上 下
13 / 13

13話 領主様の凱旋

しおりを挟む
 俺とオスカー様がルースの町へ戻ると、既に噂を聞きつけた町人たちが入り口にわんさか集まっていた。

「オスカー様! ご婚約おめでとうございます!」
「フィル~、おめでとう!」
「おめでとー!」

「わわわ、すごい集まっていますね……」
 俺は馬車から顔を出し、とりあえずみんなへ向かって手を振っておいた。

 馬車はまるでパレードのように、ゆっくりと町中を進んでいく。

「フィル。気付いているか? 俺だけではない、お前を祝福する声も多いのだと言うことを」

「はい……。友達や、そのご家族です」
 俺はそう言って、見つけた友達に指にハマった指輪をチラつかせる。

 すると、友達やその周辺からわーっと歓声が上がった。

「お前は、皆に愛されていたのだな。そんなお前を独り占めしていると思うと、優越感を覚えてしまうな」
 オスカー様はそう言って困ったように笑った。

「お、俺だって! オスカー様を独り占めできて、嬉しいです……!」

「またお前はすぐそうやって可愛い顔で可愛いことを言う……」

「そ、そうですかね……」

 オスカー様の顔がグッと近付く。

 わぁっと沸き起こる歓声。

「お、オスカー様! ダメです、みんなに見られまくりです」

「もう夫夫ふうふになるのだから関係ない」


 ちゅっ。


 その日1番の歓声が町中に響きわたった。


⸺⸺

 俺は屋敷の中で、オスカー様に前世の記憶があることを暴露した。

 オスカー様はかなり驚いていたけど、今の俺らの関係が、前世の俺が1番好きだったカップリングだと言うことを打ち明けると、運命だと言ってめちゃくちゃ喜んでいた。

 そして婚約後、正式に結婚をしてからも、俺らは毎晩のように愛し合った。

 それも、前世の俺が好きだったシチュエーションをオスカー様はノリノリで試してくれた。

 俺的にはドSの低音ボイスに罵倒されながら無理矢理激しくされるのが1番最高だった。
 オスカー様も新たな扉を開いてしまったらしく、エッチのときはちょっとSになるのがデフォルトになった。


 そして俺らは王都の孤児院で3歳と1歳の孤児を2人迎え入れ、俺は今幸せに2児のママをしている。




 おわり。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

浮気の認識の違いが結婚式当日に判明しました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,955pt お気に入り:1,220

婚約破棄させてください!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:9,272pt お気に入り:3,022

男ふたなりな嫁は二人の夫に愛されています

BL / 連載中 24h.ポイント:2,002pt お気に入り:137

悪役令息になんかなりません!僕は兄様と幸せになります!

BL / 連載中 24h.ポイント:4,764pt お気に入り:10,289

【完結】出戻り令嬢の奮闘と一途な再婚

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,072pt お気に入り:147

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:11,381pt お気に入り:3,098

悪役令息レイナルド・リモナの華麗なる退場

BL / 連載中 24h.ポイント:3,280pt お気に入り:7,264

僕の調教監禁生活。

BL / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:235

恋心を利用されている夫をそろそろ返してもらいます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:75,197pt お気に入り:1,269

処理中です...