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第一章:私の婚約者を奪おうとしないでくださいっ!
33.話合い③
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今ここでロジェを受け入れてしまえば、今までと何も変わらないことになる。
だけどこんなに弱々しいロジェを目の前にして、見捨ててしまってもいいのだろうか。
私は必死に良い考えを探した。
(流されてはだめだよね。私はもうロジェとは一緒にはいられないって決めたんだから……)
自分の中で決断をすると、私はロジェの方に視線を向けた。
「ごめんなさい。私はもうロジェの事を好きになることなんて出来ないよ。だから婚約は白紙に戻して欲しい」
「……っ」
一度離れてしまった心を簡単に戻す事は出来ない。
それにロジェはミレーユが好きであることを自覚したのかもしれない。
そんな状況でロジェの傍にいても、傷付くのはまた私で、我慢しなければいけないのも私だ。
もうあんな惨めで虚しい思いはしたくなかった。
「シアは他に好きな人が出来たの?」
「え?」
突然そんな話をされて、気が抜けてきょとんとしてしまう。
「エルネスト殿下と大分仲よさそうにしているね。僕が知らないとでも思ってた?僕がシアに会えない間も、シアはエルネスト殿下と会っているのは知ってるよ。シアは僕の婚約者だっていうのに……」
「……っ」
エルネストが屋敷を訪れていることを、ロジェが知っていることに驚いてしまった。
私とエルネストがしていることは、以前ロジェとミレーユがしていたことと端から見たら何ら変わりはないと思う。
そうなるように頼んだのは私だ。
今更だが、巻き込んでしまったエルネストには申し訳なく思ってしまう。
あの時は感情だけで決めてしまったが、エルネストに迷惑をかけているのは間違いないはずだ。
ただでさえ目立つ王子に、変な噂でも立たせてしまったら。
(ごめんなさい、エルネスト様……)
悪いとは思うが、もう一度だけ利用させてもらうことにした。
他にロジェを遠ざける方法が思いつかなかったからだ。
「そ、そうだよ」
私は声を震わせながら答えた。
その言葉を聞いてロジェは目を細めた。
「ははっ、嘘だな。目が泳いでるよ。シアは嘘を付くのが下手だからすぐに分かるよ」
「そんなことないっ!エルネスト様は優しくて、ロジェとは違って私の気持ちをちゃんと考えてくれる」
ロジェは嘘だと見破ると、嘲るように鼻で笑った。
私はロジェの態度に焦り、咄嗟に言い返した。
するとロジェは不満そうに顔を顰め、私に鋭い視線を向けると席を立ち上がった。
(な、なに!?)
私が戸惑っていると、ロジェは私の方にやって来て隣に座った。
突然ロジェとの距離が狭まり動揺してしまう。
「シア、僕以外の男を見ることは許さないよ」
ロジェは私の耳元で静かに囁く。
それはとても低いトーンの声で、背筋がゾクッと震え上がった。
離れようとしてロジェの胸元を押し返していると、今度は簡単に手首を掴まれてしまう。
「は、離してっ」
「だめだよ、離さない」
目の前にいるのは、私の知っている優しいロジェの姿では無かった。
鋭い眼光はまるで獣のように感じる。
そんな視線に囚われ、怖くなり必死に抵抗をした。
だけど私の力ではびくともしない。
「シアはさ、男ってものを知らなさ過ぎるんだよ。こうされたらシアの力ではどうにもならないだろう。それなのに、僕以外の男を屋敷に招き入れるなんて感心しないな」
「ろ、ロジェ……?」
「それに、警戒心もなさ過ぎだ。こんな風に両手を掴まれたら、簡単に迫られて唇を奪えてしまうね」
「……っ!?」
ロジェは冷たい声で囁くと、ゆっくりと顔を近づけて来た。
だけどこんなに弱々しいロジェを目の前にして、見捨ててしまってもいいのだろうか。
私は必死に良い考えを探した。
(流されてはだめだよね。私はもうロジェとは一緒にはいられないって決めたんだから……)
自分の中で決断をすると、私はロジェの方に視線を向けた。
「ごめんなさい。私はもうロジェの事を好きになることなんて出来ないよ。だから婚約は白紙に戻して欲しい」
「……っ」
一度離れてしまった心を簡単に戻す事は出来ない。
それにロジェはミレーユが好きであることを自覚したのかもしれない。
そんな状況でロジェの傍にいても、傷付くのはまた私で、我慢しなければいけないのも私だ。
もうあんな惨めで虚しい思いはしたくなかった。
「シアは他に好きな人が出来たの?」
「え?」
突然そんな話をされて、気が抜けてきょとんとしてしまう。
「エルネスト殿下と大分仲よさそうにしているね。僕が知らないとでも思ってた?僕がシアに会えない間も、シアはエルネスト殿下と会っているのは知ってるよ。シアは僕の婚約者だっていうのに……」
「……っ」
エルネストが屋敷を訪れていることを、ロジェが知っていることに驚いてしまった。
私とエルネストがしていることは、以前ロジェとミレーユがしていたことと端から見たら何ら変わりはないと思う。
そうなるように頼んだのは私だ。
今更だが、巻き込んでしまったエルネストには申し訳なく思ってしまう。
あの時は感情だけで決めてしまったが、エルネストに迷惑をかけているのは間違いないはずだ。
ただでさえ目立つ王子に、変な噂でも立たせてしまったら。
(ごめんなさい、エルネスト様……)
悪いとは思うが、もう一度だけ利用させてもらうことにした。
他にロジェを遠ざける方法が思いつかなかったからだ。
「そ、そうだよ」
私は声を震わせながら答えた。
その言葉を聞いてロジェは目を細めた。
「ははっ、嘘だな。目が泳いでるよ。シアは嘘を付くのが下手だからすぐに分かるよ」
「そんなことないっ!エルネスト様は優しくて、ロジェとは違って私の気持ちをちゃんと考えてくれる」
ロジェは嘘だと見破ると、嘲るように鼻で笑った。
私はロジェの態度に焦り、咄嗟に言い返した。
するとロジェは不満そうに顔を顰め、私に鋭い視線を向けると席を立ち上がった。
(な、なに!?)
私が戸惑っていると、ロジェは私の方にやって来て隣に座った。
突然ロジェとの距離が狭まり動揺してしまう。
「シア、僕以外の男を見ることは許さないよ」
ロジェは私の耳元で静かに囁く。
それはとても低いトーンの声で、背筋がゾクッと震え上がった。
離れようとしてロジェの胸元を押し返していると、今度は簡単に手首を掴まれてしまう。
「は、離してっ」
「だめだよ、離さない」
目の前にいるのは、私の知っている優しいロジェの姿では無かった。
鋭い眼光はまるで獣のように感じる。
そんな視線に囚われ、怖くなり必死に抵抗をした。
だけど私の力ではびくともしない。
「シアはさ、男ってものを知らなさ過ぎるんだよ。こうされたらシアの力ではどうにもならないだろう。それなのに、僕以外の男を屋敷に招き入れるなんて感心しないな」
「ろ、ロジェ……?」
「それに、警戒心もなさ過ぎだ。こんな風に両手を掴まれたら、簡単に迫られて唇を奪えてしまうね」
「……っ!?」
ロジェは冷たい声で囁くと、ゆっくりと顔を近づけて来た。
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