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23.追いつめられる④※
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「僕も服を脱ぐから、少し待っていて」
彼の言葉に私は小さく頷いた。
ルシエルはベッドから降りると、スルスルと布擦れ音を立てながら一枚づつ服を脱いでいく。
彼の肌が露わになると、急に私の胸がドキドキと鳴り始める。
兄であるルシエルと接する機会は多いが、当然こんなふうに彼の裸を見ることはこれが初めてだ。
(お兄様って、意外と筋肉あるんだ……)
そういえば以前、毎日剣の素振りはしていると話していた。
何度かその光景を見たことがある。
だけど、その時は服を着ていたので、直接肌を見ることなんてなかった。
そんな時、不意にルシエルと目が合った。
私は驚いて慌てるように目を逸らしてしまう。
急に頬が熱くなり、鼓動も先ほどよりもさらに大きくなっているようだ。
(お兄様の体をじろじろ見てるのバレちゃった……。恥ずかしいっ!)
私が羞恥に翻弄されていると、ギシっとベッドの軋む音が響く。
「……っ!」
「どうして、フィーの頬はこんなにも真っ赤に染まっているんだろうね?」
ルシエルはすぐ傍に座り、伸びてきた彼の掌が私の頭に優しく触れる。
その感触に私の体はびくっと小さく震える。
「フィー、こっちを見て」
「……っ」
本当は恥ずかしくて仕方がなかったけど、私はゆっくりと彼のほうに視線を向けた。
すると、目が合った瞬間、彼は柔らかく微笑んだ。
「これでお互い邪魔のものはなくなったから、全身でフィーを愛することができそうだ」
「……っ!」
彼はいつもの口調で、全く恥じることなく言ってくるが、私は違う。
ルシエルとこんな関係になることを夢見ていたが、まさか実際に叶うなんて思いもしなかった。
婚約者はできたことすらないし、特別意識した異性もいない。
そんな耐性ゼロな状況で言われたら、誰だって私と同じ反応をするに決まっている。
(そんな恥ずかしい台詞、どうして平気で言えるの!?)
「また照れているの?」
「誰のせいだとっ!」
「そんなの決まってる。全てフィーのせいだよ」
「っ!!」
私が言い返すと彼は僅かに目を細めて即答する。
そして、ゆっくりと綺麗な顔が下りてきて、息がかかる程の距離で止まった。
じっと瞳の奥を射抜かれるように見つめられて、私は呼吸をするのも忘れてしまいそうになる。
「僕が今まで、どれだけ自分の気持ちを隠し通してきたか、きっとフィーには分からないだろうね」
「どういう意味……」
私が言い返そうとすると唇を塞がれ、それ以上言葉を繋ぐことはできなかった。
「それは、これから少しづつ知っていってもらうことにするよ」
「……っん、はぁ……」
唇を吸われたり甘噛みされたりしながら、私の中心に先ほどから硬いものが押し付けられている。
「フィー、少し足を開いて」
「んっ、はいっ……」
私は彼に言われるがままに足を左右に開いた。
すると、先ほどの硬いものが秘裂にぴったりとくっつき、上下に何度も行き来を繰り返す。
キスに加えて、熱くなっている部分を刺激され、さらに甘ったるい快感がじわじわと湧き上がってくる。
「はぁっ、……ぁっ、ん」
「こうされるのも好きなんだ。快楽を素直に受け入れて、フィーはいい子だね」
「これって……」
「これからフィーの中に入るものだよ。足、もう少し開かせるね」
ルシエルはそう答えると、私の唇を名残惜しそうに離し、ゆっくりと上半身を起こした。
そして先ほどのように私の膝を持ち上げて折りたたむと、今度は左右に大きく割り開く。
一度体験したこととはいえ、恥ずかしいことには変わりない。
私は思わず目を逸らしてしまう。
「フィー、恥ずかしいかもしれないけどこっちを向いて」
「……っ、ぁっ……」
私が恥じらうように顔を戻すと、ルシエルは再び私の中心に滾ったものを押し当て、入り口を探るように熱杭を滑らせた。
私の愛液が絡みつくと、ぐちゅぐちゅと淫靡な音が室内に響き渡る。
視覚だけではなく聴覚からも羞恥を煽られ、ますます私の表情は戸惑いから泣きそうな顔へと変わっていく。
(え……?)
