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番外編 王妃の秘夜、快楽の檻 前編
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月の光が静かに王城を照らしていた。
石造りの高い天井、金糸のカーテン、薄紅の絹に包まれた寝台――
それらすべてが、今や王妃となったミレイユのためだけに整えられている。
けれど、その夜。彼女はひとりだった。
レオンは隣国の視察から戻るのが遅れており、今宵は共に眠ることは叶わぬと知らされていた。
それでも、眠る気にはなれず、ミレイユは夜具の中でじっと目を閉じていた。
シーツに染みついた彼の香りを感じるたび、胸がきゅうと締めつけられる。
――さみしい。
そう思った瞬間、自分の心の変化に気づく。
かつての自分なら、こんな風に誰かの不在で心が乱れるなど、考えられなかった。
けれど今は。彼のいない夜は、息苦しいほどに寂しく、肌が触れ合わないだけで乾いてしまう。
「……ほんとうに、わたしは変わってしまったのね」
小さく呟いたときだった。
扉の外で、控えの侍女が慌ただしく何かを伝えている声が聞こえた。
続いて、重厚な扉が静かに開く音。
――まさか。
起き上がる間もなく、姿を見せたのは、漆黒の外套に身を包んだ男。
金の髪を後ろで束ねた、レオンだった。
「……帰ってきて、くれたの?」
驚きと喜びで声が震えるミレイユに、レオンは口角を上げる。
「会いたくて、たまらなかった。お前もそうだろ?」
その言葉だけで、胸の奥が熱くなり、込み上げるものを押さえきれなかった。
「……うん、すごく」
彼は外套を脱ぎ、寝台の端に腰掛けた。
頬に触れる手が、少しだけ冷たい。けれど、それすら愛しくて、ミレイユは自ら彼の胸に身を預けた。
レオンの腕が彼女の背を包み、囁くように言う。
「今夜は、俺がどれだけお前を想っていたか、全部伝える。……いいか?」
その声音は、まるで誓いのように深く低い。
ミレイユはただ、頷いた。
レオンは静かに彼女の寝衣に手をかけ、薄絹を一枚、また一枚と剥がしていく。
ゆっくりと、焦らすように。
肩、胸、腰……肌が露わになるたび、彼の視線がそこに触れていく。
見つめられているだけなのに、肌がじんじんと熱くなる。
「やっぱり……お前は、俺を狂わせる」
唇が、鎖骨に触れた。
軽く吸われたところが、じわりと熱を帯び、痺れるように疼く。
「……レオン……そんな……」
「今夜は、どこにも逃がさない。声も、熱も、全部、俺にくれ」
言葉とともに、レオンの舌がゆっくりと動き出す。
乳房のふくらみを包み、先端を口に含まれる。
吸い上げ、舌で転がされるたび、ミレイユの呼吸が乱れていく。
「あ、あっ……ん、や……」
身体の奥がきゅんと締まり、足の内側がじっとりと熱を持ちはじめる。
レオンはもう片方の乳房にも口づけながら、空いた手でゆっくりと彼女の腿を撫でる。
「ここ……もう、濡れてる。俺に触れられただけで、こんなに……」
そう囁かれたときには、すでにミレイユの中心は蜜で濡れ、秘所から熱がこぼれていた。
布越しに指を押し当てられ、そこに触れられるたび、甘い痺れが駆け抜けていく。
「もっと……レオン、お願い……」
懇願するような声が漏れた瞬間、彼は指を一枚下着の内に滑り込ませる。
濡れた蕾に触れ、円を描くように撫でられた。
「ああっ、ん、あっ……!」
快感が波のように押し寄せ、ミレイユの背が反る。
乳房を吸われ、秘部を撫でられ、快楽が飽和していく。
レオンはその様子をじっと見つめながら、指先をゆっくりと中へ差し入れた。
「感じてる顔、たまらない。……もっと見せろ」
愛撫は容赦なく、けれど愛情に満ちていた。
突き上げられるたび、浅く吐息が漏れ、意識が蕩けていく。
