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第一章
10.ロランの婚約者
ロランに婚約者が出来たと告げられてから1週間ほどが経った。
あんなことを言われてしまった後も、私は朝教室に入るとロランに挨拶をする事だけは続けていた。
「おはよっ、ロラン…」
私が明るい声で挨拶をするとロランは私には視線も合わせず「ああ」とだけ返事を返した。
あからさまに私とは話したくないと言われている様に思えてとても悲しい気持ちにはなるが、私がこれを止めてしまえば本当にロランとの繋がりが経ち切れてしまいそうで、辛い気持ちを抑えて挨拶をする事だけは続けていた。
私は挨拶を済ませると自分の席に座り、暗い顔をしながら前の方の席に座るロランの背中を眺めていた。
(……15年近くずっと傍にいたのに…、婚約者が出来た途端私は用済みなの…?あんなに分かりやすく嫌そうな態度を取らなくてもいいのに…酷いよっ…!ロランのばかっ!15年の友情を簡単に捨てるなんて…この薄情者っ…)
私は恨めしそうにロランの背中をじっと眺めながら、心の中で盛大に文句を言い続けていた。
(後で…謝って来ても…知らないから…!絶対…簡単には許してあげないんだからっ…!!)
そんな事を考えていると、教室の前扉から見たことのない令嬢がきょろきょろと室内を見渡しているのが目に入った。
そして何かを見つけると、不意に笑顔を浮かべ教室の中へと足を踏み入れた。
「……ルチア、どうした?」
「ロランに会いに来ちゃった…」
ルチアと呼ばれる令嬢は迷うことなくロランの傍へと向かうと、表情を緩めて幸せそうな顔を浮かべていた。
その光景を見て、すぐにあれがロランの婚約者だと気付いた。
ルチアと呼ばれる令嬢はミルクティー色のふわっとした髪に、淡いブルーの少し大きな瞳をしていた。
私がルチアをガン見していると思わず視線が合ってしまい、慌てて私は視線を逸らした。
「あれが…ロランの婚約者か」
「わっ…、ジェラルド……おはよ…」
突然背後から聞きなれた声が響き、びくっと私は体を震わせた。
「おはよ、シャル…」
「うん…多分そうだと思う」
ジェラルドは私の隣の席に座ると「シャル」と私の名前を呼んで来たので、私が横に顔を傾けた瞬間ジェラルドは私の額にそっと口付けた。
「……っ!?」
突然の事に私は驚き、顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
「ふふっ、シャルは本当に分かりやすくて可愛いな…」
「いきなり、何するのっ…!?ここ…教室だって事…忘れてない?」
私は動揺しながら取り乱したかのように慌てて反論した。
「忘れて無いよ。…ただ、シャルが余所見ばかりしているから…、少し意地悪をしただけかな…」
「……余所見?」
私が『何の?』といった顔でジェラルドの事を不思議そうに見ていると、ジェラルドは私の耳元に唇を寄せて「僕以外の男の事をあまり見ないで欲しいな」と低い声で囁いた。
時折ジェラルドの息が私の耳にかかり、びくっと体を震わせてしまう。
「ふふっ、そういえばシャルは耳が弱かったね。耳元で囁いただけでそんなに体を震わせて…本当にシャルって…感度が良いんだね…。そんなに可愛い態度を取られると…もっといじめたくなってしまうな…」
ジェラルドは意地悪そうな顔で私の耳朶を触り始めた。
私は咄嗟にジェラルドの手を掴み、私の耳から剥がさせると、むっと睨みつけた。
「それで睨んでるつもりかな?…シャルは本当に可愛い事ばかりするね……」
「ジェラルド…前にも増して意地悪になった気がする…」
私が不満そうな顔で呟くと、ジェラルドはしれっとした顔で「そう?」と返した。
「シャル…、ロランが離れて寂しいのは分かるけど、ロランにだって考えがあっての事だと思うよ。これからは今まで以上に僕がシャルの傍に居て、その寂しさを埋めてあげるから…、今はそっとしといておこう?ロランだってそこに至るまでに…大変だったと思うから…ね」
ジェラルドは含んだ言い方をしていて、何故こうなったのか理由を知っている様に見えた。
(ジェラルドは…ロランがあんな態度を取り始めた理由…何か知っているの…?)