その時に、私は目を疑った。
視界に入る彼のお腹から伸びているものが、余りにも大きかったからだ。
あんなに大きいものを私は受け止めることができるのだろうか。
羞恥に加えて、さらなる問題が増え、私の困惑は深まっていく。
「入口を少し擦るとフィーのここ、ヒクヒクして僕のに吸い付いてくるね。すごく厭らしくて可愛い」
「言わないでっ……っん」
「本当はもう少しこうしていようと思ったけど、僕のほうが限界かも。早くフィーと繋がりたい」
「……っ、あ、あのっ!」
熱に浮かされたような表情を見せるルシエルは、とても艶やかで魅惑的で目を奪われてしまいそうになる。
しかし、先端をぐっと押し当てられると、私は慌てるように声をかけた。
「どうしたの? もしかして、怖くなっちゃった?」
「…………」
ルシエルは私の不安そうな表情を見て、どうして止めたのか気付いたのだろう。
ここまでしといて、途中で止めることができないことくらい、私も分かっている。
それに、私だって本当は今すぐにでも彼と繋がりたい。
だけど、凶器にしか見れない熱杭を見てしまうと、どうしても怖気づいてしまう。
「フィーの思っていることは、なんとなく想像できるかな。今日は初めてだし、当然のことだよ。だけど、なるべく優しくするから僕のことを受け入れてほしい」
「お兄様……」
「フィー、今は『お兄様』ではなく、ルシエルと、名前で呼んで。今の僕は兄としてではなく、一人の男としてフィーのことを抱こうとしているのだから」
「……っ、ルシ、エル……」
突然そんなことを言われて、私は戸惑いから目を泳がせてしまう。
再び視線を戻すと、照れくさそうに小さく彼の名前を呼んだ。
すると、彼は表情を緩め、嬉しそうにはにかんでいた。
その姿に私のドキッ心臓が揺れて、その後は鼓動がバクバクと速くなっていくのを感じる。
(こんなに嬉しそうな顔をするお兄様、初めて見たかも……)
いつも冷静で、余裕があって、笑う時もどこか大人しくて。
私は初めて見た彼のその素顔に、また恋でもしてしまうのではないかと思うくらいドキドキしていた。
「フィー、ありがとう」
「は、はいっ……」
「それじゃあ、ゆっくり挿れるけど、できる限り力は抜いていて」
「分かりましたっ!」
私が答えると、ルシエルは硬く滾った熱杭を蜜口に押し当て、ぐっと奥に押し込んでいく。
入口が大きく広げられ、私の中に何かが入ってくるのを感じる。
それと同時に、想像を絶する痛みを感じ、私は顔を歪めた。
(痛い……!)
