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相談室の慌ただしい日常3
しおりを挟む「二人揃って、どうしたのー? この前出した有給申請、何か問題あった?」
「さっきヘタれてたところ、見てましたよ。また働きすぎてませんか?」
若王子さんは休日出勤と残業と有給申請が非常に多い。つまり庶務課にしょっちゅう出入りしているため、私たちはすっかりなじみの間柄だ。
相談員は事務方に所属する立場だが、制服として白衣を支給されている。その白衣を翻している姿は非常に絵になる。
思わずクンクン匂いを嗅ぎたくなってしまう。いい匂いがする気がする。
いやー、今日も目の保養です、若王子さん。
彼女が目の前にくると、大抵の男はそれまでの真面目な思考が吹っ飛ぶのではないだろうか。
今日は、その下に体のラインが強調されるようなワンピースを着ていた。ナイスバディを隠しもしないファッションに、ゆったりした白衣の組み合わせは、まるで官能小説の表紙のようだ。セクハラになるから言わないけど。
しかし、つい鼻の下を伸ばしてしまいそうな私の横で、桐生さんはやっぱり桐生さんだった。
「実は若王子さんが担当されていた、犬飼様とおっしゃる方についてお尋ねしたいのです」
クールすぎる。
うん、知っていたけど、桐生さんは若王子さんの美貌の前に全く動じることがない。
申し訳ない、すっかり頭がピンク色になってしまった。
若王子さんは密かに反省している私と、無表情のままの桐生さんをゆっくり眺めた後で頷き、ピンク色の唇の端をゆっくりとあげた。
「それってもしかして。犬飼さん宛に折り紙とか手紙とか、そういうの頼まれて困ったとかそういう感じ?」
「えっ、なんでわかったんですか」
なんだ、テレパシーか。なら私の非常に好ましからざる色々が伝わってしまったということか。
「驚かなくていいよ。実は、よくあるのよ」
よくある、とはどういうことだろう。
内心慌てていた私の横で、桐生さんが口を開いた。
「やはりそうでしたか。わたしたちが頼まれたくらいです。小児病棟を担当している相談員の方や看護師はもっとでしょう」
あ、そういうことか。
確かに、偶然カフェで会った事務員よりも、自分の担当相談員や看護師に渡す方が確実だ。
「そうなのよ。犬飼さんに会えないって、相談員とか看護師に渡してくるの。で、そこから、あたしのところに」
あれ見てよ、と若王子さんが机の一つを指さす。
小さなカエルの折り紙がいくつも乗っているのが、彼女の席に違いない。
なるほど、すごい量だ。
「若王子さんはどうするおつもりだったのですか?」
桐生さんの問いかけに若王子さんは顔をしかめた。
「一度、ご家族に電話したんだけど繋がらなくて……それからは後回しにしてた。でもこれは完全に言い訳ね。冷たく思われるかもしれないけど、生きてる患者を優先しないとだから」
苦笑いする若王子さんは、ひどく悲しそうだ。
いや、しかし待ってくれ。
それはどういうことだ。
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