいつでも話を聞くよ」

「それは……っ…」
 私が言葉に詰まっているとルイスは小さくクスっと笑った。

「早く話さないとベッドに着いちゃうよ」
「……っ!」
 私が慌てているとあっという間にベッドの前まで付き、そのまま私はベッドの中心に降ろされた。

「はい、到着。残念だけど時間切れかな。話なら本当に後でいくらでも聞いてあげるから、今はラナの事、抱かせて」
「だ、だめっ…!」

「そんな顔を赤く染めて潤んだ瞳で僕の事見つめておいて、誘っているとしか思えないけどな」
「違うっ……そんなことないっ…」

「ラナの事だから…きっとそんな事は考えて無いんだろうけど、男と二人きりの部屋で来て早々浴場に行くなんて抱いて欲しいって言ってる様なものだと思うよ。一回僕に抱かれているのに、警戒心なさ過ぎ。だからこうやって簡単にベッドに連れ込まれちゃうんだよ。本当に不安だよ、やっぱり閉じ込めておくべきかな…」
「そんな事思ってないっ…」
 私が焦って否定すると「分かってるよ」と優しい口調で言われた。

「ルイスは…怒ってないの?」
「怒る…?何を?」
 私が聞くとルイスは首を傾げた。

「私が置手紙を置いてルイスの元を勝手に離れたこと…」
「ラナの行動は大体読めてるからね、予想はついてたよ。だから別に怒っては無いよ。だけどこれだけは覚えておいて。ラナが何処にいようとラナの居場所はどこだって分かるから、僕から逃れることは不可能だよ」
 ルイスは当然の様に言った。

「どういうこと…?」
「そのことはいずれ分かるよ」
 ルイスはそれ以上は話してくれなかった。

「時間も沢山あるし、今日は僕の気が済むまで抱かせてもらうね。嫌ならラナの言う『話』を早く僕に聞かせて」
「……っ…!!」
 ルイスは不敵な笑みを浮かべて私の額にキスを落とした。
 きっと私の考えなんて見透かされているんだろう。

「ラナが僕の気持ちに応える気になるまで抱き潰してあげるよ」
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