私はシーツをぎゅっと握りしめ、その痛みを耐えることしかできない。
顔はきっと引き攣っているのだろう。
だけど、それを隠す余裕すら今の私にはなかった。
「……っ、きついな。フィー、ごめん。もう少しだけ我慢して」
彼の言葉は耳に入ってきたが、私はそれに答えることも頷くこともできなかった。
だけど、ここで止めて欲しくはなくて抵抗もしなかった。
「……っ!」
それからどれくらいの時間が経ったのだろう。
とてつもなく長く感じたが、急に彼の動きが止まり、私はぎゅっと力いっぱい閉じていた瞳をゆっくりと開いていく。
「お兄さ、ま?」
私がか細い声で呟くと、目の前には大好きな人の姿があり、少しだけほっとした。
お腹の奥には私のものではないものが埋まっていて少し苦しさを感じる。
痛みは徐々に薄れていっているようだった。
「フィー、大丈夫? 痛かったよな。ごめん……」
「あのっ、私……」
私が戸惑った瞳を揺らしながら再び呟くと、彼は優しく微笑んだ。
「今、フィーと繋がってる。すごく、嬉しい」
「わ、私もっ!」
彼の言葉を聞くと、先ほどまで歪んでいた私の表情が、みるみる明るく変わっていく。
お兄様と体を繋げたという事実が、本当に嬉しかった。
きっと、今私と彼は同じ表情をしているのだろう。
そんな気がする。
「フィーの体が落ち着くまでこのままでいるから、少し抱きしめさせて」
「はい……」
ルシエルは穏やに、それでいて喜びが混じったような声で答えると、体をぴったりと重ねるように、私のことを優しく抱きしめてくれた。
肌同士が重なると、彼の体温が直接伝わってきて、それが堪らないほどに気持ちいい。
大好きな人に全身を包まれて、私は幸福感に浸っていた。
(温かい……。お兄様の熱、すごく心地いい。ずっとこうしていたくなる……)
幸せな気持ちのほうが大きくなっていくと、体の痛みなんてすっかり忘れてしまう。
「フィーはこうされるのも好きなんだね」
「はいっ」
「本当にフィーは可愛すぎて困るな。もう、絶対に手放してなんてやらない」
「……っ」
突然耳元で囁かれ、私はびくっと体を震わせた。
それと同時に、私の中に埋まっている彼の熱杭をきつく締め付けてしまう。
「フィーってさ、実は言葉で責められるの結構好きでしょ?」
「……っ!? そ、そんなことありませんっ!」
ルシエルは顔を私の正面に移動させると、じっと覗き込むように私の瞳を見つめてきた。
私は恥ずかしさから慌てて否定してしまったが、きっと彼にはそれも分かっているのだろう。
「焦ってる。可愛い」
「お兄様は、可愛いって言いすぎですっ!」
「お兄様じゃなくて、ルシエル、だろう? 今の僕達は兄と妹ではないはずだよ」
「あ……、それって……、恋人?」
私が恥ずかしそうに、もじもじしながら答えると、彼は「そうだよ」と言った。
自分から言ったくせに急に恥ずかしくなり、目を泳がせてしまう。
「ふふっ、本当にフィーは素直というか、嘘が付けない子だね。そんなところも可愛いよ」
彼はからかうように『可愛い』を強調するように言ってくる。
ますます私は戸惑い、反応に困った挙句ルシエルを不満そうにムッと睨み付けた。
「そんな顔で睨まれても全然怖くないよ」
「お兄様の意地悪っ! あ……、ルシエル……。慣れてなくて」
「それじゃあ、二人っきりの時はこれからそう呼んで。言っているうちに少しづつ慣れていくと思うし、なによりもフィーに名前で呼ばれるとすごく嬉しい」
自然にそんなことを言うルシエルが、少しずるいと思ってしまう。
私はまた暫くの間、彼に翻弄されそうだ。
だけど、兄ではなく特別な関係になれたと思うと、本当は私も嬉しかった。
「フィー、体のほうはどう?」
「あ……、話していたら、すっかり忘れてましたっ」
「あはは、そっか。フィーは意外とたくましいよね。でも、そんなところもすごく好きだよ」
「……っ」
可愛いに加えて『好き』ということも、結構多く言われているような気がする。
(嬉しいけど……、少し照れるな)
「ゆっくり動くけど、辛かったら言って」
「はいっ……」
ルシエルは私の瞼にそっと口づけると、ゆっくりと上半身を起こした。
そして私のお腹の奥に埋まっている塊を、引き抜いていく。
「……ぁっ」