「べ、別に…私ロランに避けられて寂しいだなんて思ってないよっ…!…ジェラルドは何か知っているの?」
「そう…?それならいいけどね…。鈍感なシャルには一生分からない事だよ…。僕は意地悪だから、シャルには教えてあげないよ…」
ジェラルドはクスッと意地悪そうに笑って答えた。
「……っ!」
私はむっとした顔でジェラルドを恨めしそうに睨んだ。
(本当にジェラルドって意地悪だな…。知っているなら教えてくれてもいいのにっ…)
あんなことを言われてしまった後も、私は朝教室に入るとロランに挨拶をする事だけは続けていた。
「おはよっ、ロラン…」
私が明るい声で挨拶をするとロランは私には視線も合わせず「ああ」とだけ返事を返した。
あからさまに私とは話したくないと言われている様に思えてとても悲しい気持ちにはなるが、私がこれを止めてしまえば本当にロランとの繋がりが経ち切れてしまいそうで、辛い気持ちを抑えて挨拶をする事だけは続けていた。
私は挨拶を済ませると自分の席に座り、暗い顔をしながら前の方の席に座るロランの背中を眺めていた。
(……15年近くずっと傍にいたのに…、婚約者が出来た途端私は用済みなの…?あんなに分かりやすく嫌そうな態度を取らなくてもいいのに…酷いよっ…!ロランのばかっ!15年の友情を簡単に捨てるなんて…この薄情者っ…)
私は恨めしそうにロランの背中をじっと眺めながら、心の中で盛大に文句を言い続けていた。
(後で…謝って来ても…知らないから…!絶対…簡単には許してあげないんだからっ…!!)
そんな事を考えていると、教室の前扉から見たことのない令嬢がきょろきょろと室内を見渡しているのが目に入った。
そして何かを見つけると、不意に笑顔を浮かべ教室の中へと足を踏み入れた。
「……ルチア、どうした?」
「ロランに会いに来ちゃった…」
ルチアと呼ばれる令嬢は迷うことなくロランの傍へと向かうと、表情を緩めて幸せそうな顔を浮かべていた。
その光景を見て、すぐにあれがロランの婚約者だと気付いた。
ルチアと呼ばれる令嬢はミルクティー色のふわっとした髪に、淡いブルーの少し大きな瞳をしていた。
私がルチアをガン見していると思わず視線が合ってしまい、慌てて私は視線を逸らした。
「あれが…ロランの婚約者か」
「わっ…、ジェラルド……おはよ…」
突然背後から聞きなれた声が響き、びくっと私は体を震わせた。
「おはよ、シャル…」
「うん…多分そうだと思う」
ジェラルドは私の隣の席に座ると「シャル」と私の名前を呼んで来たので、私が横に顔を傾けた瞬間ジェラルドは私の額にそっと口付けた。
「……っ!?」
突然の事に私は驚き、顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
「ふふっ、シャルは本当に分かりやすくて可愛いな…」
「いきなり、何するのっ…!?ここ…教室だって事…忘れてない?」
私は動揺しながら取り乱したかのように慌てて反論した。
「忘れて無いよ。…ただ、シャルが余所見ばかりしているから…、少し意地悪をしただけかな…」
「……余所見?」
私が『何の?』といった顔でジェラルドの事を不思議そうに見ていると、ジェラルドは私の耳元に唇を寄せて「僕以外の男の事をあまり見ないで欲しいな」と低い声で囁いた。
時折ジェラルドの息が私の耳にかかり、びくっと体を震わせてしまう。
「ふふっ、そういえばシャルは耳が弱かったね。耳元で囁いただけでそんなに体を震わせて…本当にシャルって…感度が良いんだね…。そんなに可愛い態度を取られると…もっといじめたくなってしまうな…」
ジェラルドは意地悪そうな顔で私の耳朶を触り始めた。
私は咄嗟にジェラルドの手を掴み、私の耳から剥がさせると、むっと睨みつけた。
「それで睨んでるつもりかな?…シャルは本当に可愛い事ばかりするね……」
「ジェラルド…前にも増して意地悪になった気がする…」
私が不満そうな顔で呟くと、ジェラルドはしれっとした顔で「そう?」と返した。
「シャル…、ロランが離れて寂しいのは分かるけど、ロランにだって考えがあっての事だと思うよ。これからは今まで以上に僕がシャルの傍に居て、その寂しさを埋めてあげるから…、今はそっとしといておこう?ロランだってそこに至るまでに…大変だったと思うから…ね」
ジェラルドは含んだ言い方をしていて、何故こうなったのか理由を知っている様に見えた。
(ジェラルドは…ロランがあんな態度を取り始めた理由…何か知っているの…?)
「べ、別に…私ロランに避けられて寂しいだなんて思ってないよっ…!…ジェラルドは何か知っているの?」
「そう…?それならいいけどね…。鈍感なシャルには一生分からない事だよ…。僕は意地悪だから、シャルには教えてあげないよ…」
ジェラルドはクスッと意地悪そうに笑って答えた。
「……っ!」
私はむっとした顔でジェラルドを恨めしそうに睨んだ。
(本当にジェラルドって意地悪だな…。知っているなら教えてくれてもいいのにっ…)
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