ミレイユの全身はすでに快感に濡れ、欲望に溺れていた。
心も、身体も――完全に、彼に支配されている。
石造りの高い天井、金糸のカーテン、薄紅の絹に包まれた寝台――
それらすべてが、今や王妃となったミレイユのためだけに整えられている。
けれど、その夜。彼女はひとりだった。
レオンは隣国の視察から戻るのが遅れており、今宵は共に眠ることは叶わぬと知らされていた。
それでも、眠る気にはなれず、ミレイユは夜具の中でじっと目を閉じていた。
シーツに染みついた彼の香りを感じるたび、胸がきゅうと締めつけられる。
――さみしい。
そう思った瞬間、自分の心の変化に気づく。
かつての自分なら、こんな風に誰かの不在で心が乱れるなど、考えられなかった。
けれど今は。彼のいない夜は、息苦しいほどに寂しく、肌が触れ合わないだけで乾いてしまう。
「……ほんとうに、わたしは変わってしまったのね」
小さく呟いたときだった。
扉の外で、控えの侍女が慌ただしく何かを伝えている声が聞こえた。
続いて、重厚な扉が静かに開く音。
――まさか。
起き上がる間もなく、姿を見せたのは、漆黒の外套に身を包んだ男。
金の髪を後ろで束ねた、レオンだった。
「……帰ってきて、くれたの?」
驚きと喜びで声が震えるミレイユに、レオンは口角を上げる。
「会いたくて、たまらなかった。お前もそうだろ?」
その言葉だけで、胸の奥が熱くなり、込み上げるものを押さえきれなかった。
「……うん、すごく」
彼は外套を脱ぎ、寝台の端に腰掛けた。
頬に触れる手が、少しだけ冷たい。けれど、それすら愛しくて、ミレイユは自ら彼の胸に身を預けた。
レオンの腕が彼女の背を包み、囁くように言う。
「今夜は、俺がどれだけお前を想っていたか、全部伝える。……いいか?」
その声音は、まるで誓いのように深く低い。
ミレイユはただ、頷いた。
レオンは静かに彼女の寝衣に手をかけ、薄絹を一枚、また一枚と剥がしていく。
ゆっくりと、焦らすように。
肩、胸、腰……肌が露わになるたび、彼の視線がそこに触れていく。
見つめられているだけなのに、肌がじんじんと熱くなる。
「やっぱり……お前は、俺を狂わせる」
唇が、鎖骨に触れた。
軽く吸われたところが、じわりと熱を帯び、痺れるように疼く。
「……レオン……そんな……」
「今夜は、どこにも逃がさない。声も、熱も、全部、俺にくれ」
言葉とともに、レオンの舌がゆっくりと動き出す。
乳房のふくらみを包み、先端を口に含まれる。
吸い上げ、舌で転がされるたび、ミレイユの呼吸が乱れていく。
「あ、あっ……ん、や……」
身体の奥がきゅんと締まり、足の内側がじっとりと熱を持ちはじめる。
レオンはもう片方の乳房にも口づけながら、空いた手でゆっくりと彼女の腿を撫でる。
「ここ……もう、濡れてる。俺に触れられただけで、こんなに……」
そう囁かれたときには、すでにミレイユの中心は蜜で濡れ、秘所から熱がこぼれていた。
布越しに指を押し当てられ、そこに触れられるたび、甘い痺れが駆け抜けていく。
「もっと……レオン、お願い……」
懇願するような声が漏れた瞬間、彼は指を一枚下着の内に滑り込ませる。
濡れた蕾に触れ、円を描くように撫でられた。
「ああっ、ん、あっ……!」
快感が波のように押し寄せ、ミレイユの背が反る。
乳房を吸われ、秘部を撫でられ、快楽が飽和していく。
レオンはその様子をじっと見つめながら、指先をゆっくりと中へ差し入れた。
「感じてる顔、たまらない。……もっと見せろ」
愛撫は容赦なく、けれど愛情に満ちていた。
突き上げられるたび、浅く吐息が漏れ、意識が蕩けていく。
ミレイユの全身はすでに快感に濡れ、欲望に溺れていた。
心も、身体も――完全に、彼に支配されている。
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