内壁を抉られると、今まで感じたことのない刺激に、体の奥がぞわぞわと震えてしまう。
体から力が抜け、自然と甘ったるい声が漏れていく。
「フィー、痛くない?」
「はぁっ、大丈夫……」
「それならば、このまま動くね」
「……はぁっ、ん、……ぁっ、ぁあっ……」
彼はゆっくりと抽挿を繰り返す。
鈍痛はまだ少し残っていたが、それを超えるほどの蕩けてしまいそうな快感に私はただただ驚いていた。
(なに、これ……。溶けちゃいそう……)
私は魚のように唇をぱくぱくさせ、嬌声を室内に響かせる。
「今のフィー、すごく気持ち良さそう」
「ぁあっ、これ……すごい、体が、ふわふわして……んぅっ、お兄……、ルシエルは?」
「ふふっ、気に入って貰えたなら良かった。僕もすごく気持ちいいよ。フィーの中にいつまでいたくなるくらいね」
「はぁっ、ん、よかっ、た……ぁあっ」
体を揺さぶられる度に、私の体温は上昇し、吐息にも熱が篭り始める。
こんなにも気持ちがいいものだなんて、思いもしなかった。
きっと、大好きな人と体を重ねているからこそ、こんなにも気持ちいいのだろう。
(お兄様、好き、大好き……! ずっと、一緒にいたい)
彼への思いも次第に強くなっていく。
ルシエルは私の体を気にかけるように、徐々に突く速度を上げていく。
余裕を少しずつ奪われて、私の目尻からは生理的な涙が浮かぶ。
「フィー、少し激しく動くよ。最後は一緒に果てよう」
「はいっ……」
彼は私の掌を開くと、絡めるように繋いだ。
そして、体をぴったりと重ね、唇を塞がれて、全身で彼を感じながら私は絶頂を迎えた。
「フィー、愛している」
頭の奥が揺れて意識が遠ざかっていく中、そんな声が聞こえたような気がした。
「わた……、し、も……」
私も声を出そうとしたのだが、そこまでしか言葉は続かない。
そんな中、僅かに嬉しそうに表情を緩めると、私はそのまま溶けるように意識を手放した。
****************
作者より
私の作品を読んで頂き、ありがとうございます。
長くなりそうだったので、少し最後は短くしました。
Rシーンは他にもたくさん出てくる予定なので、そこで色々書けたらいいなと思っています。
お気付きの方もいるかもしれませんが、まだあらすじに辿り着いていません(汗)
今後展開が大きく動くので、シリアス寄りの話に変わっていきます。
中々更新ができなくて申し訳ないです。
彼の言葉に私は小さく頷いた。
ルシエルはベッドから降りると、スルスルと布擦れ音を立てながら一枚づつ服を脱いでいく。
彼の肌が露わになると、急に私の胸がドキドキと鳴り始める。
兄であるルシエルと接する機会は多いが、当然こんなふうに彼の裸を見ることはこれが初めてだ。
(お兄様って、意外と筋肉あるんだ……)
そういえば以前、毎日剣の素振りはしていると話していた。
何度かその光景を見たことがある。
だけど、その時は服を着ていたので、直接肌を見ることなんてなかった。
そんな時、不意にルシエルと目が合った。
私は驚いて慌てるように目を逸らしてしまう。
急に頬が熱くなり、鼓動も先ほどよりもさらに大きくなっているようだ。
(お兄様の体をじろじろ見てるのバレちゃった……。恥ずかしいっ!)
私が羞恥に翻弄されていると、ギシっとベッドの軋む音が響く。
「……っ!」
「どうして、フィーの頬はこんなにも真っ赤に染まっているんだろうね?」
ルシエルはすぐ傍に座り、伸びてきた彼の掌が私の頭に優しく触れる。
その感触に私の体はびくっと小さく震える。
「フィー、こっちを見て」
「……っ」
本当は恥ずかしくて仕方がなかったけど、私はゆっくりと彼のほうに視線を向けた。
すると、目が合った瞬間、彼は柔らかく微笑んだ。
「これでお互い邪魔のものはなくなったから、全身でフィーを愛することができそうだ」
「……っ!」
彼はいつもの口調で、全く恥じることなく言ってくるが、私は違う。
ルシエルとこんな関係になることを夢見ていたが、まさか実際に叶うなんて思いもしなかった。
婚約者はできたことすらないし、特別意識した異性もいない。
そんな耐性ゼロな状況で言われたら、誰だって私と同じ反応をするに決まっている。
(そんな恥ずかしい台詞、どうして平気で言えるの!?)
「また照れているの?」
「誰のせいだとっ!」
「そんなの決まってる。全てフィーのせいだよ」
「っ!!」
私が言い返すと彼は僅かに目を細めて即答する。
そして、ゆっくりと綺麗な顔が下りてきて、息がかかる程の距離で止まった。
じっと瞳の奥を射抜かれるように見つめられて、私は呼吸をするのも忘れてしまいそうになる。
「僕が今まで、どれだけ自分の気持ちを隠し通してきたか、きっとフィーには分からないだろうね」
「どういう意味……」
私が言い返そうとすると唇を塞がれ、それ以上言葉を繋ぐことはできなかった。
「それは、これから少しづつ知っていってもらうことにするよ」
「……っん、はぁ……」
唇を吸われたり甘噛みされたりしながら、私の中心に先ほどから硬いものが押し付けられている。
「フィー、少し足を開いて」
「んっ、はいっ……」
私は彼に言われるがままに足を左右に開いた。
すると、先ほどの硬いものが秘裂にぴったりとくっつき、上下に何度も行き来を繰り返す。
キスに加えて、熱くなっている部分を刺激され、さらに甘ったるい快感がじわじわと湧き上がってくる。
「はぁっ、……ぁっ、ん」
「こうされるのも好きなんだ。快楽を素直に受け入れて、フィーはいい子だね」
「これって……」
「これからフィーの中に入るものだよ。足、もう少し開かせるね」
ルシエルはそう答えると、私の唇を名残惜しそうに離し、ゆっくりと上半身を起こした。
そして先ほどのように私の膝を持ち上げて折りたたむと、今度は左右に大きく割り開く。
一度体験したこととはいえ、恥ずかしいことには変わりない。
私は思わず目を逸らしてしまう。
「フィー、恥ずかしいかもしれないけどこっちを向いて」
「……っ、ぁっ……」
私が恥じらうように顔を戻すと、ルシエルは再び私の中心に滾ったものを押し当て、入り口を探るように熱杭を滑らせた。
私の愛液が絡みつくと、ぐちゅぐちゅと淫靡な音が室内に響き渡る。
視覚だけではなく聴覚からも羞恥を煽られ、ますます私の表情は戸惑いから泣きそうな顔へと変わっていく。
(え……?)
その時に、私は目を疑った。
視界に入る彼のお腹から伸びているものが、余りにも大きかったからだ。
あんなに大きいものを私は受け止めることができるのだろうか。
羞恥に加えて、さらなる問題が増え、私の困惑は深まっていく。
「入口を少し擦るとフィーのここ、ヒクヒクして僕のに吸い付いてくるね。すごく厭らしくて可愛い」
「言わないでっ……っん」
「本当はもう少しこうしていようと思ったけど、僕のほうが限界かも。早くフィーと繋がりたい」
「……っ、あ、あのっ!」
熱に浮かされたような表情を見せるルシエルは、とても艶やかで魅惑的で目を奪われてしまいそうになる。
しかし、先端をぐっと押し当てられると、私は慌てるように声をかけた。
「どうしたの? もしかして、怖くなっちゃった?」
「…………」
ルシエルは私の不安そうな表情を見て、どうして止めたのか気付いたのだろう。
ここまでしといて、途中で止めることができないことくらい、私も分かっている。
それに、私だって本当は今すぐにでも彼と繋がりたい。
だけど、凶器にしか見れない熱杭を見てしまうと、どうしても怖気づいてしまう。
「フィーの思っていることは、なんとなく想像できるかな。今日は初めてだし、当然のことだよ。だけど、なるべく優しくするから僕のことを受け入れてほしい」
「お兄様……」
「フィー、今は『お兄様』ではなく、ルシエルと、名前で呼んで。今の僕は兄としてではなく、一人の男としてフィーのことを抱こうとしているのだから」
「……っ、ルシ、エル……」
突然そんなことを言われて、私は戸惑いから目を泳がせてしまう。
再び視線を戻すと、照れくさそうに小さく彼の名前を呼んだ。
すると、彼は表情を緩め、嬉しそうにはにかんでいた。
その姿に私のドキッ心臓が揺れて、その後は鼓動がバクバクと速くなっていくのを感じる。
(こんなに嬉しそうな顔をするお兄様、初めて見たかも……)
いつも冷静で、余裕があって、笑う時もどこか大人しくて。
私は初めて見た彼のその素顔に、また恋でもしてしまうのではないかと思うくらいドキドキしていた。
「フィー、ありがとう」
「は、はいっ……」
「それじゃあ、ゆっくり挿れるけど、できる限り力は抜いていて」
「分かりましたっ!」
私が答えると、ルシエルは硬く滾った熱杭を蜜口に押し当て、ぐっと奥に押し込んでいく。
入口が大きく広げられ、私の中に何かが入ってくるのを感じる。
それと同時に、想像を絶する痛みを感じ、私は顔を歪めた。
(痛い……!)
私はシーツをぎゅっと握りしめ、その痛みを耐えることしかできない。
顔はきっと引き攣っているのだろう。
だけど、それを隠す余裕すら今の私にはなかった。
「……っ、きついな。フィー、ごめん。もう少しだけ我慢して」
彼の言葉は耳に入ってきたが、私はそれに答えることも頷くこともできなかった。
だけど、ここで止めて欲しくはなくて抵抗もしなかった。
「……っ!」
それからどれくらいの時間が経ったのだろう。
とてつもなく長く感じたが、急に彼の動きが止まり、私はぎゅっと力いっぱい閉じていた瞳をゆっくりと開いていく。
「お兄さ、ま?」
私がか細い声で呟くと、目の前には大好きな人の姿があり、少しだけほっとした。
お腹の奥には私のものではないものが埋まっていて少し苦しさを感じる。
痛みは徐々に薄れていっているようだった。
「フィー、大丈夫? 痛かったよな。ごめん……」
「あのっ、私……」
私が戸惑った瞳を揺らしながら再び呟くと、彼は優しく微笑んだ。
「今、フィーと繋がってる。すごく、嬉しい」
「わ、私もっ!」
彼の言葉を聞くと、先ほどまで歪んでいた私の表情が、みるみる明るく変わっていく。
お兄様と体を繋げたという事実が、本当に嬉しかった。
きっと、今私と彼は同じ表情をしているのだろう。
そんな気がする。
「フィーの体が落ち着くまでこのままでいるから、少し抱きしめさせて」
「はい……」
ルシエルは穏やに、それでいて喜びが混じったような声で答えると、体をぴったりと重ねるように、私のことを優しく抱きしめてくれた。
肌同士が重なると、彼の体温が直接伝わってきて、それが堪らないほどに気持ちいい。
大好きな人に全身を包まれて、私は幸福感に浸っていた。
(温かい……。お兄様の熱、すごく心地いい。ずっとこうしていたくなる……)
幸せな気持ちのほうが大きくなっていくと、体の痛みなんてすっかり忘れてしまう。
「フィーはこうされるのも好きなんだね」
「はいっ」
「本当にフィーは可愛すぎて困るな。もう、絶対に手放してなんてやらない」
「……っ」
突然耳元で囁かれ、私はびくっと体を震わせた。
それと同時に、私の中に埋まっている彼の熱杭をきつく締め付けてしまう。
「フィーってさ、実は言葉で責められるの結構好きでしょ?」
「……っ!? そ、そんなことありませんっ!」
ルシエルは顔を私の正面に移動させると、じっと覗き込むように私の瞳を見つめてきた。
私は恥ずかしさから慌てて否定してしまったが、きっと彼にはそれも分かっているのだろう。
「焦ってる。可愛い」
「お兄様は、可愛いって言いすぎですっ!」
「お兄様じゃなくて、ルシエル、だろう? 今の僕達は兄と妹ではないはずだよ」
「あ……、それって……、恋人?」
私が恥ずかしそうに、もじもじしながら答えると、彼は「そうだよ」と言った。
自分から言ったくせに急に恥ずかしくなり、目を泳がせてしまう。
「ふふっ、本当にフィーは素直というか、嘘が付けない子だね。そんなところも可愛いよ」
彼はからかうように『可愛い』を強調するように言ってくる。
ますます私は戸惑い、反応に困った挙句ルシエルを不満そうにムッと睨み付けた。
「そんな顔で睨まれても全然怖くないよ」
「お兄様の意地悪っ! あ……、ルシエル……。慣れてなくて」
「それじゃあ、二人っきりの時はこれからそう呼んで。言っているうちに少しづつ慣れていくと思うし、なによりもフィーに名前で呼ばれるとすごく嬉しい」
自然にそんなことを言うルシエルが、少しずるいと思ってしまう。
私はまた暫くの間、彼に翻弄されそうだ。
だけど、兄ではなく特別な関係になれたと思うと、本当は私も嬉しかった。
「フィー、体のほうはどう?」
「あ……、話していたら、すっかり忘れてましたっ」
「あはは、そっか。フィーは意外とたくましいよね。でも、そんなところもすごく好きだよ」
「……っ」
可愛いに加えて『好き』ということも、結構多く言われているような気がする。
(嬉しいけど……、少し照れるな)
「ゆっくり動くけど、辛かったら言って」
「はいっ……」
ルシエルは私の瞼にそっと口づけると、ゆっくりと上半身を起こした。
そして私のお腹の奥に埋まっている塊を、引き抜いていく。
「……ぁっ」
内壁を抉られると、今まで感じたことのない刺激に、体の奥がぞわぞわと震えてしまう。
体から力が抜け、自然と甘ったるい声が漏れていく。
「フィー、痛くない?」
「はぁっ、大丈夫……」
「それならば、このまま動くね」
「……はぁっ、ん、……ぁっ、ぁあっ……」
彼はゆっくりと抽挿を繰り返す。
鈍痛はまだ少し残っていたが、それを超えるほどの蕩けてしまいそうな快感に私はただただ驚いていた。
(なに、これ……。溶けちゃいそう……)
私は魚のように唇をぱくぱくさせ、嬌声を室内に響かせる。
「今のフィー、すごく気持ち良さそう」
「ぁあっ、これ……すごい、体が、ふわふわして……んぅっ、お兄……、ルシエルは?」
「ふふっ、気に入って貰えたなら良かった。僕もすごく気持ちいいよ。フィーの中にいつまでいたくなるくらいね」
「はぁっ、ん、よかっ、た……ぁあっ」
体を揺さぶられる度に、私の体温は上昇し、吐息にも熱が篭り始める。
こんなにも気持ちがいいものだなんて、思いもしなかった。
きっと、大好きな人と体を重ねているからこそ、こんなにも気持ちいいのだろう。
(お兄様、好き、大好き……! ずっと、一緒にいたい)
彼への思いも次第に強くなっていく。
ルシエルは私の体を気にかけるように、徐々に突く速度を上げていく。
余裕を少しずつ奪われて、私の目尻からは生理的な涙が浮かぶ。
「フィー、少し激しく動くよ。最後は一緒に果てよう」
「はいっ……」
彼は私の掌を開くと、絡めるように繋いだ。
そして、体をぴったりと重ね、唇を塞がれて、全身で彼を感じながら私は絶頂を迎えた。
「フィー、愛している」
頭の奥が揺れて意識が遠ざかっていく中、そんな声が聞こえたような気がした。
「わた……、し、も……」
私も声を出そうとしたのだが、そこまでしか言葉は続かない。
そんな中、僅かに嬉しそうに表情を緩めると、私はそのまま溶けるように意識を手放した。
****************
作者より
私の作品を読んで頂き、ありがとうございます。
長くなりそうだったので、少し最後は短くしました。
Rシーンは他にもたくさん出てくる予定なので、そこで色々書けたらいいなと思っています。
お気付きの方もいるかもしれませんが、まだあらすじに辿り着いていません(汗)
今後展開が大きく動くので、シリアス寄りの話に変わっていきます。
中々更新ができなくて申し訳ないです。
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